飲食店オーナーが起こす失敗例。飲食店開店までの正しい順序―商圏分析とは何か?:第一章

はじめに 新規開業者が失敗するほとんどの理由は、立地選定ミスの続きです。

1.順序の大切さ

ほとんどの物事において、順序は物事以上に重要な要素になっているのです。例えば、車を運転する場合、エンジンを回さずに、先にギアを入れてしまうと、車は絶対に発進しません。

あるいはテレビを見る場合、電源スイッチを入れずに幾らチャンネルを回しても、テレビは映らないのです。

当然、このような習慣になっている簡単な事柄で間違う人はほぼ皆無ですが、うどん店、そば店、ラーメン店の開業においては、大切な開店の順序を間違えている人がたくさんいます。

その結果、取り返しのつかないことが数えきれないほど起こっています。

2.開店順序を間違えた人たちの特徴

うどんそば店、ラーメン店の新規開業で、開店の順序を間違えたために失敗した人たちの特徴をまとめてみると、以下のようになります。不動産屋に飛び込んで、先に立地を決めて開店してしまい、失敗する人たちが本当に多いのです。

開店の順序を間違えたために失敗した人たちの特徴

  1. 商品がまだ完成していない状態、味が未完成のまま開店している。あるいは、まだ低い商品レベルなのに妥協して開店しようとしている。
  2. ビジネス・モデルが完成していない。お金の流れを計算しつくしていない。幾ら売り上げて、幾ら利益が出るのか、明確なビジネス・モデルが作れていないので、開店してからこんなはずではなかったということが起きている。
  3. 店舗のコンセプトなどを十分に検討せずに開店している。コンセプト以前に、価値観、使命が明確になっていない。「誰をターゲットにして、どのようなビジネスをするか」というビジネスの根幹が明確になっていないので、立地と商品作り、店作りなどの一貫性がない。
  4. 上記4ができていないので、客層が明確に特定されていない。従って、本来得たいお客さまと立地が一致していない。
  5. 自分が本当にこのビジネスに向いているのか、このビジネスで、どんなに苦しくても諦めないで、情熱を燃やし続けられるのか、十分に見極めないで、開店する人が多い。(人が儲かっているのを見て、このビジネスが簡単に儲かりそうだと誤解して始める人も多く、本当はこの人たちは麺ビジネスを始めてはいけない人たちである)

3.情熱の大切さ

まず、当社のうどん学校、そば学校、ラーメン学校で、生徒さんに確認するのは、本当にこのビジネスが情熱を燃やせるビジネスかどうかです。
そして、もし情熱を燃やせないと分かったら、絶対にこのビジネスを始めないことをお勧めしています。

運動用品ビジネスで世界一になったナイキの創業者フィル・ナイト氏は、飲食ビジネスを志す人たちに次のようなアドバイスをしているのです。

「ナイト氏の言葉に、次のようなものがある。

〈よく「レストランを開きたい」と言う人がいる。しかし、レストランの厨房で1日23時間働く覚悟がなければ、また、稼ぎがまったくなくても「この仕事が本当に好きだから」と言えるようでなければ、やめたほうがいい〉

ナイト氏は経営者として評価されているから、さまざまな業界・企業からマネージメントを依頼される。

だが「23時間働く覚悟」を持てる仕事でなければ、いくら大金を積まれても断ってしまう。」 大前研一著「ゼロから1の発想術」より

ナイト氏の言葉は、もっともだと思います。
ビジネスにおいて、情熱が非常に重要であるのは、ビジネスは高度なシステムであり、必ず、タイムラグがあるためです。
システムは、いろんな構成要素がつながってできあがっていて、必ずインプットとアウトプットがあるのです。

人間の身体もシステムであり、例えば、今水を飲んだとします。
水を飲むのはインプットであり、しばらくしてトイレに行くのはアウトプットです。
従って、水を飲んで即、トイレに行くことはなく、必ず一定の時間経過の後、トイレに行くのです。
このようにシステムにはインプットとアウトプットの間に、必ずタイムラグがあるのです。

麺ビジネスの場合、今日から商品のレベルを改善したとします。
すると、今日から売上が即、上がるかと言えば、そのようなことは全くなく、かなり時間が経過した後に、売上があがり、成果が得られるのです。
そして、このタイムラグは常に一定ではなく、ある時は短いかもしれないのですが、ある時は非常に長くなったりして、予測不可能な場合が多いのです。
そのためビジネスには忍耐が欠かせなく、忍耐の源になるのが、情熱の強さなのです。

アップルを創業したステイーブ・ジョブズもビジネスの成功において、最終的に最も重要で欠かせないのが、忍耐力の大切さだと指摘していたのです。

併せて、インターネットの進化でますます大きく変貌していく世の中で、物事はどんどん複雑になり、ビジネスを簡単に成功させることは少なくなってきているのです。

4.大和流の正しい開店順序

1.価値観を明確にする。

人はそれぞれ、異なったその人特有の価値観を持っています。
その上で、日々の生活を送り、家庭生活を送り、ビジネスをしているのです。
従って、価値観について考える時に、個人、家庭、ビジネスの3つのカテゴリーに分けて考えることが大切で、絶対に混同しないことです。

そして、価値観を明確にする場合に、価値観そのものよりも、持っている価値観の順序がもっと大切なのです。例えば、サラリーマンAさんとBさんがいる場合、Aさんの価値観の順序は、仕事が1番、家庭が2番、Bさんは家庭が1番、仕事が2番とします。
その結果、AさんとBさんは同じ価値観を持っていても、順序が入れ変わっただけで、2人の行動は全く異なるのです。
ですからどんな価値観を持つか以上に、持っている価値観の順序がもっと大切で、その結果、長い人生において、得られる成果も異なるのです。

となると麺ビジネスをする場合も価値観の順序を明確にしなければなりません。
価値観が明確になると、その価値観を共有できるお客さまだけしか来なくなります。
働く従業員も同じような価値観を持っている従業員でなければ、長く一緒に働けません。

例えば、おいしい料理を提供すること、すなわち、商品力が1番重要だと思っている場合、お客さまもおいしさを理解し、おいしい料理を食べるためには、価格は多少高くても構わないというお客さましか、来ないのです。
おなかが満腹になれば、何でも良い、価格さえ安ければ良いという価値観を持ったお客さまはこの店には来ないのです。

働く従業員も同様で、高い商品力の商品を提供することの大切さを理解する人でなければ、長く一緒に働けないのです。
このようにビジネスにおいて、価値観を明確にすることは、ビジネスを始める場合、一番先にしなければいけない基本事項なのです。

例えば、マクドナルドの価値観は創業時よりQSCで、Quality(品質)、Service(サービス)、Cleanliness(クリンリネス)の順序を明確にしていたのです。
それによって、世界でトップの外食企業まで上り詰められたのです。

次にデイズニーの価値観は、1番目がSafety(安全)、2番目がCourtesy(礼儀正しさ)、3番目がShow(パーフォーマンスの品質)、4番目がEfficiency(効率の追求)の4項目です。

これらを比較すると、

以上の参考事例の様に、価値観の数は4つくらいが、従業員にも浸透しやすく、分かり易いと思います。従業員が何か現場で判断しなければいけないことがあった場合いちいち上司にお伺いを立てなくても、この価値観の順序に沿って、判断すればよいので、上司も部下も楽になるのです。

2.使命の明確化

価値観が明確になったら、次に明確にするのは、使命です。

マネッジメントの父、ドラッカーはビジネスの目的は顧客の創造であり、「顧客を創造する」ために一番初めに行うことは、「自分たちの使命を決めること」と明言しているのです。
経営でよく使われる経営理念、使命、ビジョンを整理すると、次の通りです。

経営理念とは「自社(自店)の社会に対する根本的な考え方を言い表したもの」
使命とは「自社(自店)が社会で実現したいことを言い表したもの」
ビジョンとは「自社(自店)の使命が実現した時の状態を言い表したもの」

要するに使命とは自社(自店)が社会で実現したいことを言い表すことだったのです。
言い換えれば、何をもって社会の役に立つ会社(店)なのかを明確にすることなのです。
もっとわかりやすく言えば、喜んでもらう人を増やすことなのです。
そもそも会社(店)が社会に存在することを許されているのは、事業を通じて社会の役に立つからです。

例えば、学校は人を教育するという目的をもち、病院は患者さんの病気を治すことによって、社会の役に立っています。
あらゆる組織は、何らかの形でお客様に喜んでもらえるからこそ存在できていて、会社(飲食店)もそれぞれの事業を通してお客様のために存在しています。

時々、麺学校の経営講義で、「あなたの使命は何ですか?」と生徒さんに質問すると、「麺ビジネスで家族を幸せにすることです」と答える生徒さんがいますが、自分たちのメリットや都合は使命ではないのです。

使命とは「社会のお役に立てる具体的な何か」、自社(自店)は「何をもって喜んでもらう人を増やそうとしているのか」、「社会は何を求めているか」を理解した上で自分ができる事を明確な言葉で特定することです。

ここで、使命を分かり易く説明するために、有名な3人のレンガ職人の話を紹介します。
道端でレンガを積んでいるレンガ職人に旅人が「あなたは何をしているのですか?」と質問をしたのです。
すると、1人目は「給与をもらうために仕事をしている」。
2人目は「優れた職人になりたいと思って仕事をしている」。
3人目は「人々の心を癒やす空間を造って喜んでもらおう」と思って仕事をしている。
当然、3人目の職人の多くの人に貢献する思いこそが使命です。
このように明確な使命はわれわれに何をすべきかを教えてくれるのです。

私は25年ほど前に、当社の使命を「麺専門店繁盛支援会社」であると明確にしました。
要するに、単に製麺機を売る会社ではなく、麺専門店の繁盛に貢献する会社であると使命を明確にしたのです。

その結果、うどん、そば店、ラーメン店は平日よりも土日祭日が忙しく、機械もトラブルを起こしやすいので、年中無休のメンテナンスの必要性を強く認識しました。社内の説得にはずいぶん苦労しましたがそれまではできていなかった年中無休365日のメンテナンスが実行できるようになり、その結果、小型製麺機業界でずっと業界2位だったのが、1位になれたのです。

また、その当時、ようやっと開店しても失敗するお客さまが増えてくるのを見ていて、そのようなお客さまが失敗するのを防ぐために、うどん学校、そば学校、ラーメン学校を開いたのです。

以上のように、使命は自分たちに何をすべきかを教えてくれるビジネスの羅針盤であるとも言えるのです。
使命があることによって、いま自分たちが行っていることは使命と矛盾がないかそんな視点をもつことができ、常に正しい方向にわれわれを導いてくれるのです。

仕事の価値を決定づけるものは、仕事の内容ではなく仕事の目的で、使命は働く人に働くエネルギーを与えてくれます。
どのように社会に役立ち、多くの人たちを幸せにしているのかが明確になれば、使命が働く人に意欲と最善を尽くそうとするエネルギーを与えてくれるのです。
使命に共感して仕事をしてくれているからこそ、たとえつらい時があっても、自らの意思で全力を尽くせるのです。

使命とは事業の存続に関わる重要なもので、喜んでもらえる人を増やしていくためにも、事業の繁栄のためにも仕事をしてくれている社員さんのためにも、「われわれの使命は何か」という問いかけの明確な答えを共有しなければいけないのです。

3.コンセプトの明確化

私がコンセプトの重要性を考えるようになったきっかけは、川崎重工時代の航空機事業部、機体設計課で叩き込まれた「デザイン・フィロゾフィー」に端を発しています。

飛行機の開発設計においては、まず、最初に明確にしなければいけなかった重要事項が、「デザイン・フィロゾフィー(設計思想)」で、飛行機の開発において設計者が明確にしなければいけない、その飛行機の骨格になる本質です。

これが曖昧であったり、その飛行機の目的を達成できない骨格であれば、優れた航空機にはならず、一度、デザイン・フィロゾフィーを明確にしたら、簡単に変更できないのです。

「デザイン・フィロゾフィー」を最初の段階で明確にしなければいけないと知った私は、飛行機の開発、設計の場合は「デザイン・フィロゾフィー」ですが、一般の仕事に置き換えると、これは何のことであろうかと、考えました。

その結果一般の仕事においては、これがコンセプトであり、コンセプトを決める上で、ベースになっているのが、価値観であり、使命であることも分かってきました。

コンセプトを明確にするために、まずしっかりと考えなければいけないのは、前項でも記したわれわれの持っている価値観です。

価値観(かちかん)とは、何が大事で何が大事でないかという判断基準であり、ものごとの優先順位づけ、ものごとの重み付けの体系のことです。人は自分に足りていないものを手に入れようと、もがいたり、あがいたりしながら、育っていき、それをいつも価値観の上位に持ってきます。

要するに、価値観の一番目にあるものを手に入れることに集中するので、価値観とは、自分に未だ満ち足りていない部分(ニーズ)でもあるのです。

使命は、われわれ自身とか、組織において価値観の次に明確にしなければいけない、われわれ自身あるいは、組織の存在理由です。

要するになぜ(Why・・・?)を明確する重要なテーマです。

そして、コンセプトは対象が見えるもので、モノであるとか、本であるとか、商品であるとか、モノを対象にしているのが、コンセプトです。

コンセプトを一言で言えば、何(What・・・?)を明確にすることです。

コンセプトをビジネスで使った場合は「そのビジネスの本質」がコンセプトであり、有名な良いコンセプトとして、広く知られているのがスターバックスのコンセプト「第三の場所」です。

スターバックは基本的にコーヒーを主体にしたドリンク、フード類を売っているカフェですが、実はスターバックスのコンセプトはコーヒーを売ることではありません。

スターバックスにとって、コーヒー販売をビジネスの手段であり、スターバックスのビジネスの本質、要するにコンセプトは「第三の場所」の提供です。

第一の場所は自宅です。

第二の場所は、職場あるいは学校です。

従って、第三の場所とは、コーヒーの良い香りのする自宅もない、学校でもないくつろげる空間です。

その様な場所の提供がスターバックスのコンセプトであり、スターバックスのビジネスの本質です。

よく考えてみると、私もスターバックスは時々、使いますが、決してコーヒーを飲むために行っている訳ではありません。

スターバックスへ行くのは、誰かと面談するための場所が欲しいときとか、時間が余った時の本を読んだり、PCで仕事をするための場所の確保のためです。

特に、来店客が気軽に使用できる電源コンセントを設けてあるので、長時間PCで仕事をする場合には、非常に助かります。

スターバックスのコンセプトを知ったうえで店内にいる人達を見回してみると、コーヒーを飲むためだけに来ている人はほとんどいません。

何かをするために、あるいは、スターバックスのくつろいだ場所を利用するために、来ているのです。

従って、スターバックスはコーヒーを売って儲けるビジネスではなく、場所を貸して儲けているビジネスであり、これがスターバックスのビジネスの本質、要するにコンセプトです。

そして、スターバックスはこのコンセプトの一貫性を持って守るために、さまざまな工夫を行しています。

例えば、次の通りです。

  1. 店舗の雰囲気へのこだわり
  2. 出店と立地へのこだわり(プレミアム立地)
  3. オペレーション形態へのこだわり(FCはやらない、直営店方式)
  4. スタッフへのこだわり(人的資源への投資)
  5. メニューへのこだわり(アルコールは出さない、ナイフとフォークを使わなければいけないフードは提供しない)

ちなみに当社の麺学校のコンセプトは、お客様の「人生の時間のロス」をなくする学校であり、人生を変える学校でこれが当社の麺学校の本質です。

また当社のビジネスの本質は、「消費者を感動させる、おいしくて、安全な自家製麺を世界中に広める」ことであったのです。

この様に、ビジネスの場合、コンセプトとは、ビジネスの本質のことです。

そのため、一見、何か商品を売っている様に見えている場合でも、ビジネスの本質は、その商品を売ることではないのです。

それは、そのビジネスの本質を全うするための手段の一つに過ぎないのです。

つきましては、自分自身のビジネスの本質を理解することは非常に重要なことなのです。

使命を明確にすることが、Why・・・?を明確にすることであり、
コンセプトを明確にすることは、What・・・?を明確にすることであり、
戦略を明確にすることは、How・・・?を明確にすることです。

要するに、どのようにして、それを成し遂げるかを明確にすることで、ビジネスを始めるということは、2W1Hを明確にすることでもあった訳です。

そして、使命、コンセプト、戦略に同じ一貫性を持った思想が貫かれていることが大切です。

これからのビジネスはモノを売るのではなく、コンセプトの販売です。

IKEAは世界中どこにでもある、世界最強の家具屋です。
IKEAが大成功したので、多くの世界のチャレンジャーたちが真似をしましたが、真似をしたライバルたちは、皆、敗退して消えてしまったのです。

IKEAの戦略は、秘密ではなく、誰でも分かるようにオープンになっているのですが、創業者オーナーの価値観、使命、企業文化、コンセプトが明確であり、一貫性を持ち、DNAとして守り抜かれているのです。

そして、一貫性を持ち、永い時間をかけて、価値観、明確な使命、企業文化、コンセプト、ノウハウ、さまざまな要素を積み重ねてきているので、一朝一夕に真似をしてもIKEAを超えられないのです。

IKEAに挑んだライバルたちは、こんなに明確な価値観、使命、企業文化、コンセプトを持ち合わせておらず、形だけを真似てしまった上に一貫性にも欠けていたのです。

従って、永く繁栄するには、企業としての大本である、価値観、明確な使命、企業文化、コンセプトは不可欠です。それらすべてが出発点であり、一貫性を持って守り続けることが大切なのです。

4.客層、店舗の内装、外装が明確になる

コンセプトが明確になると、狙うべきお客さまが明確になってきます。
価値観と使命が明確になっただけであれば、それらを共有できる方がお客さまということです。コンセプトを明確にすることによりどんなライフスタイルを持ったお客さまかということも自然に決まります。

スターバックスの場合、メインのお客さまは煙草を吸うサラリーマンではなく、落ち着いた場所を楽しむような層です。そのため、お客さまの多くは女性や学生、ビジネスマン、ビジネスウーマンです。
ドリンクの価格もライバルのドトールの1.5倍程度で、価格も決して安くはありません。価格よりも雰囲気や場所に価値を見いだすお客さまがターゲットで、静かな場所で勉強や仕事をしたり、商談や友人とのふれあいの場に使うような人たちが対象です。

また、第一の場所を提供しているコメダ珈琲とも、絶対に競合しません。
コメダ珈琲のメインのお客さまは中年の女性たちですが、コンセプトが変わるとお客さまのライフスタイルも全く変わり、ライバル関係となってお客さまを奪い合うこともなくなるのです。

従って、同じうどん店でも、コンセプトが全く異なると、隣同士に立地していても、お客さまが異なり、競合関係にはならないのです。
それにより、スターバックスはコンビニのコーヒーとも競争にならず独自の強いビジネスができているのです。

このように、他店とは異なる際立ったコンセプトを明確にすることにより、他の同業者との競争はなくなり、ブルー・オーシャンで楽なビジネスができるのです。
ですから際立つ特徴のあるコンセプトを明確にすることは、ビジネスで永く生き残れる有効な対策であると言えるのです。

5.戦略の明確化

戦略とは、もともと軍隊用語で、戦い方であり、ビジネスの競争を戦争に見立てた言葉です。

例えば、富士山に登る場合にもいろいろな登り方が選べます。
その登り方の違いが戦略の差で、戦略の差によって有利に勝てたり、負けたりするのです。

戦略において、ベストな方法は、他店と絶対に競争をしないことです。
競争しないで済むような、他店のレベルとは全く異なる高い商品力とか、素晴らしいサービスを提供する、あるいは、他店が真似もできないような店舗力を持つことも、戦略です。

戦略とは、お客さまの強いニーズがある部分で自店、自社の強みを最大限に強化し、お客さまを魅了し続けることです。
営業時間の設定なども戦略であり、コンビニの24時間営業も戦略ですが、ライバルが皆同じようにすれば差別化ができないので、有効な戦略にはなりません。

そのため、お客さまが自分でも気づかないようなことを先取りして取り組んだ結果、それがお客さまにとって、非常に嬉しいことであれば、他店と差別化できる戦略になり得るのです。
ウーバー・イーツを使ったデリバリーだけのレストランなども、これからは有効な戦略になり得るのです。

6.ビジネス・モデル・シミュレーションで収益の確認

お客さまが明確になり、戦略が明確になれば、このビジネスを行うべきロケーションもだんだん明確になってきます。
同時に店舗サイズ、席数もビジネス・モデル・シミュレーションにより、明確になります。

ビジネス・モデル・シミュレーションでは、総投資金額に合っているかどうか、得たい利益が確保できるかどうかを何度も何度も、シミュレーションして明確にしていきます。
これらはすべて、当社のうどん学校、そば学校、ラーメン学校の中でビジネス・モデル・シミュレーション・シートを使って計算し、どのようなビジネス・モデルを組めば、収益の最大化ができるということをアドバイスしています。

ビジネス・モデル・シミュレーションを繰り返し、精度を上げていくと、実際に開店しないでも、開店する前から、どのような店を作ると、幾ら程度の売上があがり、幾ら程度の利益が得られるのかが分かります。
その場合のパラメーターは、席数、回転率、客単価、原材料費率、人件費、水道光熱費、家賃、その他経費などになり、それぞれのパラメーターを変えると、全体の売上、利益が変わり、今までの常識がいかに間違っていたかが、分かるようになります。
麺ビジネスで成功するか否かの半分程度は、このビジネス・モデル作成で決まってくるのです。

例えば、多店舗のチェーン展開に成功している企業は優れたビジネス・モデルを構築できたので、チェーン展開ができたのです。
チェーン展開を短時間で進めるには、利益が伴っていないとできないので、いかに無理なく、利益が出るビジネス・モデルが組めるかが、大きな課題になってきます。
従って、ビジネス・モデル作りには、開店に要する全エネルギーの半分程度を注ぎ込むくらいの覚悟を持って行うことをお勧めします。

7.収益の上がるビジネス・モデルに適した立地と物件の確認

前項で収益の上がるビジネス・モデルが明確になると、次には、それを実際の商圏に当てはめてみます。ここで、当社が請け負っている「商圏分析」で、大体の商圏を分析してみると、どの辺でやれば良いのかがある程度、分かります。

また、郊外であれば、席数に対して、どの程度の駐車場台数が必要であるかも明確になります。昼間人口が十分いて駐車場は要らないと思っている商圏でも、商圏分析の結果、その商圏が線路や幹線道路・川で分断され、実際には駐車場が必要な場合がよくあります。従って、物件を決める前には、必ず、商圏分析をすることが欠かせないのです。この結果をもとにして、探すべき店舗のロケーション、店舗サイズが明確になり、ここで初めて不動産屋に物件を紹介してもらえるようになるのです。

8.不動産屋で物件情報を収集し、紹介された物件を見て回る、それ以外の物件も見て回る

上記7で、ロケーション、店舗サイズ(坪数)が決まれば、そのエリアの賃貸商業物件専門の不動産屋に当たります。

当社も全国の拠点の物件を入手するために、各地の不動産屋へ当たり、拠点の物件を確保してきました。
当社の場合は、最寄りの駅からは徒歩圏内、近くに駐車場もシッカリあり、広さも十分あり、比較的新しい物件というように具体的な条件を伝えます。
その結果、候補があれば、遠方の場合でも何度も下見に行き、慎重に物件を入手してきました。
それでも不動産屋では気に入った物件が見つからない場合は自分で車を運転して、通りすがりに良い物件を見つけたこともありました。
また、不動産屋から物件情報を入手した場合には、可能性のある物件は人任せにせず必ず自分の目で十分に確認することが重要です。

住宅街の場合は、必要な駐車場が確保できるかどうか、さらに物件の周辺を確かめて、麺ビジネスを開業した場合、将来、障害になるようなものがないかどうか、十分に確認するのです。
過去も幾つか事例があったのですが、住宅街に近いような場所であれば、お客さまが近隣の住宅の前に無断駐車し、たくさんのクレームが来て、かろうじて繁盛しているのに、閉店せざるを得なくなる場合さえあるのです。

9.可能性の高い立地が見つかった場合

更に物件を確保する前に行わなければいけない重要な事項は、借りる前に必ず、レイアウト図面を引き、店舗として効率の良いレイアウトができるかどうか、必要な席数が確保できるかどうかを確かめなければなりません。

店舗のロケーションとサイズは良いのに、形が悪かったり、柱が邪魔をして店舗にならない場合もあるので、レイアウトは必須です。
これは実際に多くの人ができていない重要事項で、特に規模の小さい店ほど、障害物があれば、店舗運営の致命傷になります。
レイアウト上で問題があれば、もし、この物件を気に入っていても、絶対に借りてはいけないのです。

注意点: ほとんどの必要事項は、立地を決める前にやっておかねばならないことばかりです。立地を決める後で行うと取り返しがつかない事になる事だけは覚えておいた方が良いでしょう。

第二章 なぜ、多くの人は立地で間違うのか?に続きます。