こってりとは、濃度・密度が高いという意味です。 こってりラーメンは3つの要素が関係しています。 風味が豊かで臭みがないこと、低い塩分濃度、密度粘度

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こってりラーメンは、ラーメンを世界に知ってもらうキッカケを作った麺料理かもしれない

日本のラーメンが寿司と並ぶ世界的な名物料理になったのは、独特のこってりスープ。濃厚でクリーミーなスープに、細くて硬い麺が良く絡みます。

スープは、豚骨や鶏ガラを長時間強火で煮込んで作られることが多いです。

発送の地である博多の地名から博多ラーメン」が豚骨であることから「豚骨ラーメン」とも呼ばれています。高濃度で塩分濃度が低いスープと低加水の細麺が特徴で、人気がとても高いです。

世界の他の麺料理には、類似の麺料理はありません。そのため、日本のラーメンとんこつ専門店のいくつかのブランドが各国に出店し、長年にわたって好調を維持しています。

しかし、こってりラーメンを作るには、難しい問題があります。

それはスープを作るには時間がかかり、同時に手間もかかります。美味しく作るのには、失敗しやすいことで有名です。

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海外への出店をお考えの方へ

なぜ博多豚骨ラーメンは、世界中で愛されているのでしょうか?

過去の歴史、文化からなぜ世界中で人気が高いのかを解説します。

このコンテンツの源泉は、過去のお客様とともに積み重ねたさまざまな経験にあります。

調べても出てこない課題にチャレンジしたからこそ得た経験。

グローバルに愛されるその魅力をまとめています。

味覚の違いを理解して、海外展開するアイデアを得たい方にオススメです

絶品こってりラーメンのスープの作り方とコツ

過去20年以上にわたり、大和ラーメン学校では、ラーメン料理を一から作る方法を教えてきました。各生徒が作りたい様々なラーメンのスープや麺、トッピング、盛り付けのテクニックから、ラーメン店の経営や運営方法まで教えています。これまで2,100人以上の生徒さんを指導し、何千もの、こってりラーメンのスープを調理してきた中で、失敗のない本格的なラーメンのスープを作る方法があります。

大和ラーメン学校卒業生の方たちは、その原理と方法を、成功したラーメン・ビジネスの運営に応用しています。

この記事では、こってりラーメンのスープを効率よく、一貫性をもって作るための原理原則を実践していただけるよう、そのノウハウと方法をご紹介します

こってりラーメンを美味しくする理由とは?

美味しいこってりラーメンのスープの要素

こってりラーメンスープの要素
Rich in flavor(no bad odor)=風味豊かで悪臭がないこと
Low salinity level=低い塩分濃度
Density viscosity=密度 / 粘度

こってりラーメンのスープを作る前に、美味しいこってりラーメンの特徴について解説します。ラーメンスープの要素として3つのポイントがあります。

一つ目は、濃厚な味わいがある一方で、臭みがないことです。

濃厚ラーメンスープは、豚骨や鶏ガラなどの動物系素材を煮込んで作ることが多いため、素材から出る嫌な獣臭がスープに入りやすいです。

しかし、良い点としては、その臭いの発生源がわかっていることです。

発生源は、食材に含まれる血液などから発生します。

ラーメンスープから臭いを消すためには、強火で煮込んでアクを出す必要があります。残ったアクは悪臭の元になるので、徹底的に取り除きます。

重要なのは、調理温度と時間です。最も効率よくアクを出せる温度があります。

その温度で一定時間煮込み、アク抜きを行います。あとは目標の温度まで煮込みます。

 

スープの濃度が高くうま味の凝縮度が高いこってりラーメンのスープは美味しい

調理が進むにつれて乳化していくストック

こってりとは、密度が高いという意味でもあります。美味しいこってりラーメンのスープには、スープの密度が高い必要があるのは当然のことです。しかし、それは同時に粘度が高いことも意味します。

高濃度ラーメンのスープは粘度が高く麺にスープがよく絡むのも、こってりラーメンのポイントです。粘度を高めるためスープを強火で長時間煮込みます。

豚骨は鶏枝肉よりもコラーゲンが多く含まれています。一方、鶏枝肉はゼラチンと脂肪が多く、スープに染み出していきます。

しかし、強火で長時間煮込んでいくと浮いた油がなくなり、出汁が白濁します。出汁が白濁する現象を乳化といい、液状の出汁と飛散した油が乳化して出汁の中に溶け込みます。

白濁したダシがよく乳化(油とダシがよくなじみ)しており、ダシの味に丸みが現れます。

鶏枝肉や丸鶏は豚骨に比べてコラーゲン(タンパク質)が少ないため、乳化を早く進めるためにコラーゲンを多く含むチェックフットを加えることもあります

高濃度・高粘度でうま味濃度が高く少量の調味料でおいしいラーメンのスープができる。

各ラーメンごとの元ダレの添加率の比較表
各ラーメンスープにおけるベーススープへの「もとだれ」添加率

濃厚なラーメンスープは、わずかな量の調味料(元ダレ)で美味しく仕上げることができます。こうした濃い味のラーメンが世界中で人気を博しているのは、この特徴に理由があるかもしれません。

例えば、日本のラーメンスープは塩分が多く、塩辛く感じる人も少なくありません。これは、スープのベースとなるダシが薄味でうまみが少ないためです。その結果、麺に合わせて十分な味わいを出すためには、多くの「元ダレ」が必要になります。しかし、うまみが豊かな濃いダシを使用すれば、少ない「元ダレ」でスープを完成させることができます。

塩分が多いラーメンスープに馴染みのない人々は、とんこつや白湯スープ(鶏ガラを使った濁りスープ)に満足感を覚えることもあります。とんこつラーメンや鶏白湯ラーメンは、他のあっさり系ラーメンと比較して、スープのベースに加える。

「元ダレ」の量が少ないのが特徴です。例外的につけ麺は濃い味が求められるため、この傾向からは外れることがあります。

こってりラーメンのスープ作りを商業的に成立させる3つのポイント

Ingredients = 材料
Equipment = 装置
Methods = 作り方・方法

こってりラーメンのスープの3つの要素は解説しました。しかし、どう活用してこってりラーメンを作れば良いのでしょうか?

スープ作りを商業的に健全で安定したものにするには、やはり3つのことを理解する必要があります。

・食材

・製法

・設備

この3つです。それぞれについて詳しく解説します。

こってりラーメンのスープに使われる具材は多種多様だが、野菜や魚介類もいろいろ使える。

もちろん、こってりラーメンのスープを作るには素材が重要です。骨、皮、足などの普通なら捨てられてしまうような部位をスープに使う理由は明白です。

ラーメン屋さんはカットした肉の残りでスープを作ります。そのロスの中から美味しいラーメンのスープができます。では、美味しいラーメンスープを作るための素材選びの基準とは一体何なのでしょうか?

第一のポイントは、品質です。良質なラーメンスープの材料の一つは、鮮度です。切りたての骨や鶏肉は、卵を産まなくなった鶏を使いたいところ。

古い鶏は肉には向かないかもしれませんが、スープ作りには最適です。選ぶ場合は、ブロイラーよりも放し飼いの鶏の方が良いです。大和製作所がラーメンスープに使う食材に求めるのは、そういった品質です。

高品質なラーメンを作るためには、適切に処理された食材が必要です。例えば、鶏の足の爪や豚足は、ラーメンのスープには不適切なものもあります。ですので、調理前に丁寧に取り除くべきです。また、豚骨や鶏の血は、洗浄することでアクを抑えることができます。

こうした食材の下処理は、美味しいこってりラーメンを作る際に非常に重要な工程です。

軟水は時間短縮さらにはうま味が溶け出しやすくなります

軟水器は比較的低価格で、シンプルで使いやすい。水が硬い場合は、ぜひ設置することをお勧めします。

こってりラーメンを作るためには、効率的調理する設備が欠かせません。こってりスープを作るためには長時間の調理が必要なので、時間を短縮することが商業的にも重要です。可能な限り、時間短縮のための工夫を取り入れるべきです。

最も簡単に時間を短縮できる設備として挙げられるものは、軟水器です。使用する水が硬水(60ml/L以上のミネラル含有)の場合、特に注意が必要です。

なぜなら、硬水は、スープのうま味の抽出を妨げる可能性があるからです。硬水は、ミネラル(カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg))をたくさん含んでいるため抽出に時間がかかります。そのため、ダシを取る過程では食材から水やダシへ、うま味分子を移すことが重要になってきます。

もう少し詳しく解説すると、ミネラル分が多い水では、うま味成分が溶け出す余地が減り、抽出に時間がかかるうえ、食材側にうま味が残りやすくなってしまいます。これは、スープ作りの効率にも影響を及ぼします。硬水を使用すると、調理時間や歩留まりが大きく変わることがあり、長い目でみると労働時間の延長や生産量の減少、光熱費の増加などなど、数十万円のコスト増につながる可能性もあります。

現在では、物価高の高騰もあるため、できるだけ抑えれるコストは抑えておくべきです。

こってりラーメンスープをスープこしで濾す

特にこってりラーメンの出汁は、手でこするのに非常に時間と労力がかかります。

こってりラーメンのスープ作りでは、スープ漉し機の使用が重要です。スープのベースを作った後、それを漉す必要があります。この作業は基本的には手作業で行われており、ストレーナーを使ってスープを絞り出します。しかしこの工程(上下左右に揺って絞りだしたり等)は時間がかかり、特に食の安全性を確保するために、素早く冷やす必要性があります。

なぜすぐに冷やすのかというと、この作業に何時間もかかると腐ってしまう可能性があるからです。

そこで大和製作所では、できたベースストックを機械で漉す方式を採用しています。リッチスープは、遠心分離の仕組みを利用して、熱いスープを短時間で自動的に漉します。リッチスープを使うと、すべてのダシが遠心分離の力で絞り出され、手作業での損失が大幅に減ります。また、手で絞ると残った食材にダシが残り、これが無駄になってしまいます。

さらに、機械で漉すことのもう一つのメリットは味です。理由は、食材を手で押し込んでダシを絞ると、漉し汁に食材の粒子が残り、食感に影響を与えることがあります。機械で漉すことで、こうした不純物を最小限に抑えつつ、ベーススープを作ることが可能です。

ラーメンのスープの質を高く安定させる

ラーメンスープの測定、屈折計
ラーメンスープを実際に測定

ラーメンスープを作る際には、他にもお勧めしたい設備があります。例として、コンロの火力、適切なサイズのストックポット、スープの濃度を正確に測るための屈折計などが挙げられます。

さらに、新規にラーメン店を開業する方々へのサポートとして、「新規開業あんしんガイド」を提供しています。開業に際しての不安や時間のロスを解消し、成功に必要な要素に集中できるようにサポートします。

デジタルクッキング醤油ラーメン

過去20年にわたり、大和製作所は「デジタル・クッキング」と称するラーメン作りの新しい方法を開発してきました。これは、ラーメン作りのさまざまな要素をデジタル化することで、経験の有無に関わらず誰でも簡単に、何度でも本格的なプロの品質のラーメンを作れるようにする手法です。

私たちの方法は、20年以上にわたるラーメン作りの実践と研究から得られた科学的、経験的データに基づいています。例えば、塩分濃度、甘味、時間、長さ、重さ、サイズ、温度、比率、パーセンテージ、速度、タイミングなど、さまざまな変数をコントロールすることにより、一貫した品質のラーメンを再現することができます。この一貫性が品質を保ち、ブランドを作ります。

デジタル・クッキングは、独自のこってりラーメンを作るための強力な手法です。大和ラーメン学校で教えている内容ですが、遠方の方でも大和オンライン麺スクールを通じていつでもどこでも学ぶことができます。

こってり味のラーメンスープを作るためには、今まで大変な手間や時間がかかり、難しいとされてきました。

しかし、デジタルクッキングのようなデータを元にして活用すれば、適切な設備や食材を組み合わせることで、誰でも同じ味を再現でき高品質なラーメンを作ることができます。

これまでの伝統的な長い修行や感覚頼りの手法ではなく、科学的な分析と数値に基づいた手法で、短期間でプロの技術とノウハウを習得することができます。これからの新しい時代のラーメン作りを体験したい方はこちらで学ぶことができます。

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プレゼンター

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)

藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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