第二章 実は拡大し続けている、うどん・そば市場!!の続きです。

儲かる店と儲からない店の二極化の要因は、ズバリ「味」です。

どういうことかというと、インターネットが普及してグルメサイトが普及した結果、「味」の良し悪しが食べる前に瞬時にわかる時代になった、ということなのです。

1.インターネットの大きな進化で、あらゆるすべてのビジネスが根幹から変化している

すなわち、グルメサイトの出現がレストランビジネスの強者と弱者を明確に分けてしまったということです。グルメサイト上でのスコア(点数)で、一般消費者がおいしい店とそうでない店を、簡単に見分けられるようになったのです。 具体的には・・・
  • スコアが3.0付近であれば、生き残るのが難しい
  • スコアが3.5以上であれば、生き残ることは十分に可能
  • スコアが4.0を超えれば、どんなに辺鄙(へんぴ)なところへ出店しても行列になる
  • 開店時に、悪い点数が付くと、その後の努力で点数を上げるのは非常に難しい
と、いうことなのです。では、どうすればこのスコアを上げられるのでしょうか? スコアを上げる一番の近道は、商品力のアップです。 麺専門店の場合は、どこにも負けないおいしい麺の提供は当たり前で絶対に妥協しない、おいしい麺を提供する、ということです。 実際、消費者がうどん・そば店を選ぶ理由を調べると、以下に示す様な結果になっています。

消費者がうどんそば店を選ぶ理由

消費者がうどんそば店、ラーメン店を選ぶ理由 (出所)2013年1月当社データより 回答数526件
  1. 麺がおいしいから
    36.5%
  2. だしがおいしいから
    32.0%
  3. 自宅/学校/職場に近いから
    15.7%
  4. 場所が便利だから
    7.9%
  5. ボリュームがあるから
    3.5%
  6. 種類が多く、飽きないから
    3.1%
  7. 有名店だから
    1.3%
(出所)2013年1月当社データより
回答数526件

同じようなことが昔、テレビ番組で人気があった「愛の貧乏脱出大作戦」という番組で指摘されていました。この番組、若い人は知らない人が居るかもしれませんが、ある程度の年齢の方はご存じかと思います。

この「愛の貧乏脱出大作戦」で取り上げられる駄目な店の事例は、次の様な特徴を持った店でした。

  1. 商品が美味しくない(商品力が弱い)
    商品力
  2. メニューが多すぎる(強い商品、看板商品がない)
    商品力
  3. 店が汚い(掃除ができていない)
    クリーンネス(衛生)
  4. 活気がない(やる気が感じられない)
    サービス力
  5. 何屋か分からない(お店の特徴がない)
    店舗力(コンセプト)

こうして振り返ってみてみると、なかなか面白い内容であり、その通りだと思えます。

やはり、何よりも商品力(=要は味)が大切であることがよくわかります。

2.過去の成功体験がすべて崩れ去っている

このような変化の結果、過去の成功体験がほとんどすべて、崩れ去りました。
それは大きく次の3つです。

崩れた成功体験1:原材料費率

過去は、原材料費率をかけないのが基本でした。具体的に、原材料費率が30%を切っているのは、当たりまえでした。

今は違います。
今は、外食産業全体の平均が原材料費率40%。
いきなりステーキ、俺のフレンチは60%。
スシローは50%。
同じ業界内であれば、成功している店(お客さまを確保できている店)ほど原材料費をかけています。
基本的に、原材料費率をかければかけるほど、商品力は上がり易いのです。

崩れた成功体験2:座席数

規模の小さい店、席数の少ない店が不利になっています。規模の小さいほど、生産性が低い傾向が出ています。なぜなら規模の小さい店ほど、店舗面積に占める厨房の面積が大きくなり、売上を上げるための席数が取れないからです。

特に地方の場合は食事の時間はほぼ一定なので、席数がないと多くのお客さまを取り込めません。

また規模の小さい店ほど、人手を集めにくく、その結果人件比率が高くなる傾向があります。

崩れた成功体験3:駐車場が足りない

ほとんどの新規出店者、あるいは既存店オーナーは駐車場が足りないことに無頓着です。

意外と知られていませんが、大都市でも半径500mで昼間人口2万人以上いない場所では、必ず駐車場が必要です。

駐車場が足りないために、売上の上がらない店は数えきれません。ちなみに、有料パーキングは駐車場にはなりえません

3.大きな環境の変化に気づき、対処できる企業だけが生き残れる

生産性を上げるための、ITとの融合も欠かせません。具体的にはハンデイー・ターミナルを使ったオーダー・エントリー・システムの導入など、ITとAIの活用です。
飲食業界でのITとAIの活用成功事例として、ゑびや大食堂を挙げられます。

成功事例

“老舗ベンチャー”ゑびや大食堂が「的中率9割」のAI事業予測をサービス化!

三重県伊勢市で商店(土産物店)や和食堂・屋台などの商業施設を営む創業100年の老舗、有限会社ゑびや。

「業務効率と収益率を上げて、未来への投資や賃金上昇、休暇の付与につなげたい」という信念のもと、伝統ある企業ながら、クラウド プラットフォーム「Azure」を土台に、これまで自社での研究に基づく「予測的中率 90%超」という驚異的な来客予測・マーケティング効果測定による事業予測ソリューションを開発。

導入前後で売上 4 倍、利益率 10 倍、平均給与 + 5 万アップという実績をたたき出している。

“老舗ベンチャー”ゑびや大食堂が「的中率9割」のAI事業予測をサービス化!ITビジネスに参入決断した「その理由」
https://japan.cnet.com/extra/ms_ebiya_201710/35112861/

この成功事例から学べることは、事業規模の大小ではなく、IT、AIへの取組みの真剣度がビジネスの成否を決定するということです。
このゑびや大食堂の来客予測ソリューションは、同業の飲食店向けに外販もされており、大いに注目できるものといえるでしょう。

いずれにせよ、大切なことは原材料費率を上げて味をよくしてスコアを上げ、客数を増やすということです。
そして増えた客数に対応できる席数と駐車場を用意し、かつデジタルを活用して人件費率を下げる努力を継続して行う、ということです。
では、どうすれば味を良くできるのでしょうか?