細麺が切り拓く、麺ビジネスの新しい未来

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小麦価格の高騰、人手不足、規制の強化…。次から次へと押し寄せる困難に、多くの店主が頭を抱えています。

しかし、歴史を振り返れば明らかなように、最大のピンチこそ最大のチャンスです。今回は、業界の困りごとを逆手に取り、競争のない市場で大成功する戦略をご紹介します。

今、麺ビジネスが直面している深刻な現実

無言になる男性

まず、現在の麺ビジネスが置かれた状況を正直に見つめてみましょう。

お金の問題:上がり続けるコスト vs 上げられない価格

材料費の高騰が止まらない
小麦粉の価格は上昇を続け、電気代も高止まり。でも「ラーメン一杯1,200円」にしたら、お客様は来てくれるでしょうか?値上げしたくても、できないのが現実です。

人件費の重圧
2025年には全国平均最低賃金が1,118円に到達予定。でも売上は変わりません。

見えないコストの連続攻撃

  • 券売機の更新:数十万円
  • キャッシュレス決済手数料:売上の3-4%
  • デリバリー手数料:注文の30%以上
  • 光熱費:月々数万円の増加

まさに「利益を奪うコスト」が次々と押し寄せてきます。

人の問題:採用も教育も限界

「人が来ない、来ても続かない」
求人を出しても応募がない。やっと採用できても、1週間で辞める。残ったスタッフの教育にも時間とお金がかかります。慢性的な人手不足で、店主は休む暇もありません。

お客様は増えているのに対応できない
インバウンド客は過去最高の343万人。お客様が来てくださるのは嬉しいけれど、ピーク時の回転率に店が耐えられません。「せっかく来てくれたのに、満足してもらえない」というジレンマです。

ルールの問題:守るべき規制が急増

現代の飲食店は、美味しい料理を作るだけでは済みません。

  • HACCP対応:食品安全管理の義務化
  • アレルゲン表示:詳細な成分表示が必要
  • 排水規制:環境への配慮が必須
  • プラスチック容器削減:環境対応のコスト負担

「料理に集中したいのに、書類仕事ばかり増える」という声も聞こえてきます。

業界全体の危機感

2024年のラーメン店倒産件数は前年比3割増。薄利多売の業態が、このコスト高の直撃を受けているのです。

しかし、この状況には新たな可能性も秘められています。

その答えの一つが「差別化細麺戦略」です

ピンチを逆手に取る「差別化細麺戦略」

戦略ピース

なぜ細麺なのか?

答えは簡単です。競合が少ないことです。

「生そうめん」「手打ち冷や麦」というカテゴリーは、まさにブルーオーシャン市場。多くの店がラーメンやうどんで激戦を繰り広げる中、この分野は驚くほど手薄なのです。

3つの細麺戦略

1. 高い回転率を実現

  • 茹で時間はわずか30〜90秒
  • ピーク帯でも2割以上の回転率向上が可能
  • 待ち時間短縮でお客様満足度もアップ

2. 大幅なコスト削減

  • 茹で時間短縮でガス・電気代を削減
  • 調理工程簡素化で人件費効率化
  • 食材ロスの最小化

3. 差別化価値

  • 「打ち立て体験」という特別感をお客様に提供
  • 他店では味わえない独自の食体験
  • SNS映えする美しい盛り付けも実現しやすい

多加水製法&代替素材で練る無限の可能性

パズルのピース

細麺戦略をさらに進化させるのが、多覆加水製法と代替液体練りの組み合わせです。

多加水製法(40〜50%)の魅力

  • 小麦本来の香りが際立つ
  • モチモチ感が格段にアップ
  • テイクアウトやデリバリーでも麺が伸びにくい

代替素材で練る麺の無限の可能性

豆乳練り麺

  • 植物性タンパク質で栄養価アップ
  • ビーガンや乳アレルギー層に対応
  • 健康志向の高まりに完璧にマッチ

牛乳練り麺

  • 動物性タンパク質と乳糖の甘みでコクとまろやかさ
  • 女性・子ども向け「美容系麺」として差別化
  • スイーツ麺という新ジャンル開拓も可能

その他の可能性

  • 緑茶・抹茶練り → 色彩豊かな機能性麺
  • 昆布出汁練り → 旨味を閉じ込めた出汁麺
  • 清酒・ワイン練り → 高級感あふれる酒練り麺
  • ビーツジュース練り → インスタ映え抜群の赤い麺

これらを組み合わせれば、あなたの店は健康・美容・高級・映え・デリバリー適性すべてを兼ね備えた新時代の麺店に生まれ変わります。

今、細麺に注目する理由とは?

時代の追い風

  • 健康への関心が高まっている – コロナ以降、体に良いものを食べたいお客様が急増
  • 写真映えする料理を求めている – SNSに投稿したくなる美しい盛り付けが人気
  • 忙しい現代人は待ちたくない – 「早く出てくる美味しい料理」への需要が拡大
  • 他では味わえない特別感を欲しがっている – ありきたりな料理ではもう満足してもらえない

ライバルが少ない市場がある

  • 生そうめん・冷や麦の店がほとんどない – ラーメン激戦区でも細麺専門店は皆無
  • 始めるのにそれほどお金がかからない – 大型設備投資なしでスタート可能
  • 他店との違いを作りやすい – 麺の種類や味付けで簡単にオリジナリティを演出
  • 利益率が高い – 茹で時間短縮と回転率向上で、しっかりと儲かる仕組み

技術的視点

  • 製麺機の性能が格段に向上 – 家庭用レベルでもプロ級の麺が作れる時代に
  • 多加水製法が簡単になった – 以前は職人技が必要だったが、今は誰でも習得可能
  • 液体練り技術が実用レベルに – 豆乳や牛乳で練る技術が安定して使えるように
  • 調理システムが効率化 – 少ない人数でも高品質な料理を素早く提供できる

数ではなく質で勝負する

アメリカでは In-N-Out Burger が、極端に絞り込んだメニューで圧倒的ブランドを築きました。
日本では、丸亀の 「一鶴」 が「骨付鳥」という一本勝負で300席の店を満席にし続けています。
博多の 「一風堂」 も、ラーメンの本質に集中し、世界展開に成功しました。

彼らが示しているのは一つの真実です。
「数ではなく、質で勝負する」 ということ。

メニューを減らすほど、商品は磨かれる。
そして「この店といえばこれ」という絶対的な商品力が生まれ、競争は消えます。

麺ビジネスにおいて、その中心となるのは――圧倒的に美味しい自家製麺です。

成功への第一歩

困難を嘆くのではなく、それを武器に変える。これが新時代の麺ビジネス成功の鍵です。

今まさに苦しんでいる状況を、逆に「チャンス」として活用しましょう。これが新時代の麺ビジネスで生き残る唯一の方法です。

具体的にどうすればいいの?

答えはシンプルです。「誰もやっていない細麺」×「特別な製法」

この2つを組み合わせることで、競争が少ない市場で、お客様に愛される繁盛店になれる可能性が高まるのです。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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