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飲食業界全体を揺るがしている「人手不足」の波。
ラーメン店やうどん店、そば店など麺類を扱うお店でも例外ではなく、多くの店主が頭を抱えています。
人手不足で「仕入麺」に流れる店が増えている
最近、実際に麺専門店のコンサルタントからこんな言葉を聞きました。
「今、多くの店が人手不足で自家製麺を諦め、仕入麺に切り替えていますよ」
製麺機を導入しても、それを動かす人材がいなければ意味がない。仕方なく仕入麺に頼る──それは一見「合理的な選択」に見えるかもしれません。しかし、この選択は本当に正しいのでしょうか?実は、そこには大きな落とし穴があります。
仕入麺を使い始める店が増えると、味の差別化が失われます。その結果、お客様が「あなたの店を選ぶ理由」はなくなり、最後には避けられない価格競争に巻き込まれていくのです。
けれども同時に、ここには大きなチャンスが隠れています。他店が仕入麺に流れる今だからこそ、あなたの店は「唯一無二の存在」になれる可能性を秘めているのです。
競争しない戦略から学ぶ
では、どうすれば「人手不足の時代に勝ち残る店」になれるのでしょうか。ヒントは、うどん県・香川にあります。香川は日本でも有数のうどん激戦区。
無数のセルフうどん店が立ち並び、まさに血みどろの価格競争が繰り広げられています。普通に考えれば、この中で新たにうどん店を成功させるのは至難の業。
しかし、そんな香川で圧倒的に成功している外食企業があります。それは、実はうどん屋ではありません。「骨付鶏の一鶴」です。
一鶴は、うどんというレッドオーシャンに決して足を踏み入れませんでした。代わりに、骨付鶏という「誰も戦っていない土俵」を選び、唯一無二のポジションを築いたのです。
ここから学べる教訓はシンプルです。ビジネスで成功するための最高の戦略それは、「競争しないこと」。
いま人手不足で、多くの店が仕入麺という同じ道に逃げ込んでいます。だからこそ、あなたには「違う道」を進む大きなチャンスが訪れているのです。
利益を最大化する価格設定とは?
「競争しない」戦略を実践するために欠かせないのが、価格の付け方です。多くの店主は「一番たくさん売れる価格」を基準にしてしまいがちです。しかし実際には、それでは利益はほとんど残りません。
経営者が本当に狙うべきは、「利益を最大化できる価格」です。それは多くの場合、「一番売れる価格」と「高すぎて売れない価格」のちょうど中間に存在します。
シミュレーションで見る「価格と利益の関係」
例えば、以下のようなシミュレーションを考えてみましょう。(※数字はイメージです)

この上記の表を見ると一目瞭然です。
600円なら「一番多く売れる」けれど、利益はほとんど残らない。
1,200〜1,400円の価格帯になると販売数は減るが、総利益は最大化する。
「売れる価格」と「儲かる価格」が違うことが分かります。
グラフで視覚化するとさらにわかりやすい

利益は「1,200〜1,400円」でピークになる。
つまり「安さで数を売る」戦略では、結局経営は疲弊してしまうのです。
実際の成功事例:一風堂の挑戦
かつて、博多一風堂が最初のお店を開いたとき。当時の博多ラーメンの常識を遥かに超える、高い価格設定を行いました。しかし、その一杯には他を圧倒する価値が込められていました。そしてその戦略を貫いた結果、創業から40年で「世界の一風堂」と呼ばれるブランドに成長したのです。
高価格戦略によって何が変わったのか?最も大きな変化は、「お客様の質」でした。安さではなく本物の価値を求めるお客様が集まることで、強固なファン層が形成されたのです。
利益最大化価格を探す方法

「一番売れる価格」と「利益が最大化する価格」は違う。頭では分かっていても、「では自分の店ではどうすればいいのか?」と感じる方も多いでしょう。ここでは、実際に利益最大化価格を見つけるためのステップを簡単にご紹介します。
1.現状を把握すること
2.テスト販売を行う
少し価格を上げて販売してみる
食数がどのくらい変化するかを記録する
ポイント:価格を100円上げても食数があまり減らなければ、実は大きな利益アップが期待できる。
3.売上と利益を比較する
「売上が最大化する価格」と「利益が最大化する価格」の両方を確認する
違いを数字で把握する
ポイント:売上がピークでも、利益が残らなければ意味がありません。利益が一番残るポイントを「意識すること」が大切です。
4.品質とのバランスを考える
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高価格を設定するなら、麺・スープ・盛り付けなど商品の品質を極限まで高める必要がある。
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「価格に見合う価値」をお客様に実感してもらうことが条件です
チェックしておきたい点(まとめ)
- 現状の価格と粗利を把握している
- 少し価格は上げてテスト販売したことがあるか?
- 売上最大化価格と利益最大化価格の違いを理解しているか?
- 高価格帯に見合う品質向上に取り組んでいるか?
自家製麺こそが「利益最大化価格」を可能にする
ここまで見てきたように、繁盛店になるためには「利益を最大化する価格帯」を狙うことが不可欠です。
しかし、そのためにはもう一つ大きな条件があります。それが自家製麺です。
なぜ仕入麺では限界があるのか?
仕入麺を使っていると、以下のような問題が発生します。
原価率が固定化される
仕入価格に依存するため、柔軟に価格戦略を取ることが難しい。差別化ができない
他店と同じ麺を使うため、価格以外の武器がなくなってしまう。品質のコントロールが効かない
お客様に「この店でしか食べられない味」を提供できなくなる。
つまり、仕入麺では「価格を自由に決める力」も「唯一無二の価値」も手に入りません。
自家製麺なら利益をコントロールできる
一方で、自家製麺に取り組めば次のような強みを得られます。
原価を下げられる
1食あたりのコストをコントロールできるので、利益最大化価格を狙いやすい。独自の味・食感を作れる
他店にはない「参入障壁」を築ける。価格に見合う価値を実現できる
高価格でも「納得して払いたい」と思わせる品質を提供できる。
一見すると仕入麺の方が、合理的に見えても、数字に落とし込んでみると大きな差もあります。
詳しくはこちら:【自家製麺の採算計算】
まとめ

視点を変えれば、人手不足はチャンスでもある
いま日本中の麺店が直面している「人手不足」。多くのお店が仕方なく、仕入麺に流れ、差別化を失い、価格競争に巻き込まれています。しかし、その流れを視点変えてみることで見える景色も違います。
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競争しない戦略をとること
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利益最大化価格を狙うこと
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自家製麺で唯一無二の価値を提供すること
この3つを意識して、実行することができれば、あなたの店は「その他大勢」から抜け出し、唯一無二の存在へと昇華できるはずです。
人手不足は、危機ではなく、ある意味時代の追い風です。店の本当の価値を、お客様に問いかける時が来たのです。