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世界麺未来戦略研究所

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

月曜日は、値上げしても選ばれる看板商品のつくり方を、水曜日は、その価値を現場全員で再現し、伝える管理法をお伝えしました。

そして本日は、値上げ後の数字を、どのように検証するかについて考えます。

値上げは、実施して終わりではありません。その価格で選ばれ、必要な利益を確保できるかどうかは、実施後に検証すべき仮説です。

数日間の客数だけで判断してはいけない

値上げの翌日に客数が減ると、不安になる経営者は多いと思います。すぐに値段を戻したり、割引を始めたりする店もあります。

しかし、1日や2日の数字だけでは判断できません。

天候、曜日、地域の行事、競合店の販促、給料日前後など、さまざまな要因で客数は大きく変わります。

そこで、まずは4週間を一つの目安に、値上げ前後を比較します。曜日構成や営業日数、天候などの違いを考慮し、来店間隔が長い店では、再来店の確認をさらに続ける必要があります。

売上だけでは成功か失敗か分からない

例えば、値上げ後に売上が10%増えたとします。それだけを見れば、成功に見えます。しかし、客数が20%減っていれば、将来の常連客を失っている可能性があります。

反対に、客数が5%減っていても、粗利益額が15%増え、混雑が緩和され、サービスの品質が上がっているなら、経営としては改善している可能性があります。

見るべき数字は、売上だけではありません。

値上げ後に確認する7つの数字

1 客数

来店が減っていないかを確認し、価格変更の影響と、天候や曜日などの影響を分けて考えます。

2 客単価

値上げ分だけでなく、サイドメニューや追加注文を含めて確認します。

3 商品別の注文構成

高価格の商品から低価格の商品へ、注文が移っていないかを見ます。

4 粗利益額

粗利益率だけではなく、店舗全体に残った粗利益額を確認します。

5 一杯当たりの粗利益額

忙しくても利益の残らない商品が増えていないかを確認します。

6 人時粗利益

人時粗利益は、粗利益額をスタッフ全員の総労働時間で割った数字です。売上が増えても、それに見合う粗利益が残らず、人員や作業時間ばかりが増えていれば、生産性が上がったとはいえません。

7 再来店と苦情と食べ残し

売上などの集計値だけでは捉えにくい変化も確認します。特に、常連客の再来店や食べ残しは、商品の価値が維持されているかを知る手掛かりになります。

値上げと客数増加は両立できる

米国のCAVAは、2026年度第2四半期に、既存店売上高が前年同期比9.0%増加しました。その内訳は、客数による増加が5.3%、価格と商品構成による増加が3.7%です。

価格や商品構成によって客単価を上げながら、同時に客数も伸ばしています。

CAVAの2026年度第2四半期決算を見る

国内では、すき家の2025年3月期の既存店売上高は前年比110.5%でした。客数は102.5%、客単価は107.8%で、いずれも前年を上回っています。

すき家の2025年3月期の月次推移を見る

これらの数字には商品構成や販促など複数の要因が含まれるため、値上げだけの効果とはいえません。それでも、客単価と客数を同時に伸ばすことは可能です。商品、利便性、品質、体験への納得感が、継続的な来店につながります。

値上げ後4週間の検証方法

値上げ前 比較の基準を記録する

直前の4週間について、客数、客単価、商品構成、粗利益額を記録します。営業日数や曜日構成をそろえて比較し、季節変動が大きい場合は前年同時期も参考にします。

第1週 運用上の問題を確認する

レジの間違い、メニュー表の表示、スタッフの説明、苦情を確認します。最初の1週間は、価格そのものより、運用上の問題を見つけます。

第2週 注文の移動を確認する

どの商品から、どの商品へ注文が移ったのかを確認します。主力商品から低価格商品への移動が多い場合は、主力商品の価値が十分に伝わっていない可能性があります。

第3週 再来店と満足度を確認する

常連客が再来店しているか、提供時間や食べ残しに変化がないかを確認します。
一度は購入されても再注文につながらない場合は、普段の来店間隔も踏まえ、価格に対する満足度が不足していないかを確認します。

第4週 数字を総合的に判断する

売上、客数、粗利益額、生産性を総合的に判断し、価格を維持するのか、商品や説明を修正するのかを決めます。ただし、表示ミスや品質不良などは4週間を待たず、その都度改善します。

4つの結果と対策

客数が増え粗利益額も増えた

改善の兆候です。季節や販促の影響、労働時間、品質も確認し、無理なく成果が続いていれば現在の方針を継続します。

客数は減ったが粗利益額は増えた

すぐに失敗とはいえません。混雑、サービス、再来店率を確認し、経営の安定性が高まったかを判断します。

客数は維持したが粗利益額が増えない

まず、原材料費と商品構成、一杯当たり粗利益額、販売数を確認します。人件費は粗利益から支払う費用なので、営業利益や人時粗利益への影響として別途確認します。

客数も粗利益額も減った

価格と価値が合っていない可能性があります。ただし、すぐに全面値下げをしてはいけません。品質、量、説明、商品名、メニューでの見せ方を一つずつ見直します。

最初に見直すのは価格ではない

値上げ後に売上が落ちたとき、多くの店は価格を元に戻そうとします。しかし、問題が価格とは限りません。

  • 商品の価値が伝わっていない
  • 値上げと同時に量まで減らした
  • 品質が安定していない
  • メニュー表で価格だけが目立っている
  • スタッフが申し訳なさそうに説明している

こうした問題であれば、価格を戻しても解決しません。

最初に修正すべきものは、商品、品質、説明、見せ方です。価格を変えるのは、その後です。

値上げの成否を判断する計算

一つの商品が生む粗利益の総額は、「一杯当たり粗利益額 × 販売杯数」で確認できます。複数の商品がある店では、商品ごとに計算した粗利益額を合計します。

例えば、一杯当たり粗利益額が500円から600円になった場合、販売数が10%減っても、粗利益総額は8%増えます。値上げ前の販売数を100杯とすると、500円×100杯=5万円から、600円×90杯=5万4,000円になるためです。

一方、一杯当たり粗利益額が500円から550円へ50円増えた場合、販売数が同じく10%減ると、550円×90杯=4万9,500円となり、粗利益総額は1%減ります。

値上げ率だけでなく、「一杯でいくら粗利益が増えるか」「販売数がどこまで減っても粗利益を維持できるか」を事前に計算しておく必要があります。なお、粗利益総額が増えても、人件費などを差し引いた最終的な利益が増えるとは限りません。

世界麺未来戦略研究所 第12理論

「値上げは決断ではなく仮説である。4週間の数字で検証し、必要なら商品、説明、価格を修正する」

価格戦略に、一度で完成する正解はありません。

仮説を立て、実行し、数字を確認して、一つずつ修正する。この繰り返しが必要です。

感覚で値上げし、感覚で元に戻す経営から、数字で検証し、改善を続ける経営へ変えなければいけません。

今週の3つの結論

商品、組織、数字。この3つがそろって、初めて値上げは経営戦略になります。

経営者への問い

あなたのお店では、値上げ後に確認する数字と、判断する期間を決めているでしょうか。

大和製作所では、製麺機や製麺技術だけでなく、商品開発、店舗運営、生産性、収益改善についてもご相談いただけます。

原価と人件費が上昇する中で、利益の残る店舗づくりを進めたい方は、ぜひお問い合わせください。

世界麺未来戦略研究所からのご提案

世界麺未来戦略研究所は、世界の成功事例、AI、商品開発、食感創造、生産性、健康、ブルーゾーン、スーパーアクティブ高齢者、海外展開、人口減少、人手不足、経営戦略を研究し、世界の麺文化を進化させることを目指しています。

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日本の麺文化は、一社だけでは進化できません。業界全体で学び、知恵を持ち寄り、未来を創ることで、日本の麺文化を世界へ広げていきたいと考えています。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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