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世界麺未来戦略研究所

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

原材料費も人件費も上がり続けている。しかし、すでに周辺のお店より価格が高い。これ以上値上げすれば、お客さまが離れてしまうのではないか。

この悩みを解決するには、価格だけを考えてはいけません。

最初に考えるべきことは、「値上げしても選ばれる商品になっているか」ということです。

お客さまが買わなくなる理由は、価格の高さだけではありません。その価格を支払う理由が伝わっているかが重要です。

値上げしても選ばれる看板商品には、味、食感、地域性、物語、体験という、5つの価値があります。

第1の価値は圧倒的なおいしさ

最も重要なのは、もちろん味です。

どれだけ物語があっても、おいしくなければ二度目の来店はありません。

しかし、ここでいうおいしさとは、店主がつくった一杯だけがおいしいことではありません。誰がつくっても、混雑していても、毎回同じ品質を再現できることです。

  • 麺の重量
  • 加水率
  • 熟成時間
  • 茹で時間
  • スープの温度
  • 盛り付け
  • 提供までの時間

重量や時間、温度を数値で管理し、盛り付けは写真で共有する。こうした基準がなければ、おいしさの再現を個人の感覚に頼ることになります。

看板商品に必要なのは、「一度のおいしさ」ではなく、「繰り返せるおいしさ」です。

第2の価値は記憶に残る食感

人は、味だけで料理を記憶しているのではありません。

  • 麺を噛んだ瞬間の弾力
  • 表面の滑らかさ
  • 喉を通る感覚
  • スープの濃度
  • 揚げ物の音
  • 口に入れた瞬間の温度

これらの食感や感覚が、商品の記憶をつくります。

周辺店と同じ材料を使っていても、食感が違えば、商品はまったく別のものになります。

特に麺料理では、麺の形状、厚さ、幅、加水率、熟成、茹で方によって、独自の商品をつくることができます。

価格競争から離れるためには、見た目だけでなく、口の中で違いが分かる商品をつくらなければいけません。

第3の価値はその店だけの地域性

珍しい材料を使えば、独自商品になるわけではありません。大切なのは、「なぜ、この店が、この材料を使うのか」という意味です。

  • 地元の生産者が育てた小麦
  • 地域で昔から食べられてきた出汁
  • 店主が子どもの頃から慣れ親しんだ味
  • まだ十分に知られていない地域の食材

こうした地域性を、商品に結びつけます。

地域の名前を付けただけの商品ではいけません。地域の資源、店の使命、お客さまに届けたい価値が、一杯の中でつながっていることが重要です。

第4の価値は人に話したくなる物語

優れた看板商品は、お客さまが誰かに説明できます。

  • 「この店は、地元の小麦で麺を打っている」
  • 「店主が何年もかけて、この食感を完成させた」
  • 「この出汁には、地域でしか取れない食材が使われている」

お客さまが語れる物語があれば、商品は広告になります。

反対に、店主しか説明できない複雑な物語では広がりません。

看板商品の物語は、30秒以内で伝えられる長さにします。一番伝えたいことを、一つに絞るのです。

第5の価値は食べる前から始まる体験

商品の価値は、器の中だけにあるのではありません。

  • 注文した瞬間
  • 調理している様子
  • 音や香り
  • 料理が運ばれてくる瞬間
  • スタッフの説明
  • 器の美しさ
  • 食べ終わった後の余韻

これらすべてが、価格に対する納得感をつくります。

丸亀製麺は、2026年4月に発売した新カテゴリー「丸亀うどんめし」で、注文後にお客さまの目の前の鉄板で調理し、出来たてを提供する体験を打ち出しました。

発売から約1週間で、販売数は20万食を超えました。私は、この事例のポイントを、単に新しい材料を加えたことではなく、商品と調理風景を一つの体験にしたことだと考えています。

丸亀製麺の事業実績を見る

高価格の商品が店全体を強くする

米国の地中海料理チェーンCAVAは、通常より高い価格帯のサーモン商品を投入しました。

同社の2026年度第2四半期は、既存店売上高が前年同期比9.0%増加しました。その内訳は、客数による増加が5.3%、価格と商品構成による増加が3.7%です。

同社は、サーモンの導入に伴う原材料費の増加は利益率を押し下げる一方、高い販売価格によって店舗段階の利益額にはプラスに寄与したと説明しています。

ここで重要なのは、価格や商品構成による売上増と、客数増が同時に起きていることです。この数字だけで値上げの効果を断定することはできませんが、高い商品でも、新しい価値が伝われば選ばれる可能性があります。

CAVAの2026年度第2四半期決算を見る

看板商品をつくる5つの手順

1.誰のための商品かを決める

年齢や性別だけでなく、来店する目的まで考えます。短時間で昼食を取りたい人と、休日に特別な食事を楽しみたい人では、求める価値が違います。

2.一番強い価値を一つ決める

味、食感、地域性、健康、量、調理体験など、何を最も強く伝えるのかを決めます。

3.品質を数字にする

材料、重量、温度、時間、手順を記録し、誰がつくっても同じ品質にします。

4.複数の価格で試す

最初から一つの価格に決めず、数量限定商品などで価格に対する反応を確認します。

5.注文数だけで判断しない

完食率、再注文、粗利益、紹介、SNSへの投稿、食べ残しまで確認します。売れたかどうかだけでなく、もう一度食べたいと思われたかを見なければいけません。

看板商品チェック

  • 30秒以内で価値を説明できるか
  • 食べれば周辺店との違いが分かるか
  • 誰がつくっても同じ品質になるか
  • 地域や店主の物語が入っているか
  • 商品名と店名を一緒に覚えてもらえるか
  • 値引きしなくても再注文されているか
  • 十分な粗利益額が残っているか

一つでも明確に答えられなければ、値上げの前に改善できる部分があります。

世界麺未来戦略研究所 第10理論

「値上げしても選ばれる商品は、材料を増やした商品ではない。味、意味、体験が一つになった商品である」

原材料費が上がったから、価格を上げる。それだけでは、お客さまには店側の事情しか伝わりません。

お客さまが知りたいのは、「この価格を支払うと、どのような価値が得られるのか」ということです。

価格を上げる前に、価値を上げる。そして、その価値を分かる形にする。これが、価格競争から離れる看板商品づくりです。

経営者への問い

あなたのお店の看板商品には、周辺店より高い価格を支払ってでも食べたい理由があるでしょうか。

大和製作所では、製麺技術だけでなく、独自商品の開発、品質の数値化、店舗経営まで学ぶことができます。

価格競争から離れ、自店だけの看板商品をつくりたい方は、ぜひご覧ください。

世界麺未来戦略研究所からのご提案

世界麺未来戦略研究所は、世界の成功事例、AI、商品開発、食感創造、生産性、健康、ブルーゾーン、スーパーアクティブ高齢者、海外展開、人口減少、人手不足、経営戦略を研究し、世界の麺文化を進化させることを目指しています。

今回の内容が少しでも皆さまの商品開発や経営の参考になりましたら、同業の経営者、料理人、お取引先、ご友人へ、このメルマガをご紹介ください。

日本の麺文化は、一社だけでは進化できません。業界全体で学び、知恵を持ち寄り、未来を創ることで、日本の麺文化を世界へ広げていきたいと考えています。

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一人でも多くの仲間と、新しい麺文化を創っていきたいと願っています。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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