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はじめに

Chipotleは、ブリトーやボウルを単なるメキシカン料理ではなく、自分で選べる、満足度の高い日常食へ高めました。

Shake Shackは、ハンバーガーを安いファストフードではなく、素材感、できたて感、店の雰囲気を備えた一段上の商品へ高めました。

つるとんたんは、うどんを単なる日常食ではなく、大きな器、創作性、空間演出、特別感のある食体験へ高めました。

ここから麺店が学ぶべきことは明確です。

まず、強い商品を作る。
しかし、それだけでは十分ではありません。

本当に高AUV、つまり1店舗あたりの売上が高い店を実現するためには、強い商品を、強い売上に変えるマネジメントが必要です。

どれだけ良い商品があっても、売り方が弱ければ売上にはつながりません。
どれだけ人気商品があっても、提供スピードが遅ければ回転率は上がりません。
どれだけ高単価商品があっても、現場が混乱すれば品質は安定しません。

つまり、高AUV店に必要なのは、商品力と現場力を結びつける経営管理です。

今回は、そのために必要な5つの視点を考えます。

1. 看板商品を「売上の中心」に置く

強い商品ができたら、まずやるべきことは、その商品を売上の中心に置くことです。

店のメニュー表で目立っているか。
入口で伝わっているか。
写真で魅力が伝わっているか。
スタッフが自信を持ってすすめているか。
初回来店客が迷わず選べるか。

多くの店では、本当に売りたい商品が、意外に目立っていません。

メニュー数が多すぎて、どれが看板商品か分からない。
おすすめが毎回変わりすぎて、印象に残らない。
写真が弱く、商品の魅力が伝わらない。
スタッフが「どれもおすすめです」と言ってしまう。

これでは、強い商品も売上の柱にはなりません。

高AUV店では、お客様が迷わず選べる中心商品を作る必要があります。

「あの店に行ったら、まずこれを食べる」

そう思ってもらえる商品を、店の中心に置くのです。

2. 客単価を自然に上げる設計をする

高AUVを目指すには、客数だけでなく、客単価も重要です。

ただし、無理に高い商品を売り込む必要はありません。
大切なのは、お客様が納得して、自然に追加したくなる設計です。

うどんであれば、天ぷら、おにぎり、小丼、季節の一品、トッピング、ドリンク、デザート。

ラーメンであれば、替え玉、味玉、チャーシュー増し、餃子、ご飯もの、セットメニュー。

そばであれば、天ぷら、鴨、とろろ、季節野菜、小鉢、日本酒や甘味。

客単価は、値上げだけで上げるものではありません。
お客様の満足度を高めながら、自然にもう一品選びたくなる仕組みを作ることです。

ここで重要なのは、看板商品との相性です。

強い商品に対して、何を組み合わせると満足度が上がるのか。
何を追加すると、食体験が一段上がるのか。
何をセットにすると、注文しやすくなるのか。

これを設計することが、マネジメントです。

3. 提供スピードを管理する

高AUV店では、提供スピードが非常に重要です。

売上は、単価だけでは決まりません。
席数だけでも決まりません。

どれだけスムーズに注文を受け、どれだけ早く提供し、どれだけ快適にお客様が食事を終えられるか。
この回転の管理が、売上に大きく影響します。

特に麺店では、茹で時間、盛り付け、会計、配膳の流れが重要です。

茹で上がりが遅い。
トッピングで詰まる。
会計で行列ができる。
席への案内が遅れる。
スタッフの動線が交差する。

こうした小さな詰まりが、売上を止めます。

高AUVを目指す店では、味だけでなく、時間も管理する必要があります。

何分で提供するのか。
ピーク時に何食出せるのか。
どこで作業が詰まるのか。
誰がどの作業を担当するのか。
新人でも同じ品質で出せるのか。

これを見える化することが、現場管理です。

4. 品質を標準化する

強い商品は、一度おいしいだけでは足りません。

いつ行ってもおいしい。
誰が作ってもおいしい。
混雑時でもおいしい。
新人が入っても品質が崩れない。

ここまでできて、初めて強い商品になります。

特に麺店では、品質のばらつきが起こりやすいものです。

加水。
熟成。
茹で時間。
湯量。
締め方。
出汁やスープの温度。
盛り付け。
提供までの時間。

これらが少し変わるだけで、食感や印象は変わります。

だからこそ、マネジメントが必要です。

感覚だけに頼らない。
ベテランだけに頼らない。
その日の調子だけに頼らない。

標準を決める。
数値を決める。
手順を決める。
チェックする。
改善する。

この積み重ねが、強い商品を安定した売上に変えます。

大和製作所が大切にしてきた製麺機の考え方も、ここにあります。

職人の勘だけに頼るのではなく、誰でも安定して高品質な麺を作れる仕組みにする。

これは、これからの麺店経営にとって非常に重要です。

5. 売れる入口を増やす

強い商品があり、提供スピードが整い、品質が安定してきたら、次に考えるべきは売れる入口を増やすことです。

店内飲食だけでなく、テイクアウト、事前注文、法人注文、家庭用商品、冷凍・半生麺、ギフト商品、イベント需要。

売れる入口を増やすことで、同じ商品から生まれる売上の可能性は広がります。

ただし、順番を間違えてはいけません。

商品が弱いまま入口を増やしても、売上は続きません。
現場が整わないまま入口を増やすと、店が混乱します。

まず、中心商品を磨く。
次に、現場で安定して出せるようにする。
そのうえで、売れる入口を増やす。

この順番が大切です。

たとえば、看板うどんがあるなら、店内では最高の状態で提供する。
持ち帰り用には麺と出汁を分ける。
家庭用には仕上げ方を分かりやすく伝える。
法人向けにはまとめ注文しやすいセットにする。
デジタル注文では、写真と商品説明を磨く。

同じ商品でも、利用シーンに合わせて形を変えることで、売上の可能性は広がります。

高AUV店は、5つの要素がつながっている

高AUV店とは、単に客数が多い店ではありません。

強い商品がある。
客単価が設計されている。
提供スピードが管理されている。
品質が標準化されている。
売れる入口が複数ある。

この5つがつながっている店です。

逆に言えば、どこか一つが弱いと、売上は伸びにくくなります。

商品は良いが、提供が遅い。
客数は多いが、客単価が低い。
人気商品はあるが、品質が安定しない。
店内は強いが、持ち帰りに対応できない。
デジタル注文を始めたが、現場が回らない。

これでは、高AUVには届きません。

これからの麺店経営では、商品づくりとマネジメントを分けて考えないことが重要です。

商品を磨くことは、売上を磨くことです。
現場を整えることは、商品価値を守ることです。
提供スピードを上げることは、お客様の時間を大切にすることです。
品質を標準化することは、信頼を積み重ねることです。
売れる入口を増やすことは、お客様との接点を増やすことです。

世界のFast Casualが強いのは、商品が良いだけではありません。

商品を分かりやすくし、注文しやすくし、早く提供し、品質を安定させ、何度も利用しやすい仕組みにしているからです。

これこそが、高AUV店のマネジメントです。

大和製作所が考える、強い売上づくり

大和製作所は、製麺機を作る会社であると同時に、麺店経営の現場を研究する会社でもあります。

強い商品を作ること。
その商品を安定して提供すること。
少人数でも回る仕組みを作ること。
高品質な麺を再現性高く作ること。
そして、その商品を売上につながる形へ設計すること。

これらを通じて、皆さまの店舗づくり、商品づくり、売上づくりに役立つ情報をお届けしてまいります。

まずは今日、自店の看板商品を一つ選び、次の5つを確認してみてください。

その商品は、店の中心として目立っているか。
自然に客単価が上がる組み合わせがあるか。
ピーク時でも早く提供できるか。
誰が作っても品質が安定するか。
店内以外の売上入口に展開できるか。

この5つが整えば、強い商品は、強い売上に変わります。

強い商品を作るだけで終わらせない。
強い商品を、強い売上構造へ育てる。

これが、この記事のテーマです。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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