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商品を売る時代から、価値を売る時代へ

世界麺文化研究所 第十理論

皆さま、こんにちは。
大和製作所創業者、ロッキー藤井です。

私は50年間、世界70か国以上の麺ビジネスを見てきました。

その中で、ずっと考え続けてきたことがあります。

世界一の商品とは、いったい何なのか。

世界一おいしい商品でしょうか。
世界一安い商品でしょうか。
世界一品質の高い商品でしょうか。

もちろん、おいしさ、価格、品質は大切です。
どれか一つでも欠ければ、お客様から長く選ばれることはできません。

しかし、世界の成功企業を研究していると、もう一つ大きな共通点が見えてきます。

世界で選ばれている商品は、商品そのものだけを売っているのではありません。

その商品を通じて得られる、もっと大きな価値を売っているのです。

Apple は iPhone だけを売っているのではない

Apple は、iPhone を売っている会社なのでしょうか。

表面的には、その通りです。
しかし、Apple の本当の強さは、スマートフォンという商品そのものだけではありません。

Apple が売っているのは、
「誰でも簡単に使える」
「持つことが誇りになる」
「毎日使うことが楽しくなる」
という体験です。

使いやすいこと。
美しいこと。
直感的であること。
持っている自分に満足できること。

この価値があるからこそ、世界中の人が Apple の商品を選び続けています。

お客様は、ただ機械を買っているのではありません。
Apple らしい体験を買っているのです。

Starbucks はコーヒーだけを売っていない

Starbucks も同じです。

コーヒーだけなら、もっと安く飲める店は世界中にあります。

それでも、多くの人が Starbucks を選びます。

なぜでしょうか。

それは、Starbucks がコーヒーだけを売っているのではないからです。

仕事をしたい。
友人と話したい。
一人で落ち着きたい。
少し気分を切り替えたい。

そうした時間を過ごせる場所として、Starbucks は選ばれています。

家でもない。
職場でもない。
心地よく過ごせる第三の場所。

お客様はコーヒーだけではなく、その空間と時間にお金を払っているのです。

Disney は入場券を売っているのではない

Disney も、入場券を売っている会社ではありません。

Disney が売っているのは、夢です。
感動です。
家族や友人との思い出です。

だから、何度でも行きたくなるのです。

アトラクションに乗ることだけが目的ではありません。
その日一日を特別な時間として記憶に残すこと。
大切な人と笑顔になれること。
日常を離れて、夢の世界に入れること。

そこに、Disney の本当の価値があります。

日本の麺ビジネスも同じ

私は、日本の麺ビジネスにも同じことが言えると思っています。

丸亀製麺は、うどんだけを売っているのでしょうか。

私は、そうではないと思います。

打ち立て。
茹で立て。
でき立て。
目の前で麺がつくられるライブ感。

丸亀製麺が提供しているのは、うどんという商品だけではありません。
でき立てのうどんを、目の前で感じられる体験です。

一風堂も、ラーメンだけを売っているのではありません。

河原成美氏が築き上げた博多ラーメンの美学。
接客。
店舗空間。
清潔感。
ブランドとしての完成度。

それらが一体となって、一風堂らしい文化をつくっています。

一鶴は、骨付鶏だけを売っているのではありません。

家族や仲間と集まり、語り合い、豪快に食べ、明日への活力を得る時間を提供しています。

つるとんたんも、うどんだけを売っているのではありません。

器。
空間。
サービス。
驚き。
食事の時間そのものを楽しむ体験。

うどんという日常食を、外食としての特別な時間へ進化させています。

私は、ここに世界で成功する商品の共通点があると考えています。

商品は、機能から価値へ進化している

昔は、商品そのものが強ければ売れました。

よりおいしい。
より安い。
より大きい。
より便利である。

それだけでも十分に競争力になりました。

しかし、現在は違います。

商品そのものは、すぐに真似されます。

レシピも真似されます。
設備も真似されます。
デザインも真似されます。
価格も真似されます。

しかし、その商品が提供している価値は、簡単には真似できません。

その店でしか味わえない時間。
その会社だからこそ届けられる安心感。
そのブランドにしかない世界観。
その商品によって得られる未来。

これらは、単なる機能ではありません。

だから、世界の成功企業は、商品開発だけでなく、価値創造に力を入れているのです。

大和製作所は何を売っているのか

ここで、私自身にも問い掛けてみました。

大和製作所は、製麺機メーカーなのでしょうか。

もちろん、私たちは製麺機をつくっています。
しかし、私たちが本当に届けてきたものは、製麺機そのものだけではありません。

私たちが届けてきたものは、お客様の成功です。

お客様が繁盛すること。
利益が出ること。
地域で愛されること。
世界へ挑戦できること。
次の世代へ麺文化をつなげること。

そのために、私たちは製麺機を開発してきました。
製麺学校をつくりました。
食感を研究してきました。
世界中へ技術を伝えてきました。

つまり、製麺機は目的ではありません。

お客様の成功という価値を実現するための手段なのです。

世界麺文化研究所 第十理論

世界の成功商品を研究していると、一つの法則が見えてきます。

商品とは、売るものではない。
価値を届けるための器である。

お客様は、商品を買っているように見えます。

しかし本当は、その商品によって得られる未来を買っています。

便利になる未来。
楽しくなる未来。
健康になる未来。
誇らしく感じられる未来。
大切な人と良い時間を過ごせる未来。

だから、これからの商品開発は、
「何を作るか」
から始めてはいけません。

まず考えるべきは、
「お客様に、どんな価値を届けるか」
です。

その価値が明確になって初めて、商品、価格、店舗、サービス、伝え方が決まっていきます。

あなたの商品は、本当は何を売っていますか

ここで、皆さまに一つ質問があります。

あなたのお店の商品は、本当は何を売っているのでしょうか。

うどんでしょうか。
ラーメンでしょうか。
そばでしょうか。
パスタでしょうか。
骨付鶏でしょうか。

もちろん、商品そのものは大切です。

しかし、その奥にある価値を考えることが、これからの商品開発の出発点になります。

お客様は、その商品によって何を得ているのか。
なぜ、また食べたいと思うのか。
なぜ、その店を選ぶのか。
その商品は、お客様の生活をどう豊かにしているのか。

この問いに答えられる店は、価格競争から抜け出すことができます。

ライバルとの違いも、自然に生まれます。

さいごに

私は、世界一の商品とは、世界一おいしい商品だけではないと思っています。

世界一安い商品でもありません。
世界一大きい商品でもありません。

世界一、お客様の人生を豊かにする商品です。

商品は真似できます。

しかし、価値は簡単には真似できません。

だから私は、これからも商品そのものではなく、その奥にある価値を研究し続けます。

それが、世界麺文化研究所がたどり着いた第十理論です。

次回は、
「世界一の会社は、どのように価値を創り続ける組織を育てているのか」
をテーマに、世界の成功企業のマネジメントを研究していきます。

皆さまと共に。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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