この記事は2024年1月29日のロッキー藤井の情熱メルマガで配信された内容を一部修正して公開しています。
製麺機選定で失敗しないコツ

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中古機の問題

皆さん、自家製麺を行なう場合に、うどん蕎麦の手打製麺以外は、ほぼ製麺機を使用しますね。 

その場合、麺ビジネスの新規開業者にとっての大きな悩みは、製麺機の値段が安くないことです。 

私たち、プロの耳に入る情報として、製麺機の値段が比較的高いので、多くの新規開業者は、できるだけ安い価格の製麺機を購入しようとします。 

たとえば、有名なネットのサイト上の製麺機の中古市場では、さまざまなメーカーの中古機であふれています。 

私のような製麺機のプロから見れば、本当に感心するのは、その値段の妥当性です。 

プロから見て性能が良く、程度が良いものはそれなりに高い値段が付き、新しくても性能の低いものは、安い価格になっています。 

そして、登場しているほとんどの中古製麺機は、機番に刻印されている製造年月日を見えなくしています。 

したがって、相当年数が古い機械も登場していますが、画像だけでは製造年月日は分からないのです。 

当社の場合は、最悪、お客さまが閉店した場合、使っている製麺機を当社の基準価格で買い戻し、完全にオーバーホールして、新品同様にしてから、認定再生機として販売しています。 

そして、販売すると、即売に近い形で完売しているのが現状です。 

ただし、当社の場合は、機種ごとに認定再生機として販売する基準を持っており、年数の古い機械は程度が良くても、認定再生機として、販売しません。 

当社の製麺機の場合は、耐用年数が長いので、相当古い機械でも、中古機市場で、中古機として販売されています。 

古い製麺機で販売されている機械の大半は、当社では再生しないような古い年式の機械が多いのです。 

以上のように当社の工場で完全に再生(オーバーホール)すれば、安心して保証出来るのですが、市場に流れている中古機は、過去、何度も経験しているのですが、内部構造が分解されていたり、改造されていたりということが度々あり、保証期間も切れており、当社ではメンテナンスできないのでご注意下さい。 

しかし、そのような機械に対しても、部品の販売、供給はずっと行っています。 

ネットの中古市場に登場している製麺機は、プロのわれわれから見れば、どのようなお店で使われていて、どのような使われ方をしていたかが、だいたい想像できるのです。

製麺機の寿命と手入れの関係

当社の製麺機は日本全国約6500店舗以上のお客さまのお店で、現役で毎日活躍しています。 

そのような製麺機の中には、40年以上前の真打が徳島県では現役で、おいしい手打ち式中華麺を作り、稼働しているような事例もあります。 

その他にも、20~30年は平気で使っているお客さまはたくさんいらっしゃいます。 

だから、大切に使えば、ほとんどの店主にとって、製麺機はほぼ一生ものに近いのです。 

これは自動車でも全く同じで、あちこち当てて傷をつけずに大切に扱い、メンテナンスも定期的に行なえば、50年前のクラシックカーであっても、未だにきれいな状態で走っています。 

製麺機もまったく同じで、取り扱い方法によって、寿命はまったく変わってきます。 

寿命が長くなるだけでなく、日々、美味しい麺を作るには、機械はキチンと整備されていることは必須なのです。 

従って、キチンと整備されている製麺機ほど、美味しい麺を創り出すことが出来ると言えるのです。 

製麺機は厨房製品の一部の様に見え、厨房内で使用することが多いので、厨房製品の一部と勘違いし、機械に水をかけたり、水洗いをする人たちがいます。 

製麺機は、小麦粉を扱う製品なので、水洗いはやってはいけないのです。 

基本的に、水気を嫌う機械なのです。 

製麺機の外装はステンレスが多いのですが、機械内部は鋼(はがね)構造で、水をかければサビてしまいます。 

ミキサー内部も水を貯めての水洗いではなく、湿らせたスポンジを中に10個程度入れて、自動で回しながら、シャフトとか、ピンの汚れを落としていくのです。 

そして、最後は、乾拭きで乾燥させます。 

その他の部分も同様で、乾拭きで汚れを落としていきます。 

最後にアルコール拭きで、殺菌を行ないます。 

製麺機の価格について

多くの製麺機を購入するお客さまは、製麺機がどのような価格構成になっているか、理解していません。 

単なる機械そのものの単価=製麺機の価格と信じている方が多いように思います。 

そうではないことを今からシッカリお伝えします。 

特に当社の場合は、年中無休のメンテナンス、古い機械も部品を供給し続け、長く使えるようにします。 

だから、大切に使えば、長く使えるのです。 

私も自分が使っている車は20年経過し、走行距離は18万キロを超えていますが、外観もきれいで、乗り心地も非常によく、素晴らしい働きをしてくれています。 

因みに当社のユーザーさまで、国内だけで、30年以上使って頂いている製麺機の台数は607台、20年以上は1346台です。(2024年1月26日現在) 

したがって、多少、最初に価格が高くても、20~30年間使用すれば、年間にすれば10万円前後のコストになります。 

月間にすれば、ほぼ1万円弱なのです。 

したがって、1日当りでは400円程度なので、1日に200食作っていれば、1食当たりの機械コストはたった2円なのです。 

これだけの投資金額で、毎月の何百万円かのお店の売上を支えているのです。 

同じ金額を払っても、或いは少しだけ安くても、5年とか、10年だけしか使えなければ、年数で割れば、かなり割高になってきます。 

ところが、多くのお客さまは最初の見かけの金額しか考えずに、他社の機械はいくら値引するのに、当社の機械の値引はないとか、言われる方が多いのです。 

自動車も同じですが、同じ機械ものである製麺機も普段の手入れ、メンテナンスによって、寿命は非常に違ってきます。

最終的に、最初に購入する時の少しの価格差は長く使っていれば、全く関係ないことなのです。 

メンテナンスについて

現在のうどん、蕎麦、ラーメン店にとって、製麺機の存在は、切っても切り離せない、無くてはならない相棒です。 

お店のお客さまを感動させる美味しい麺を作り、多くのお客さまを幸せにし、その結果、お店の売上が上がり、利益が上げるので、長く繁盛するための原動力であり、お店のエンジンなのです。 

私にとっては、自動車のエンジンと同じなのです。 

もし、製麺機が故障すれば、即、営業が止まります。 

今の時代は手で麺を作ることは、簡単にできません。 

現在では、自動車も壊れないのが当たり前の時代になり、製麺機も同様で、滅多に故障しない様になっています。 

しかし、機械ものなので、絶対はありません。 

特に、日曜日祭日の忙しい時にトラブルは起きやすいのです。 

当社は、年中無休365日のメンテナンス当番が本社にいて、お客さまからの電話を受けて、対応しています。 

その中には、電話だけで簡単に解決する問題が約半分はあります。 

従って、年中無休はお客さまに取って、素晴らしいサービスだと思っています。 

それから、当社の直営の国内拠点は7カ所、海外の直営拠点は4カ所で、出来るだけお客さまの近くに拠点を設けようとしています。 

特に休日でもいつでも、メンテナンスを実行しようとすると、販売店頼りでは難しいので、コストはかかりますが、当社は全国に直営店を配置しているのです。 

この直営店でメンテナンスだけでなく、普段はお客さまへ麺指導を行っているのです。 

製麺は楽しい作業

私たち、製麺機のメーカーに取って、お客さまのお店を訪問した場合に、製麺機の状態を見て、きれいに掃除され、使われていると安心します。 

ところが、掃除もろくにしないで、乱雑に使われていると、残念でならないし、心配になるのです。 

お客さまのお店を訪問して、もう1つ気が付くことがあります。 

それは、製麺している担当者が楽しそうに製麺している店があります。 

毎日製麺していると、日々の天候により、加水量を調整しながら製麺をするので、日々の麺の出来具合が微妙に違いが出て、製麺することが本当に楽しいと、嬉々として話されている方がいらっしゃいます。 

要するに、日々の製麺を楽しんでいらっしゃるのです。 

長いユーザーさまの中には、「もし、自家製麺をしないで、仕入れ麺でやっていれば、うどん店ビジネスが退屈で、こんなに長く営業することはなかっただろう」と、言われました。 

私は、長く製麺機を作るビジネスを行なってきて、今でもときどき自分で製麺しますが、本気で取り組めば、製麺作業は、本当に楽しい作業なのです。 

私もいまだに、毎回、毎回、最高に美味しい麺を作ろうとチャレンジしているのです。 

そして、麺研究室では常に、新しい、革新的な麺の開発をしているのです。 

それでは、いよいよ、自家製麺の製麺機選びで失敗しないコツを、製麺機の開発を長年携わってきた、私のようなプロ中のプロが製麺機選定の重要事項をお伝えします。 

製麺ノウハウが充実しているか

私たちは、お客さまが製麺機を欲しくて、製麺機を買うのではないことを良く知っています。 

マーケテイングの授業でよく使われる例えは、「お客さまはドリルが欲しくて、ドリルを買うのではない、ドリルで開いた穴が欲しくて、ドリルを買う」という有名な話があります。 

要するに、お客さまは、ドリルで開けた穴が欲しいだけなのです。 

これをわれわれの製麺機ビジネスに当てはめると、お客さまは製麺機が欲しいのではなく、製麺機で出来た最高の麺が欲しいのです。 

だから、希望する麺が入手出来るのであれば、無理に自家製麺を行ない、製麺機を購入しなくても、仕入れ麺でも構わないのです。 

大和製作所視点では、製麺機メーカーのライバルは、同業者の製麺機メーカーだけでなく、美味しい麺を作る製麺業もすべてライバルなのです。 

最近では、常に革新的な製麺業と美味しい麺の作り方の競争を行なっているのが、現状です。 

そして、お客さまの要望する基準は、年々高くなり、複雑になってきているので、製麺機メーカーと言えども、社内に麺の研究センターを持ち、常に、さまざまな麺の研究を行なっています。 

その成果を既存のユーザーさま他、新しいユーザーさまにフィードバックしているのです。 

特に当社の研究所の設備は、小麦粉の製麺特性を測定し、デジタル化するドイツのブラベンダー社のブラベンダーマシン、麺の食感を測定し、デジタル化するレオメーター、スープの味覚をデジタル化する味覚センサー等々、通常の製麺機メーカーとか、麺のメーカーが持っていないような研究設備を持ち、日々、麺の研究を行なっています。 

うどん学校は既に22年間、ラーメン学校、蕎麦学校も同様に長く開校し、世界中から多くの生徒さんを迎え、常に、生徒さんからの難しい要望に応えております。 

特に最近では、ビーガン、ハラル、グルテンフリー、低糖質等、新しい麺にも次々とチャレンジしているのです。 

併せて、当社の特徴は全国のドリームスタジオで、お客さまが欲しい麺のレシピを作り、そして実際の麺を作り、お客さまに確認して頂き、OKが出たら、製麺機の契約をして、機械の納品時に当社が作った麺のレシピを渡します。 

したがって、製麺機を購入してから麺の試作をしたり、あるいは、製麺機を購入したのに、作りたい麺ができないようなことはないのです。 

製麺機を購入する前に、希望の麺が出来ることを確認してから、製麺機を購入して頂くのです。 

仕入れ麺と自家製麺のコスト差

仕入れ麺とは、製麺業者が作っている麺を購入するのですが、最近の製麺業者の事情から言えば、麺を作る費用以上に麺を配送するコストが大きな負担になっているのです。 

そして、そのコストは当然、仕入れ麺のコストの中に含まれています。 

したがって、製麺業者は大量に製麺しても、配送コストが高いために、販売する麺の価格も当然高くなってきます。 

この配送コストは、今後、下がるような要素は全然なく、今後とも上がり続けていくことになると思います。 

自家製麺にすれば、このコストはゼロになり、ここで自家製麺のメリットが発揮できます。 

さらに、製麺業者は、製麺コストを下げるために、できるだけコストがかからない麺の製法を行ないます。 

とくに、大量生産できる大型製麺機を入れて、ミキシング後の第一熟成とか、鍛え工程、複合工程の次工程の第二熟成の時間をほとんど取らないのです。 

その方が大きくコストダウンになるためです。 

しかし、このような方法でコストダウンを行なうと、麺の品質に大きな影響を与えてしまうのです。 

製麺業にとっては、できるだけ1種類の麺を多量生産する方が儲かるのですが、麺ビジネスのお客さまは自店独自の麺を希望し、ここで矛盾が生じるのです。 

そのように特別オーダーの麺は、麺ビジネスのお客さまは欲しいのですが、製麺業にとっては、儲からなくなるので、余りやりたくないのです。 

それでは、自分の希望する麺を自家製麺で作れば、だいたいいくら位で出来るのか、簡単に計算してみます。 

1食当たりの小麦粉の価格は、日本が世界でトップクラスに高く、日本以外の国では日本の約半分です。 

例えば、うどんの場合、1食当たりの小麦粉は約20円、機械の償却費は、約2円程度、人件費は時間2千円のコストとすれば、1時間で200食作れば、1食当たりは10円となり、合計のコストは32円です。 

そして、高級な仕入れ麺のコストが1食当たり80円とすれば、1食当たり約50円近く損をしています。 

1日200食とすれば、1日での損金は1万円、月間であれば、25万円、年間であれば、300万円の損をしているのです。 

このお金は、麺ビジネスにとっては決して小さいお金ではないのです。

製麺機のイノベーション

最近の北米、欧州、オセアニアでの麺ビジネスの悩みは、人手不足だけでなく、人件費の高騰です。 

時給は3千円をはるかに超え、5千円というような国も存在します。 

日本では、そこまで人件費は高騰していませんが、それでも人手不足はますます激しくなってきています。 

特に、運送業の2024年問題、九州では台湾の半導体企業が大工場を建設し、北海道の千歳でも同じように日本勢が半導体の大工場の建設が始まりました。 

人口減少の日本において、これからは人手不足が更に拍車がかかってきます。 

したがって、人手ができるだけかからない、最新式の機械のニーズは非常に高まり、とくに海外ではデジタル機のニーズが従来の機械より、はるかに高くなっています。 

製麺機も機械もので、時代とともに複雑になり、最近はデジタル式になったり、メカニズムも複雑になっています。 

これは使い勝手が非常に良くなり、生産性が上がるようになっているのですが、それだけ複雑になり、単純な機械よりは、便利な分だけ、部品点数も多くなり、トラブルも多くなっています。 

更に、複雑な機械は取り扱い方法も複雑になってきています。 

取り扱い方法を間違うと、美味しい麺が出来ないだけでなく、機械を壊しかねないのです。 

当社は、あえて時代の流れの先を行くべく、デジタル機への挑戦を続けています。 

もっともっと、使い勝手が良くて、性能の高い製麺機の開発を日々、熱心に取り組んでいます。 

さいごに

製麺機を選ぶ際、または、製麺機を導入する必要があるのか?   

どの製麺機を導入すれば、自分の状況に一番合うのか?など、検討される際、ぜひ、本メルマガの内容を思い出して、ガイドとして役立てて頂ければ、幸いです。 

また、麺づくりに関してのお問合せ、原料、製麺機、研修・サポートなど、麺に関するさまざまな事に関してお答え・ご対応します。

お気軽にご連絡頂ければ幸いです。 

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠 代表取締役。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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