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世界麺未来戦略研究所

こんにちは。

大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

他店にはない、独自商品をつくりたい。そう考えて、新しい材料を加えたり、変わった盛り付けを試したりしている店は多いと思います。

しかし、なかなか売れる商品にならない。一度は話題になっても、人気が長く続かない。なぜでしょうか。

私は、その大きな原因の一つが、基本を身につける前に、自分流の商品をつくろうとすることにあると思っています。

独自商品は、最初から独自であればよいのではありません。

基本を完全に身につけたうえで、改善と改良を繰り返し、最後に今までにない価値を生み出す。この順序が重要です。それを表す言葉が「守破離」です。

土木会社の3代目社長がラーメン学校へ

2015年7月、一人の経営者が大和製作所のラーメン学校へ学びに来ました。富山県氷見市にある三興土木株式会社の3代目社長、久保俊介さんです。

久保社長の本業は、土木・建築、砂利の採取・販売です。飲食業とは、まったく違う世界です。

しかし、久保社長には、「故郷、氷見の素晴らしい食材を、日本中、そして世界へ広めたい」という強い思いがありました。

その思いを、自分が大好きなラーメンに乗せて届けようと考えたのです。

私は、ラーメンづくりの技術とともに、久保社長へ「守破離」の大切さを伝えました。

守破離を学ぶ

「守」とは、師匠の教えを寸分違わず真似ること

「守」は、師匠から教わった型を、勝手に変えず、そのまま実践する段階です。

材料。配合。温度。時間。作業手順。考え方。まずは、師匠の教えを寸分違わず真似て、同じ結果を出せるようにします。

ここで最も必要なのは、才能ではありません。素直さです。

基本をまだ理解していない段階で、「自分の場合は違う」「この方がよいと思う」と勝手に変えてしまえば、なぜその材料を使い、なぜその温度や時間が必要なのか、その理由を十分に理解できません。

久保社長が後に振り返って語った成功の本質は、この「守」を徹底して実践したことでした。最初から自分流に変えず、教えられた基本を徹底して守ったのです。

これが「守」です。

「破」とは、改善と改良を繰り返すこと

基本を再現できるようになったら、次は「破」です。

「破」は、師匠の型を一度に壊すことではありません。

基本を守ったうえで、一つずつ変え、結果を確認し、改善と改良を繰り返す段階です。

久保社長は、氷見の片口イワシを使った出汁と、トマトを組み合わせました。国産小麦を100%使用し、氷見特産のはと麦粉も加えた自家製麺をつくりました。

麺づくりでは、丁寧に熟成させ、生地を鍛える工程を繰り返し、パリッとした噛み応えと、ツルッとした喉越しを目指しました。

この麺は、一度で完成したわけではありません。約3年間、改善と改良を重ねました。

さらに、7種類の醤油を組み合わせた元ダレ、自家製レアチャーシュー、氷見産コシヒカリを使った締めのリゾットまで、一杯全体を磨き上げました。

スープには、氷見で唯一のワイナリー、セイズファームのシードル(リンゴの発泡酒)も使いました。すでに有名だった白ワインや赤ワインではなく、爽やかさを加えられるシードルを選びました。

さらに、同業の鎌仲建設が氷見で栽培する山ぶどうを使ったジュースを加え、スープに酸味を持たせました。

どちらも、味のためだけに選んだのではありません。「氷見にある、このおいしいものをもっと知ってほしい」という思いから選んだ材料でした。

これが「破」です。

「離」とは、新しいカテゴリーをつくること

「離」は、単なる改善の延長ではありません。

師匠の型から離れ、今までにない新しい価値を生み出す段階です。

久保社長が完成させたのは、普通の醤油ラーメンでも、味噌ラーメンでも、豚骨ラーメンでもありませんでした。ナポリタンとラーメンを融合させた、「氷見イワシ香るナポらー麺」です。

ラーメンでも、ナポリタンでもない。氷見イワシの出汁とトマト、自家製麺を組み合わせた新しい商品です。

単に変わったラーメンをつくったのではありません。

氷見の食材と、久保社長の思いと、ラーメン学校で学んだ技術を一つに結びつけ、新しいカテゴリーをつくったのです。

ナポらー麺は、氷見の食材を並べただけの商品ではありません。

久保社長が本当においしいと思い、まだ知られていないからこそ外へ伝えたいと願った氷見の魅力を、一杯に集めた商品でした。

これが「離」です。

全国209品から、満場一致で日本一

2021年4月29日、カゴメ「ナポリタンスタジアム2021」の決勝戦が行われました。

全国から応募されたメニューは、209品。その中から勝ち残った3品が、最終審査へ進みました。

久保社長の「氷見イワシ香るナポらー麺」は、審査員長の平野レミさんをはじめとする4名の審査員によって、満場一致で日本一に選ばれました。

全国209品の頂点。日本一です。

これは、突然思いついた奇抜な商品が評価されたのではありません。

最初から自分流に走らず、教えられた基本を徹底して守った。その土台に、片口イワシ、はと麦、コシヒカリ、シードル、山ぶどうなど、氷見の価値を加えた。約3年間、改善と改良を繰り返した。そして最後に、誰もつくったことのない商品へ到達した。「守」「破」「離」。この順序を、一段ずつ進んだ結果です。

商品として売り出すのは「破」から

私は、師匠から教わったものを、そのまま商品として売り出すべきではないと考えています。

「守」の段階は、基本を身につけるための大切な期間です。

しかし、師匠と同じものをつくっただけでは、その店でなければならない理由がありません。

商品として売り出すのは、「守」ではなく、少なくとも「破」の段階へ進んでからです。

自分の地域。自分のお客さま。自分の強み。自分の食材。

地域の特色、お客さまの好み、自店の強みや食材を反映し、改善と改良を行うことで、初めて自分の店の商品になります。

そして「離」まで到達すれば、他店の商品と単純に比較されない、独自の市場が生まれます。

明日からできる独自商品開発の5段階

皆さまも、現在の商品を次の順序で確認してください。

1.基準の商品を決める
まず、目標にする味、食感、香り、盛り付けを明確にします。

2.基準を数字にする
材料の重量、加水率、熟成時間、茹で時間、スープ温度、提供時間を記録します。

3.一度に変えるのは一つだけにする
材料と茹で時間を同時に変えると、何が結果を変えたのか分かりません。一回の試作では、原則として一項目だけ変えます。

4.お客さまの反応を記録する
注文数、完食率、再注文の有無、感想、食べ残しを確認します。つくり手の満足だけで判断してはいけません。

5.自店だけの意味を加える
地域の食材、店主の経験、店の使命、お客さまへ届けたい価値を商品に組み込みます。

珍しい材料を使うだけでは、独自商品にはなりません。技術と物語の両方が必要です。

守破離チェック

現在の商品について、次の5項目を確認してください。

・基本の商品を、毎回同じ品質で再現できるか
・材料の種類が明確で、重量、温度、時間が数値で示されているか
・改善前と改善後を比較しているか
・その商品に、自店の地域の特色や強みが反映されているか
・お客さまが、店名と一緒に商品名を思い出せるか

最初の2項目ができていなければ、まだ「守」の途中です。

最初の2項目に加えて、3項目目と4項目目もできていれば、「破」へ進んでいます。

5項目すべてに明確に「はい」と答えられれば、「離」が見え始めています。

世界麺未来戦略研究所 第4理論

「独自商品は、基本を捨てた人からではなく、基本を完全に身につけた人から生まれる」

基本がない状態で変えるのは、改善ではありません。単なる自己流です。

基本を完全に身につける。一つずつ改善する。自分の地域、強み、そして外へ届けたい思いを加える。その積み重ねが、最後にイノベーションを生みます。

守破離とは、古い修業の言葉ではありません。独自商品を生み出す、現在にも通用する商品開発の原理原則です。

あなたのお店の看板商品は、今、「守」「破」「離」のどの段階にあるでしょうか。

大和ラーメン学校では、ラーメンづくりの基本技術だけでなく、味づくり、商品開発、店舗経営まで学ぶことができます。

師匠の教えを守るだけで終わらず、自店だけの商品へ進化させたい方は、ぜひご覧ください。

 

世界麺未来戦略研究所からのご提案

世界麺未来戦略研究所は、世界の成功事例、AI、商品開発、食感創造、生産性、健康、ブルーゾーン、スーパーアクティブ高齢者、海外展開、人口減少、人手不足、経営戦略を研究し、世界の麺文化を進化させることを目指しています。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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