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マクドナルド、一鶴、丸亀製麺、一風堂、8番らーめんに学ぶ「企業の根っ子」

皆さま、こんにちは。
大和製作所創業者、ロッキー藤井です。

私は最近、世界で成功している外食企業を研究する中で、ある共通点に気づきました。

それは、成功している企業ほど、単に「商品」を売っているのではないということです。

もちろん、外食企業にとって商品は重要です。
味、品質、価格、提供スピード、店舗づくり。どれも欠かすことはできません。

しかし、世界で長く支持されている企業を見ていると、商品そのもの以上に、その商品を通じて生まれる体験や価値観、つまり「文化」を売っていることが分かります。

マクドナルドは何を売ったのか

マクドナルドは、ハンバーガーを売ったのでしょうか。

私は、それだけではないと思います。

マクドナルドは、コカ・コーラとともに、アメリカ型の生活文化を世界へ広げました。

早い。
安い。
清潔。
明るい。
家族で気軽に利用できる。

そうしたアメリカ的な食のスタイルと生活の空気感を、世界中に輸出したのです。

世界のどこへ行っても、一定の品質で、同じような安心感が得られる。
この「同じ体験ができる」という価値が、マクドナルドを世界企業に押し上げた大きな理由だと思います。

つまりマクドナルドは、ハンバーガーだけを売ったのではありません。
アメリカの生活文化そのものを売ったのです。

一鶴は何を売っているのか

香川県丸亀市発祥の一鶴は、骨付鶏で有名です。

では、一鶴は骨付鶏を売っているのでしょうか。

これも、私は少し違うと思います。

一鶴が提供しているのは、骨付鶏に豪快にかぶりつく楽しさです。
冷えたビールを飲む開放感です。
仲間や家族と語り合う時間です。
日常のストレスを吹き飛ばすような、力強い食体験です。

骨付鶏という商品を通じて、お客様は「感情が解放される時間」を味わっています。

つまり一鶴は、骨付鶏そのものだけではなく、骨付鶏を中心にした「感情解放の文化」を売っているのです。

丸亀製麺は何を売っているのか

丸亀製麺は、うどんを売っているように見えます。

しかし、その本質は単なるうどん販売ではありません。

打ち立て。
茹で立て。
でき立て。

この価値を、お客様の目の前で分かりやすく体験できる形にしたことが、丸亀製麺の強さです。

店舗で製麺する理由も、単なる製造工程の効率化ではありません。
お客様に「打ち立てのうどん文化」を体験してもらうためです。

讃岐うどんには、麺のコシ、出汁、天ぷら、セルフ方式、でき立てを楽しむ空気感があります。
丸亀製麺は、それらを現代の外食チェーンとして再構築し、国内外へ広げています。

つまり丸亀製麺は、うどんではなく、讃岐うどん文化を売っているのです。

一風堂は何を売っているのか

一風堂も、単なる博多ラーメンを売っている企業ではありません。

一風堂が売っているのは、河原成美創業者の美学と、博多ラーメン文化が融合した「一風堂文化」です。

味だけではありません。
店舗デザイン。
接客。
清潔感。
活気。
女性でも入りやすい空間。
海外でも通用するブランドづくり。

これらはすべて、河原氏の思想が形になったものだと思います。

博多ラーメンという地域文化をそのまま出すのではなく、時代に合わせ、世界に通用するブランドとして磨き上げた。
そこに一風堂の本質があります。

つまり一風堂は、ラーメンそのものではなく、河原成美というフィルターを通して再構築された博多ラーメン文化を売っているのです。

8番らーめんは何を売っているのか

8番らーめんは、タイで160店舗以上を展開しています。

これは、単に日本のラーメンが売れたからではありません。

日本のラーメン文化を、タイの人たちの日常文化に合わせて翻訳したからです。

家族で利用する。
買い物の途中に立ち寄る。
安心して食事ができる。
日常の中で、無理なく使える。

こうした利用シーンに入り込んだからこそ、8番らーめんはタイで長く支持されているのだと思います。

海外展開で大切なのは、日本の味をそのまま持っていくことだけではありません。
現地のお客様の生活に入り込む形へ、文化を翻訳することです。

8番らーめんは、日本のラーメン文化をタイの日常文化へ翻訳した企業だと言えます。

世界展開の本質

ここまで見てくると、世界で成功している外食企業の共通点が見えてきます。

マクドナルドは、アメリカの生活文化を世界へ広げました。
一鶴は、骨付鶏を通じて感情解放の文化を提供しています。
丸亀製麺は、讃岐うどん文化を現代の外食チェーンとして広げています。
一風堂は、河原氏の美学が息づくラーメン文化を世界へ届けています。
8番らーめんは、日本のラーメン文化をタイの日常文化へ翻訳しました。

共通しているのは、商品だけを売っていないことです。

商品を入口にしながら、その奥にある文化、体験、価値観を売っているのです。

成功企業ほど「根っ子」を守っている

私は、成功している企業ほど、時代に合わせて変化しながらも、絶対に変えないものを持っていると考えています。

メニューは変わります。
価格も変わります。
店舗も変わります。
設備も変わります。
お客様の価値観も、時代とともに変わります。

しかし、企業の本質は簡単に変えてはいけません。

その企業が何のために存在しているのか。
お客様にどんな価値を届けたいのか。
どんな文化を残し、広げたいのか。

私は、この企業が絶対に失ってはいけない本質を「企業の根っ子」と呼んでいます。

根っ子がある企業は、時代が変わってもぶれません。
逆に、根っ子が見えなくなった企業は、流行や価格競争に振り回されやすくなります。

日本の麺ビジネスに必要なこと

これからの日本の麺ビジネスは、もっと日本の麺文化を世界へ発信していくべきだと私は考えています。

しかし、そのためには、麺を輸出するだけでは足りません。

自分たちの根っ子を理解することが必要です。

自分たちは何を売っているのか。
どのような文化を提供しているのか。
お客様は何に価値を感じているのか。
なぜ、その一杯を食べたいと思うのか。

そこを深く理解しなければ、文化は世界へ広がりません。

ラーメン、うどん、蕎麦、パスタ。
日本には、世界に誇れる麺文化があります。

しかし、世界で選ばれるためには、単に「おいしい麺」を作るだけでは不十分です。
その麺が生まれた背景、食べ方、空間、職人の考え方、食感へのこだわりまで含めて伝える必要があります。

さいごに

世界で成功している外食企業は、商品だけを売っているのではありません。

文化を売っています。

そして、文化の奥には、創業者の美学があります。
さらにその奥には、企業の根っ子があります。

成功している企業ほど、変化し続けながらも、その根っ子だけは決して手放しません。

私は、次の10年の麺ビジネスの競争は、どれだけ自社の根っ子を理解し、それを世界へ伝えられるかの競争になると思っています。

大和製作所は、世界の食感研究所として、日本の麺文化と、その根っ子を世界へ広げる仕組みを研究し続けます。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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