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短時間で均一に茹で上がる麺が品質と提供力を同時に高める

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

「麺の品質を上げようとすれば、手間と時間がかかる」「提供を早くすれば、味や食感を犠牲にしなければならない」。そう考えている方は多いと思います。

しかし、正しく製麺すれば、その二つは対立しません。麺の中まで均一に水が行き渡り、麺線の状態が整っていれば、麺は短時間でむらなく茹で上がります。

茹で時間が短くなれば、お客さまを待たせる時間が減ります。茹で釜の回転数が増え、同じ店舗、同じ設備、同じ人数で、より多くの一杯を提供できます。そして、麺がお湯の中にある時間が短いほど、茹でむらや表面の過度な軟化を抑えやすくなります。

高品質な麺をつくった結果、茹で時間が短くなる。その結果、店舗全体の生産能力まで上がる。ここに、商品力と生産性を同時に上げる製麺の本質があります。

茹で時間は店舗の生産能力を左右する

うどん店やラーメン店で、混雑時の提供数を決める工程はどこでしょうか。注文受け。盛り付け。洗い場。配膳。店によって異なりますが、麺料理では茹で釜が最も大きな制約になることがあります。

茹で時間がざるのように12分なら、理論上、1時間に5回転です。かけのように10分なら6回転、釜揚げのように6分なら10回転です。いずれも大和の製法で、切り幅5mm強、厚さ3.5mm程度の生麺の場合です。

実際には投入、湯切り、湯温の回復、一度に茹でる食数が関係するため、単純にこの数字どおりにはなりません。それでも、茹で時間の短縮が、茹で釜の空きを早くし、次の注文を入れられるという関係は変わりません。

茹で時間は、単なる調理時間ではありません。店舗が1時間に何食を提供できるかを決める、重要な生産指標です。

茹で時間を短縮する要素は、次の4つです。

  • 軟水を使う
  • 茹で湯のpHを調整する
  • 生地を傷めないよう、練り過ぎや鍛え過ぎを避け、必要な鍛えと十分な熟成を行う
  • 練り時間を管理する。当社では5分です。長く練ると生地の組織を傷め、茹で時間は当社の約2倍になります

短時間で茹で上がる麺はなぜ品質が高いのか

麺を茹でる目的は、中心まで熱と水を行き渡らせ、食べやすい状態にすることです。内部への吸水が遅いと、外側が軟らかくなっても、中心は硬いままです。中心まで早く茹でるには、軟水を使い、pHを管理し、生地を傷めずにつくることが大切です。

一方、加水、混合、複合、圧延、熟成が適切で、麺線の中まで水分が整っていれば、熱と水が均一に入りやすくなります。そのため、短い時間で、外側と中心の状態をそろえやすくなります。

ただし、茹で時間が短ければ、どの麺でも必ず高品質という意味ではありません。麺を細くするだけでも、茹で時間は短くなります。重要なのは、目指す食感や風味を犠牲にせず、麺の内部状態を整えた結果として、茹で時間が短くなることです。

軟水は麺への吸水と茹で上がりに影響する

製麺では、小麦粉だけでなく、使う水の状態が麺の品質に影響します。水に含まれるミネラル量が多いと、小麦粉に水を均一に入れる条件が難しくなる場合があります。適切な軟水を使い、水温と加水量を管理することで、水を粉全体へ分散させやすくなります。すると、麺線の部分ごとのばらつきを減らし、茹で上がりをそろえやすくなります。

水は、目立たない原材料です。しかし、麺の重量の大きな部分は水であり、その管理を曖昧にして、麺の品質を安定させることはできません。

pHの管理で目指す麺質と茹で時間を設計する

麺の弾力、滑らかさ、色、風味は、水と粉だけで決まるものではありません。うどんの塩水、ラーメンのかんすいなどによって、麺生地の性質は変わります。pHは、その変化を感覚だけでなく、数字で管理するための重要な指標です。

ただし、pHを上げれば上げるほどよいわけではありません。小麦粉、麺の太さ、加水率、目指す食感、スープとの相性によって、適正な条件は変わります。原料と工程を一つずつ変え、茹で時間、茹で上がり重量、食感、時間経過による劣化を比較することが必要です。

pHコントロールは、経験を否定するものではありません。職人の経験を数字に変え、毎日の品質を再現するための手段です。

熟成は無駄な待ち時間ではない

生産性を上げるというと、すべての時間を短くすればよいと考えがちです。しかし、減らすべき時間と、残すべき時間を混同してはいけません。

部品や道具を探す時間。材料の到着を待つ時間。指示を待つ時間。作業をやり直す時間。これらは、お客さまへの価値を生まない時間です。

一方、適切な熟成は、麺生地内の水分を均一にし、生地の状態を整えるために必要です。熟成を省いて製造時間を短くしても、茹で時間が長くなり、食感がばらつき、店舗での提供が遅くなるなら、全体としては改善ではありません。

削るべきなのは、品質を生まないロスタイムです。残すべきなのは、後工程を早くし、品質を高める時間です。

作り手によって茹で時間が変わる麺は店を弱くする

  • 同じ麺なのに、人によって茹で時間が変わる
  • 忙しい時だけ、麺が硬かったり、軟らかかったりする
  • 季節が変わると、今までの茹で時間で合わなくなる

この状態では、店舗の生産能力を計画できません。さらに、麺の仕上がりを見るために、店長や熟練者が茹で釜から離れられなくなります。店長しかできない仕事が増えれば、人材育成も、多店舗化も難しくなります。

高品質とは、一度だけおいしい麺ができることではありません。誰が茹でても、忙しい時でも、決めた時間で、狙った品質を再現できることです。

ただ茹で時間を短くするだけでは改善にならない

麺の茹で時間を半分にしても、盛り付けで注文がたまれば、店の提供数は増えません。茹で釜が早くなった結果、今度はスープの準備や盛り付けが新しい制約になることがあります。だから、必ず注文から提供までの全工程を見ます。

  • 茹で上がった麺を待たせない
  • 丼、スープ、具材、薬味を、茹で上がり時間から逆算して準備する
  • 人の動線が交差しないように、器具と食材の位置を決める

茹で釜の回転が早くなった分を、お客さまへの提供速度へつなげて、初めて改善は完成します。

明日からできる麺の品質と生産能力改善7段階

1. 現在の茹で時間を測る

標準時間だけでなく、最短、最長、忙しい時のばらつきを記録します。

2. 茹で釜の実際の回転数を測る

ピークの1時間に、何回投入し、何食を提供したかを確認します。

3. 水の条件を確認する

硬度、水温、加水量を記録し、季節による変化も把握します。

4. pHと配合を数字にする

塩、かんすいなどの原料は重量で管理し、pHも測ります。感覚だけに頼らないようにします。

5. 熟成条件をそろえる

時間、温度、保管方法を決め、不要な放置時間と区別します。

6. 一度に変える条件は一つにする

麺の太さ、加水率、pH、熟成時間を同時に変えると、どの変更が効いたのか分かりません。

7. 味と能力の両方を比較する

茹で時間だけでなく、食感、香り、麺の伸び、食べ残し、提供数、待ち時間を確認します。

改善前後で確認する数字

  • 標準茹で時間
  • 茹で時間のばらつき
  • 茹で上がり重量
  • ピーク1時間の釜の回転数
  • ピーク1時間の提供数
  • 注文から提供までの時間
  • 湯温が回復するまでの時間
  • 提供5分後、10分後の食感
  • 食べ残しの量
  • 1食当たりのエネルギー使用量

茹で時間が短くなっても、食感が低下したり、提供後の伸びが早くなったりしていれば、成功とは言えません。反対に、食感が良くなり、ばらつきが減り、提供数が増えていれば、商品力と生産性の両方が改善しています。

世界麺未来戦略研究所

「高品質な麺は、短時間で均一に茹で上がる。その一杯が、店舗全体の生産能力まで高める」

麺の品質と店舗の生産性は、別の問題ではありません。

  • 軟水を使う
  • 加水を均一にする
  • pHを管理する
  • 適切に熟成させる
  • 麺線の太さをそろえる

その結果、麺が均一に茹で上がる。その結果、茹で時間が短くなる。その結果、店舗の提供力が上がる。品質を犠牲にして早くするのではありません。品質を高めた結果、速くなるのです。

経営者への問い

あなたのお店で、麺の茹で時間を1分短縮できたら、最も忙しい1時間の提供数は何食増えるでしょうか。その数字に、スタッフ1人を増やす以上の価値があるかもしれません。

まず、今日のピーク時間に、麺の茹で時間と提供数を測ってください。そして、茹で時間を長くしている原因が、麺の太さなのか、加水なのか、水なのか、pHなのか、熟成なのかを一つずつ確認してください。

大和製作所では、製麺機の提供だけでなく、小麦粉、水、加水率、pH、熟成、麺の太さ、茹で時間までを一つの仕組みとして考えます。

麺のおいしさと、店舗の提供力を同時に高めたい方は、ぜひご相談ください。

世界麺未来戦略研究所からのご提案

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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