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はじめに

このブログでは、高AUV店を目指すために、2つのテーマを考えてきました。

「強い商品は、店の未来を変える」という記事では、強い店は、強い商品から始まるという話をしました。

世界のFast Casualや、つるとんたんのような成功店を見ると、商品レベルを一段上げることが、店の未来を変えることが分かります。

「世界の成功店は、店内売上だけで戦っていない」という記事は、強い商品を、強い売上構造へ変えるマネジメントについて考えました。

看板商品を中心に置く。
客単価を自然に上げる。
提供スピードを管理する。
品質を標準化する。
売れる入口を増やす。

この5つがつながることで、商品は売上に変わります。

そして今日は、その先にあるテーマです。

それは、強いブランドは、強い名前から始まるということです。

ブランドというと、ロゴ、看板、内装、広告、SNSを思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん、それらも大切です。

しかし、ブランドの中心にあるものは、もっと深いところにあります。

それは、名前です。
そしてさらに深めると、その名前の由来になっている店の哲学です。

なぜ、その名前なのか。
その名前に、どんな思いが込められているのか。
創業者は、何を大切にしてその店を始めたのか。
お客様に、どんな体験を届けたいのか。
その店は、世の中に何を約束しているのか。

ここが明確な店は、強いブランドへ育っていきます。

名前は、店の記憶になる

お客様は、すべての商品名を覚えてくれるわけではありません。
すべてのメニューを覚えてくれるわけでもありません。

しかし、強い店の名前は記憶に残ります。

博多一風堂。
つるとんたん。
一鶴。

こうした名前には、単なる識別記号以上の力があります。

聞いた瞬間に、何かが浮かぶ。
味が浮かぶ。
店の雰囲気が浮かぶ。
器が浮かぶ。
湯気が浮かぶ。
香りが浮かぶ。
行列が浮かぶ。
誰かと食べた記憶が浮かぶ。

これが、ブランド名の力です。

強い名前は、お客様の頭の中に、店の世界を作ります。

名前に哲学が宿る

本当に強いブランドは、名前だけが目立っているのではありません。
その名前の奥に、哲学があります。

たとえば、博多一風堂という名前には、単なるラーメン店ではなく、博多から新しい風を起こすような勢いと思想が感じられます。

つるとんたんという名前には、音の楽しさ、記憶に残る響き、そしてうどんを少し特別な食体験へ高める世界観があります。

一鶴という名前には、一本筋の通った強さ、専門店としての潔さ、骨付鳥という中心商品への集中が感じられます。

これらの店に共通しているのは、名前と商品と体験が、バラバラではないことです。

名前を聞く。
商品を思い出す。
店の雰囲気を思い出す。
また行きたくなる。

この流れができています。

ブランドとは、哲学の一貫性である

強いブランドは、名前だけで生まれるものではありません。

名前は入口です。
しかし、その名前の奥には、必ず由来があります。

由来の奥には、創業者の思いがあります。
さらにその奥には、その店が何を大切にしているかという哲学があります。

そして本当に強いブランドは、その哲学が店舗や会社のすべてに行き渡っています。

商品に表れている。
店内空間に表れている。
器に表れている。
メニュー名に表れている。
接客に表れている。
スタッフ教育に表れている。
価格設定に表れている。
店舗展開に表れている。
会社の判断基準に表れている。

つまり、ブランドとは、哲学が一貫性を持って、店全体・会社全体に流れている状態です。

たとえば、つるとんたんであれば、うどんを単なる日常食で終わらせず、器、空間、創作性、特別感まで含めて、一つの世界観にしています。

一鶴であれば、骨付鳥という中心商品に徹底してこだわり、専門店としての潔さ、力強さ、記憶に残る食体験を作っています。

博多一風堂であれば、博多ラーメンを世界へ広げながら、ラーメンを単なる一杯ではなく、店の空気、接客、デザインまで含めたブランド体験にしています。

これらの店に共通しているのは、商品、名前、空間、接客、会社の姿勢がバラバラではないことです。

名前だけが良いのではありません。
商品だけが良いのでもありません。
内装だけが良いのでもありません。

その店の根っこにある哲学が、すべてに行き渡り、一貫性を持って表れているのです。

だから、お客様はその店を覚えます。
だから、誰かに話したくなります。
だから、少し高くても納得します。
だから、また行きたくなります。

ブランドは、土台を大切にする店に生まれる

では、麺店がブランドを作るうえで、本当に大切なことは何でしょうか。

それは、土台になる大切なものを、大切にしているかどうかです。

創業時の思い。
店名に込めた願い。
守り続けたい味。
お客様への約束。
地域との関係。
職人としての誇り。
麺づくりへの姿勢。
出汁やスープへの考え方。
店を続ける理由。

これらが、店の根っこになります。

ブランドとは、表面を飾ることではありません。

店の根っこにある哲学を、商品に表し、名前に込め、空間に表し、接客に表し、会社運営に表し、お客様の記憶に残していくことです。

この土台がないままロゴだけを作っても、ブランドにはなりません。
看板だけを変えても、ブランドにはなりません。
SNSだけを頑張っても、長続きするブランドにはなりません。

大切なのは、何を守り、何を磨き、何を約束する店なのかを明確にすることです。

麺店にとっての名前の力

麺店は、名前の力をもっと大切にすべきです。

うどん店。
そば店。
ラーメン店。
パスタ店。

どの業態でも、商品そのものは競合が多くなっています。
だからこそ、その店でなければならない理由が必要です。

その理由を最も短く表すものが、店名です。

店名は、看板に出ます。
メニューに出ます。
検索されます。
SNSで投稿されます。
口コミで語られます。
お客様の記憶に残ります。

つまり、店名は最も小さなブランドメディアです。

だからこそ、名前を大切にする店は強くなります。

その名前を、スタッフが誇りに思っているか。
その名前の由来を、お客様に語れるか。
その名前に恥じない商品を出しているか。
その名前にふさわしい接客をしているか。
その名前にふさわしい空間になっているか。

ここまで考えることで、名前は単なる看板ではなくなります。

名前が、店の哲学になります。

商品・名前・哲学を一致させる

高AUV店を目指すうえで大切なのは、商品、名前、哲学を一致させることです。

名前は立派だが、商品が弱い。
商品は良いが、名前の印象が弱い。
店名の由来はあるが、スタッフが知らない。
創業の思いはあるが、メニューに表れていない。
こだわりはあるが、お客様に伝わっていない。

これでは、ブランドには育ちにくいのです。

反対に、強い店はここが一致しています。

名前を聞くと、商品が浮かぶ。
商品を食べると、店の考え方が伝わる。
店に入ると、名前の世界観が感じられる。
スタッフの言葉から、店の姿勢が伝わる。
お客様が、その店を誰かに語りたくなる。

この状態になった時、店は単なる飲食店からブランドへ進化します。

麺店が今日から見直すべきこと

麺店がブランドを作るために、まず見直すべきことは、難しいことではありません。

自店の名前には、どんな意味があるのか。
その名前を、お客様に説明できるか。
その名前にふさわしい看板商品は何か。
その商品に、店の哲学が表れているか。
スタッフは、その名前に誇りを持っているか。
店内空間は、その名前の世界観と合っているか。
接客は、その店の哲学と一致しているか。
会社の判断基準は、その哲学とつながっているか。
お客様は、その名前を人に話したくなるか。

この問いを持つだけで、店づくりは変わります。

名前を大切にすると、商品が変わります。
商品を大切にすると、接客が変わります。
接客が変わると、店の空気が変わります。
店の空気が変わると、お客様の記憶に残ります。

その積み重ねが、ブランドになります。

さいごに

今週は、3回にわたって高AUV店への道を考えてきました。

「強い商品は、店の未来を変える」では、強い商品を作ること。
「世界の成功店は、店内売上だけで戦っていない」では、強い商品を売上構造へ変えること。
この記事では、強い商品をブランドへ育てること。

そして、ブランドの中心には名前があります。

名前には、由来があります。
由来には、創業者の思いがあります。
思いには、その店の哲学があります。
哲学には、その店の根っこがあります。

この根っこを大切にしている店は、強くなります。

表面的な流行を追いかけるだけではなく、自店が何を大切にしているのかを深く掘ること。

それを名前に込め、商品に表し、店舗に表し、接客に表し、会社運営に表し、お客様の記憶に残していくこと。

これが、ブランドづくりの本質です。

強いブランドは、強い名前から始まります。
強い名前は、強い哲学から生まれます。
強い哲学は、店の根っこを大切にするところから育ちます。

そして、その哲学が店舗、商品、接客、会社の判断基準のすべてに行き渡り、一貫性を持った時、本当のブランドになります。

大和製作所は、製麺機を作る会社であると同時に、麺ビジネスの未来を研究する会社でもあります。

麺の品質。
商品設計。
店舗運営。
提供スピード。
高AUV設計。
そして、麺店のブランドづくり。

これらを研究し、皆さまの店舗づくり、商品づくり、売上づくりに役立つ情報をお届けしてまいります。

強い商品を作る。
強い売上構造へ育てる。
強い名前と哲学を持つブランドへ進化させる。

ブランドとは、店の根っこにある哲学が、名前・商品・店舗・接客・会社運営のすべてに一貫して表れたものなのです。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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