何度教えてもスタッフのやり方が変わるのはなぜでしょうか|新人が早く育つ作業標準と教育の仕組み

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新人が早く育つ作業標準と教育の仕組み

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

  • 「何度教えても、スタッフが教えた通りにやらない」
  • 「人によって、麺の茹で時間も、盛り付けも違う」
  • 「忙しくなると、いつもの手順が守られない」

このような悩みを持つ店主は多いと思います。そのとき、「本人の意識が低い」「覚えが悪い」と考えてしまいがちです。しかし、本当にそうでしょうか。

人によってやり方が変わる原因を、働く人だけに求めてはいけません。「正しい仕事のやり方」と「教え方」が、店の仕組みになっていないことも大きな原因です。

教育は、先輩の経験や勘に任せるものではありません。誰が教えても、同じ基準で学べるように設計するものです。

見て覚えては 教育ではない

忙しい店では、新人に十分な説明をしないまま、「まずは見て覚えて」と言ってしまいます。しかし、見ただけでは、なぜその順番なのか、どこが品質を左右するのかは分かりません。教える人も、自分にとって当たり前になった動作を、すべて言葉にはしません。

その結果、新人は見えた部分だけを真似します。分からない部分は、自分で考えて埋めます。ここから、自己流が始まります。

教えたつもりでも、相手が同じ動作を再現できなければ、教育は完了していません。

すかいらーくは 標準作業を動画で教える

国内の事例として、すかいらーくグループがあります。同グループは、誰もが標準作業を分かりやすく学び、教えられるように、オペレーションマニュアルを動画化しています。さらに、知識や技術を段階的に身につけるキャリアアッププログラムを整えています。

外国人スタッフには、英語、中国語、韓国語、ベトナム語の音声と、視覚的に分かりやすい基本業務説明ツールも用意しています。

重要なのは、マニュアルを作ったことだけではありません。「学ぶ人」だけでなく、「教える人」も同じ基準を使う仕組みにしていることです。

先輩によって教え方が違えば、新人は迷います。迷った人は、自分がやりやすい方法を選びます。教え方をそろえることが、作業をそろえる第一歩です。

参考:すかいらーくの標準作業と人材育成

マクドナルドは 店舗運営を学問にした

海外の事例として、マクドナルドがあります。同社は、世界各地の店舗で品質、サービス、清潔さ、価値の基準を共有するため、「ハンバーガー大学(Hamburger University)」という教育機関を運営しています。

そこで学ぶのは、ハンバーガーの作り方だけではありません。店舗運営の手順、品質管理、サービス、衛生、人材育成まで、店を運営するための知識と技術を体系化しています。

世界各地では、人々の背景も、言葉も、食文化も違います。それでもブランドの基準を保つには、優秀な人を集めるだけでは不十分です。仕事を分解し、教え、練習し、確認する教育の仕組みを積み上げることが必要です。

人の能力のばらつきを責めず、誰もが学べる方法をつくる。これが、大きなブランドを支える人材育成の基本です。

参考:マクドナルドのハンバーガー大学

参考:ハンバーガー大学のカリキュラム

作業標準に必要な3つの内容

作業標準には、少なくとも次の3つが必要です。

1. 完成の基準

どの状態になれば合格なのかを示します。写真、重量、温度、時間、盛り付けを使い、見たら分かる状態にします。

2. 作業の手順

何を、どの順番で行うのかを示します。一つの作業を短い動作に分け、一項目ずつ確認できるようにします。

3. その理由

なぜその順番なのか。なぜその温度なのか。なぜその時間を守るのか。理由を理解すれば、忙しいときにも、守るべき要点を判断できます。

教育は 説明して終わりではない

仕事を一度説明しただけで、「教えた」と考えてはいけません。相手が再現できるまでが教育です。

私は、現場の教育を次の5段階で行うことを勧めます。

1. 完成品を見せる

最初に、何をつくるのか、合格品を見せます。

2. ゆっくりやって見せる

通常の速さではなく、手順が見える速さで実演します。

3. 理由を説明する

品質を左右する要点と、間違えやすい部分を説明します。

4. 本人にやってもらう

本人に最後までやってもらい、教えた人は必要以上に手を出さず、動作を確認します。ただし、安全や食品衛生に関わる誤りは、その場で止めて修正します。本人に手順と理由を言葉で説明してもらいます。

5. 時間を空けて再確認する

その場でできても、翌日にできるとは限りません。当日、翌日、1週間後に確認し、定着を見ます。

一度に教えるのは 一つの仕事

新人に、1日で多くの仕事を教えようとする店があります。お客さまへの挨拶、注文の取り方、洗い場、麺の茹で方、盛り付け、会計、閉店作業。これでは、新人の頭の中がいっぱいになります。

一度に教えるのは、一つの仕事に絞ります。一つできたら、チェックし、次へ進みます。「分かったか」ではなく、「できたか」で判断します。

教える人にも 基準が必要

教育の質を左右するのは、新人だけではありません。教える人の力に、大きく左右されます。仕事ができる人が、教えるのも上手とは限りません。自分では無意識にできるため、大切なコツを説明し忘れることがあります。

だから、「誰でも新人を教えてよい」としてはいけません。教育担当者には、次の条件が必要です。

  • 標準作業を正しくできる
  • 手順と理由を説明できる
  • 相手に実践してもらい、できない箇所を特定できる
  • 感情的に責めず、やり直しを支えられる

この条件を満たした人を、教育担当者にします。

新人が育つ7日間の教育計画

新人教育を、次の7日間に分けてみてください。これは進め方の一例です。勤務日数や本人の習熟度に合わせ、できたことを確認しながら進めます。

1日目. 店の目的と基本動作

店がお客さまに何を約束しているか、挨拶、衛生、安全を教えます。

2日目. 一つの基本作業

洗い場や下準備など、完成が判断しやすい作業を一つ任せます。

3日目. 商品の一工程

タレを入れる、具材を準備するなど、商品づくりの一部を教えます。

4日目. 商品づくりの連続動作

二つ以上の工程をつなげ、時間と順番を確認します。

5日目. 通常速度での実践

品質を守ったうえで、通常の速度に近づけます。

6日目. 忙しい時間の練習

教育担当者がすぐ支援できる状態で、忙しい時間を経験してもらいます。

7日目. 確認と次の目標

できること、まだ練習が必要なことを分け、次の1週間の目標を決めます。

毎日3分の確認が 自己流を防ぐ

作業標準を作っても、放っておけば、少しずつやり方が変わります。そこで、毎日3分だけ、一つの作業を確認します。今日は麺の茹で時間。明日は湯切り。次の日は盛り付け。

一度にすべてを確認する必要はありません。短い確認を続けるほうが、一度の長い研修より、現場の品質を守りやすいのです。

間違いが見つかったときは、その人を責める前に、標準書が分かりにくいのか、教え方が足りなかったのか、道具の位置が悪いのか、忙しすぎる動線になっていないかを確認します。仕組みに問題があれば、そこを直します。

世界麺未来戦略研究所からの提言

「人は、教えた通りに動くのではない。再現できるように設計された仕組みの中で育つ」

人によってやり方が違うとき、管理者が最初にすべきことは、本人を叱ることではありません。完成基準が明確か、手順が短い動作に分かれているか、理由が説明されているか、本人が練習したか、後日再確認したか。まず、教育の仕組みを確認します。

標準化は、スタッフの個性を消すためのものではありません。商品の品質とお客さまへの約束は、全員が同じ基準で守る。そのうえで、笑顔、気配り、会話に、一人ひとりの個性を生かす。守るものと任せるものを分けることが、人が育つ管理です。

経営者への問い

あなたのお店では、新人が間違えたとき、その人を責めているでしょうか。それとも、標準書と教え方のどこを直すべきかを確認しているでしょうか。

大和麺学校では、麺づくりの技術だけでなく、材料、温度、時間、作業手順を数字と基準に変え、再現できる商品をつくる方法を学びます。

店主の技術を、次の人が正しく学べる形にしたい方は、ぜひご覧ください。

世界麺未来戦略研究所からのご提案

世界麺未来戦略研究所は、世界の成功事例、AI、商品開発、食感創造、生産性、健康、ブルーゾーン、スーパーアクティブ高齢者、海外展開、人口減少、人手不足、経営戦略を研究し、世界の麺文化を進化させることを目指しています。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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