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これからの競争は「味」だけではない

前回の記事(これから10年、外食はどこへ向かうのか)では、これから10年の外食産業は、

  • 高生産性化
  • Fast Casual化
  • デリバリー化
  • デジタル化
  • 高齢化対応

へ向かうとお伝えしました。

今日は、その中でも最も重要なテーマである「生産性」について考えてみたいと思います。

美味しいだけでは勝てない時代

少し厳しい言い方になるかもしれません。

しかし私は、これからの外食は、「美味しい店が勝つ」時代ではなく、「美味しさを、いつでも安定して再現できる店が勝つ」時代になると考えています。

なぜでしょうか。

理由は、とても明確です。

人がいないからです。

どれほど美味しい商品があっても、それを特定の人しか作れない。
店主がいないと味が落ちる。
熟練者が休むと店が回らない。
新人が入るたびに品質がぶれる。

この状態では、これからの外食経営は厳しくなります。

美味しさは大前提です。
しかし、美味しさだけでは足りません。

これから必要なのは、美味しさを再現できる仕組みです。

人手不足は、世界共通の課題である

これは日本だけの問題ではありません。

アメリカでも。
ヨーロッパでも。
アジアでも。

外食業界は、人材不足に悩んでいます。

さらに、最低賃金は上がる。
教育コストも上がる。
離職率も高い。
原材料費も上がる。

つまり、昔のように、「腕の良い職人がいるから大丈夫」という時代ではなくなったのです。

もちろん、職人技は大切です。
しかし、職人技だけに依存する経営は、リスクが高くなっています。

これからの外食では、良い人を探すことと同じくらい、良い仕組みを作ることが重要になります。

生産性とは何か

生産性という言葉を聞くと、効率化やコスト削減を想像する人がいます。

もちろん、それも一部です。
しかし私は、生産性の本質はそれだけではないと思っています。

生産性とは、お客さま満足を落とさずに、少ない力で大きな価値を生み出すことです。

たとえば、

同じ品質。
同じ食感。
同じ味。
同じ提供スピード。
同じ満足感。

それを、誰が作っても再現できる。
これも生産性です。

人を減らすことだけが生産性ではありません。
品質を落とさず、現場の負担を減らし、お客さまの満足を安定させること。

これが、外食における本当の生産性だと私は考えています。

世界で伸びている業態の共通点

今、世界で伸びている外食企業を見ると、ある共通点があります。

それは、

  • 高品質
  • 高回転
  • 再現性

この3つを持っていることです。

つまり、Fast Casual です。

品質は高い。
しかし、職人依存ではない。
提供は速い。
しかし、安っぽくない。
誰が作っても、一定の品質になる。
だから多店舗化できる。
だから高AUV化できる。

ここが、非常に重要です。

これからの外食競争は、単に美味しいかどうかではありません。
高品質を、どれだけ安定して、効率よく提供できるかの競争になります。

麺ビジネスには、大きな強みがある

私は、麺業態は非常に有利だと思っています。

なぜなら、麺には次のような強みがあるからです。

  • 調理時間が短い
  • 回転率が高い
  • 原価管理がしやすい
  • 再現性を作りやすい
  • 温かくても冷たくても提供できる
  • 一人でも、家族でも利用しやすい
  • 日常食として繰り返し利用されやすい

つまり、麺は本来、高生産性の外食に向いている商品です。

しかし、同じ麺業態でも、伸びる店と伸びない店があります。

その違いは何でしょうか。

私は、その違いは仕組み化にあると思っています。

職人依存から、再現システムへ

私は50年間、製麺機を作ってきました。

その中で一貫して追求してきたものがあります。

それは、職人技を否定することではありません。
職人技を、再現できる仕組みに変えることです。

職人の勘。
手触り。
経験。
判断。
調整力。

これらは非常に価値があります。
しかし、それを一人だけが持っている状態では、事業は広がりにくい。

大切なのは、その技術を分解し、数値化し、誰でも再現できる形にしていくことです。

再現性があるから、品質が安定する。
品質が安定するから、人が育つ。
人が育つから、店舗が回る。
店舗が回るから、事業が拡大できる。

これが、生産性の本質だと思います。

生産性は、現場を楽にするためのものでもある

生産性という言葉は、ときどき冷たい言葉に聞こえることがあります。

効率化。
削減。
省人化。

こうした言葉だけで捉えると、現場に負担を押し付けるもののように感じるかもしれません。

しかし、本来の生産性は逆です。

生産性を高めることは、現場を楽にすることでもあります。

迷わなくてよい。
教えやすい。
覚えやすい。
失敗しにくい。
品質がぶれにくい。
ピーク時でも慌てにくい。

こうした状態を作ることが、生産性です。

そして、その結果として、お客さまにも安定した価値を提供できます。

皆さまへの質問

皆さまのお店では、最も人に依存している工程はどこでしょうか。

仕込みでしょうか。
製麺でしょうか。
調理でしょうか。
盛り付けでしょうか。
接客でしょうか。
ピーク時の判断でしょうか。

ぜひ、一言で結構です。
返信で教えてください。

大和メルマガ/ブログでは、皆さまの現場の声と共に、次の麺ビジネスを研究していきます。

さいごに

これからの外食は、味の競争だけではありません。

再現性の競争です。
生産性の競争です。
そして、高品質Fast Casualの競争です。

私は、次の10年で成功する店は、職人技を大切にしながら、同時に再現システムを持つ店だと思っています。

美味しいだけでは足りません。
美味しさを、いつでも、誰でも、安定して再現できること。

そこに、これからの外食の勝ち筋があります。

大和製作所は、世界の食感研究所として、その研究を続けていきます。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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