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未来は、すでに世界の店で始まっている

皆さま、こんにちは。
大和製作所創業者、ロッキー藤井です。

前回は、
何を変え、何を変えないのか
をテーマに考えてきました。

その前には、麺は4,000年間、何を変え、何を変えなかったのか

前回は、成功企業ほど、変えないものが明確である、という話をしました。

この記事では、未来戦略を考えます。

私は、未来は突然やって来るものではないと思っています。

未来は、すでに世界のどこかで始まっています。

問題は、それに気づくかどうかです。

外食のデジタル化は、想像以上に進んでいる

日本の外食経営者が感じている以上に、世界の外食産業はデジタル化しています。

McDonald’s は、デジタル、デリバリー、ドライブスルー、店舗開発を重要戦略にしています。

Yum! Brands は、KFC、Pizza Hut、Taco Bell などを展開しながら、デジタル売上を大きく伸ばしています。

Chipotle では、デジタル注文が売上の大きな比率を占めています。

Starbucks も、アプリ、リワード、モバイル注文を通じて、お客様との関係を深めています。

ここで重要なのは、デジタル化とは、単に注文をスマホで受けることではないということです。

デジタル化とは、お客様の行動を理解し、注文前から、来店中、食後、再来店までを設計することです。

世界の外食は、「待つ店」から「つながる店」へ変わっている

昔の外食は、お客様が店に来るのを待つ商売でした。

店を構える。
看板を出す。
お客様に来ていただく。
店内で食事をしていただく。

これが、外食の基本でした。

しかし今は違います。

アプリでつながる。
会員制度でつながる。
注文履歴でつながる。
デリバリーでつながる。
リワードでつながる。
SNSでつながる。

店に来ていない時間にも、お客様との関係が続いています。

つまり、世界の外食は「店内の商売」から「生活全体の商売」へ進化しているのです。

これは大きな変化です。

お客様が食事をする瞬間だけを見るのではなく、その前後まで含めて関係をつくる。
ここに、これからの外食の競争軸があります。

デジタル化で変えるべきもの

では、麺ビジネスは何を変えるべきでしょうか。

私は、大きく四つあると考えています。

一つ目は、注文方法です。

店頭で並んでいただくだけではなく、スマホ注文、事前注文、セルフ注文、デリバリー注文に対応する必要があります。

お客様は、待ちたくありません。
迷いたくありません。
自分にとって便利な方法で注文したいと考えています。

二つ目は、顧客管理です。

誰が、いつ、何を食べたのか。
どんな商品を好むのか。
どの時間帯に来るのか。
どのくらいの頻度で利用しているのか。

これを理解することが重要になります。

感覚だけで経営する時代から、顧客行動を見ながら経営する時代へ変わっているのです。

三つ目は、提供設計です。

デジタル注文が増えると、店内客、持ち帰り客、デリバリー客が同時に動きます。

これまでのように、店内のお客様だけを前提にした厨房設計では対応しきれません。

厨房動線。
茹で時間。
盛り付け。
包装。
受け渡し。
ピーク時の処理能力。

これらを設計し直す必要があります。

四つ目は、品質維持です。

麺は、時間に敏感な食品です。

茹でた瞬間から、食感は変化していきます。

だからこそ、デリバリーや持ち帰りに対応するには、麺そのものの設計が重要になります。

伸びにくさ。
食感の持続。
スープとの相性。
温度管理。
包装との相性。
提供後に食べるまでの時間。

ここまで考えなければ、本当の意味でデジタル化に対応した麺ビジネスにはなりません。

しかし、変えてはいけないものがある

一方で、どれだけデジタル化しても、変えてはいけないものがあります。

それは、麺のおいしさです。
食感です。
お客様の満足です。

デジタル化は目的ではありません。

お客様を便利にし、おいしさを安定させ、再来店を増やすための手段です。

ここを間違えると、店はただのシステムになります。

お客様は、アプリを食べに来るのではありません。
データを食べに来るのでもありません。
おいしい麺を食べに来るのです。

この当たり前を忘れてはいけません。

世界麺未来戦略研究所 第六理論

私は、未来戦略には一つの原則があると思っています。

未来とは、技術を見ることではなく、お客様の進化を見ることである。

AI。
アプリ。
デリバリー。
ロボット。
モバイルオーダー。
自動調理。
キャッシュレス。

これらだけを見ても、未来は分かりません。

本当に見るべきは、その技術を必要としているお客様の変化です。

待ちたくない。
迷いたくない。
失敗したくない。
健康も気になる。
でも、おいしいものを食べたい。
便利さも欲しい。
でも、人の温かみも失いたくない。

このお客様の変化が、デジタル化を進めています。

つまり、デジタル化の本質は、技術の進化そのものではありません。

お客様の進化に、外食が適応しているのです。

麺ビジネスはどう進化すべきか

私は、これからの麺ビジネスは、次の方向へ進むと考えています。

早く提供できる。
しかし、安っぽくない。

デジタル注文に対応できる。
しかし、食感は落とさない。

デリバリーにも対応できる。
しかし、おいしさは守る。

少人数で運営できる。
しかし、温かみは失わない。

データを活用できる。
しかし、お客様を数字だけで見ない。

効率化できる。
しかし、食事の楽しさは消さない。

ここが、次の麺ビジネスの勝負になります。

これからの時代に求められるのは、単なるデジタル対応ではありません。

自社の Root を守りながら、お客様の進化に合わせて、必要な部分を変えていくことです。

さいごに

未来は、遠くにあるものではありません。

すでに世界の店で始まっています。

世界の外食産業は、日本の経営者が感じているよりも速く、デジタル化しています。

しかし、大切なのは、流行を追うことではありません。

自社の Root を守りながら、お客様の進化に合わせて、何を変えるべきかを見極めることです。

大和製作所が変えてはいけないものは、次の三つです。

麺のおいしさ。
食感文化。
お客様の成功。

一方で、製麺技術、厨房設計、デジタル対応、海外戦略、ビジネスモデルは、これからも進化させ続けなければなりません。

Root は守る。
Evolution は続ける。
そして、その先に Innovation が生まれる。

これが、世界麺未来戦略研究所の考える、次の麺ビジネスの未来です。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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