原価高でも利益を残す。5つのメニュー設計。値上げ前に、商品をつくり替える|世界麵未来研究所

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世界麺未来戦略研究所

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

「原材料費や人件費は上がり続けています。しかし、すでに周辺のお店より価格が高いため、いつ、どのように値上げすればよいのか分かりません」

これは、欧州のお客さまから寄せられた質問です。

同じ悩みは、欧州だけではありません。

  • 小麦
  • 肉
  • 魚介類
  • 油
  • 電気代
  • 人件費

国内でも海外でも、飲食店を取り巻く費用は上がり続けています。

しかし、原価が5%上がったから、全商品を5%値上げする。

このような一律値上げが、いつも正しいとは限りません。

特に、すでに周辺店より価格が高い店は、お客さまから「また高くなった」と受け取られる危険があります。

では、どうすればよいのでしょうか。

私は、値上げの前に、商品構成そのものを見直すべきだと考えています。

  • 守る商品
  • 変える商品
  • 新しく加える商品
  • やめる商品

この4つを分けることから始めます。

一律値上げの前に一杯当たり粗利益を見る

例えば、販売価格1,000円、原材料費350円の商品があるとします。

この商品の一杯当たり粗利益は、650円です。

原材料費が30円上がり、380円になった場合、一杯当たり粗利益は620円へ減ります。

以前と同じ650円を残すために必要な価格は、1,030円です。

原材料費が約8.6%上がったからといって、販売価格も8.6%上げ、1,086円にする必要はありません。

まず守るべきなのは、原価率ではなく、一杯当たりの粗利益です。

ただし、人件費、家賃、光熱費なども上がっています。

そのため、本当は一杯だけでなく、1時間当たりにいくら利益が残るかまで確認しなければいけません。

それでも、最初の判断材料は明確です。

現在の商品について、次の4つを確認してください。

  • 販売価格
  • 原材料費
  • 一杯当たり粗利益
  • 販売数

米国CAVAは値上げだけで売上を伸ばしたのではない

米国で地中海料理のファストカジュアル店を展開するCAVAは、食材費、包装費、人件費の上昇に直面しています。

それでも2025年度の既存店売上高は4.0%増加しました。

その内訳は、価格改定と商品構成による増加が2.4%、客数の増加が1.6%です。

単に値上げして売上を増やしたのではありません。

商品構成を改善しながら、お客さまの来店も増やしました。

原材料費や賃金が上がる中でも、年間の店舗利益率は24.4%でした。

価格、商品構成、客数の三つを同時に管理した結果です。

CAVAの2025年度決算を見る

国内でも新しい商品カテゴリーが客数をつくる

国内では、丸亀製麺が既存のうどんだけに頼らず、新しい商品カテゴリーを開発しています。

2026年4月に発売した「丸亀うどん飯」は、注文後、目の前の鉄板で調理して提供する商品です。

発売から約1週間で、20万食以上を販売しました。

同年の「トマたまカレーうどん」シリーズは、6月末までに合計234万食を販売しています。

ここで重要なのは、単なる値上げではなく、お客さまが新たにお金を払いたくなる商品をつくっていることです。

既存商品の価格だけを上げれば、お客さまは以前の価格と比較します。

新しいカテゴリーの商品であれば、お客さまは新しい価値で判断します。

TORIDOLLの事業実績を見る

海外では定額コースが再び増えている

米国などのレストランでは、原材料費と人件費の上昇に対応するため、アラカルト中心のメニューから定額コースやテイスティングメニューへ移行する店が増えています。

定額コースには、店側にとって次の利点があります。

  • 使用する食材を予測しやすい
  • 仕込み量を決めやすい
  • 注文を取る時間が短くなる
  • 厨房の作業を標準化しやすい
  • 廃棄を減らしやすい

お客さまにとっても、注文前に支払総額が分かるため、安心して選べます。

ただし、コースにすれば必ず利益が出るわけではありません。

料理数を増やしすぎれば、仕込みと人件費が増えます。

大切なのは、商品の数を絞り、使用する食材を重ね、少ない工程で価値を高めることです。

値上げの前に行う5つの商品改善

1. 入口商品を一つ残す

すべての商品を値上げしてはいけません。
初めてのお客さまが安心して注文できる商品を、一つは残します。
例えば、基本のかけうどん、醤油ラーメン、もり蕎麦です。
入口商品まで大きく値上げすると、「この店は高い」という印象が強くなります。
入口商品は価格を抑え、追加商品で客単価を高めます。

2. 標準商品と高付加価値商品を分ける

一つの商品だけで、安さと高い利益の両方を実現しようとしてはいけません。

例えば、次の3段階をつくります。

  • 基本商品 1,000円
  • 看板商品 1,300円
  • 特別商品 1,600円

価格差には、明確な理由をつけます。

  • 地域食材
  • 自家製麺
  • 特別な出汁
  • 熟成肉
  • 限定トッピング

お客さま自身に、予算と目的に合う商品を選んでもらいます。

3. 量を減らすのではなく量を選べるようにする

黙って麺量や具材を減らせば、お客さまは気づきます。

これは実質的な値上げです。

量と価格を、次のように明確に分けます。

  • 小盛り
  • 標準
  • 大盛り

食べ切れる量を選べるため、食べ残しも減らせます。

4. 高粗利益の追加商品をつくる

主力商品の値上げだけで、必要な利益をすべて確保する必要はありません。

  • 卵
  • 薬味
  • 小さなご飯
  • 飲料
  • デザート
  • 替え玉
  • 追加の肉

お客さまが必要なものを選べる形にします。

確認するのは、追加商品の原価率だけではありません。

「一つ売れると、いくら粗利益が増えるか」です。

5. 売れない商品をやめる

注文数が少ない商品を残すと、その商品のために材料、仕込み、保管、教育が必要になります。

メニュー数が増えるほど、在庫と廃棄が増えます。

提供も遅くなります。

まず、過去4週間の商品別販売数を確認してください。

販売数が少なく、粗利益も少なく、店の看板にもなっていない商品は、やめる候補です。

商品を減らすことも、立派な商品開発です。

商品を4つに分類する

現在の商品を、次の4つに分けてください。

【守る商品】
客数をつくる入口商品。
店を代表する看板商品。

【育てる商品】
販売数はまだ少ないが、粗利益が高く、将来性がある商品。

【変える商品】
よく売れるが、原材料費が高く、利益が残らない商品。

【やめる商品】
販売数が少なく、粗利益も少なく、店の価値にもつながらない商品。

全商品を同じように値上げする前に、商品ごとの役割を決めます。

値上げ前の商品診断

次の5項目を確認してください。

  • 商品別の販売数が分かっているか
  • 一杯当たりの原材料費が分かっているか
  • 一杯当たりの粗利益が分かっているか
  • 注文されていない商品を残していないか
  • 価格を上げても選ばれる明確な価値があるか

3項目以下しか答えられなければ、まだ値上げを決める段階ではありません。

まず、商品の数字と役割を明確にする必要があります。

世界麺未来戦略研究所 第7理論

「値上げは、最初の対策ではない。商品を磨き、利益構造を整えた後の、最後の仕上げである」

  • 原材料費が上がったからといって、すべての商品を値上げしない
  • 売れない商品はメニューから外す
  • 仕入れと仕込みを減らす
  • 量を選べるようにする
  • 高付加価値商品をつくる
  • 追加商品で粗利益を増やす

これだけでは、お客さまへ店側の事情を押しつけることになります。

それでも必要な分だけ、価格を見直します。

お客さまにとって価値が増え、店にも利益が残る。

この両方を実現することが、正しい商品設計です。

経営者への問い

あなたのお店では、原材料費が上がったから値上げしようとしていますか。

それとも、値上げの前に、商品の数、量、組み合わせ、価値を見直しているでしょうか。

大和製作所では、麺の品質だけでなく、商品構成、提供方法、生産性まで含めた麺ビジネスづくりを支援しています。

原価高の中でも、お客さまに選ばれ、利益が残る商品へ改善したい方は、ぜひご相談ください。

世界麺未来戦略研究所からのご提案

世界麺未来戦略研究所は、世界の成功事例、AI、商品開発、食感創造、生産性、健康、ブルーゾーン、スーパーアクティブ高齢者、海外展開、人口減少、人手不足、経営戦略を研究し、世界の麺文化を進化させることを目指しています。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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