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人を守る経営が、お客様を守る経営になる。

世界麺未来戦略研究所 第十二理論

皆さま、こんにちは。大和製作所創業者のロッキー藤井です。

前回は、「猛暑は危機ではない。暑さを新しい商品へ変える」というテーマでお話ししました。

しかし、どれほど優れた商品を開発しても、それをつくる人が健康でなければ、お客様へ最高の商品を届けることはできません。私は50年以上、世界の麺業界を見てきました。その中で年々強く感じるのは、これからの経営は「商品を守る経営」から「人を守る経営」へ進化しなければならない、ということです。

 

猛暑は、季節の問題から経営課題へ

飲食店、とくに麺店の厨房は、茹で釜、フライヤー、ゆで麺機などによって、もともと高温になりやすい環境です。そこへ猛暑が重なれば、スタッフの身体への負担は、これまで以上に大きくなります。

猛暑は、もはや「今年の夏は暑い」で済ませられる季節の話ではありません。採用、定着、生産性、品質、安全を左右する経営課題です。

「人」は、会社最大の財産

設備は買い替えられます。店舗も改装できます。しかし、経験を積んだスタッフは、短期間では育ちません。

だからこそ、最優先で守るべきものは、働く人の健康です。従業員を守ることは、単なる福利厚生ではありません。人材の定着とサービス品質を支える、未来への投資です。

厨房環境への投資は、人への投資

まず見直すべきは、厨房環境です。茹で釜やフライヤーから出る熱、排気の流れ、空調の効率、作業動線を確認し、熱がこもる原因を一つずつ減らしていく必要があります。

設備更新の際には、IH機器や高効率設備、排熱を考慮したレイアウトも検討する価値があります。初期投資は必要ですが、厨房温度が下がればスタッフの疲労が減り、集中力が高まり、商品の品質も安定します。

設備投資とは、機械を買うことだけではありません。人が安全に、長く働ける環境をつくる投資なのです。

店を出た後の健康まで気にかける

これからの経営者は、店の中だけを見ていては足りません。熱帯夜が続き、十分な睡眠が取れなければ、翌日の体調や判断力に大きく影響します。

社員だけでなく、パート・アルバイトを含めた全員に対し、日々の声かけを通じて体調の変化を把握することが重要です。これは私生活への過度な干渉ではなく、働く人の健康を守り、結果としてお客様への商品とサービスを守るためのマネジメントです。

暑さ対策は、設備と職場風土の両輪

猛暑への対応は、大がかりな設備だけで決まるものではありません。こまめな水分・塩分補給、休憩時間の確保、スポットクーラーや冷却ベストの活用、作業動線の見直しなど、小さな改善の積み重ねが大切です。

そして何より重要なのが、「今日は無理をするな」と言える職場の雰囲気です。設備が整っていても、休むことをためらう文化が残っていれば、対策は機能しません。思いやりも、暑さ対策の一部です。

経営者が最初に守るべき人

私は、経営者が最初に守るべき人は、毎日一緒に働いてくれる仲間だと考えています。

仲間が健康で、笑顔で働けるからこそ、お客様は気持ちよく食事を楽しめます。従業員を犠牲にしてお客様満足をつくることはできません。この順番を間違えてはいけません。

QSCに「Health」を加える

これからの繁盛店は、QSCだけでは十分ではありません。Quality(品質)、Service(サービス)、Cleanliness(清潔)に加え、Efficiency(効率)、Entertainment(楽しさ)、そしてHealth(健康)が必要です。

ここでいうHealthは、お客様だけの健康ではありません。お客様と働く人、その両方の健康です。これが、これからの飲食店経営に求められる新しい基準になるでしょう。

さいごに|人を守る会社が、最後に勝つ

これからの経営者に求められる役割は、売上を伸ばすことだけではありません。暑さからお客様を守り、働く仲間を守り、誰もが安心して働ける環境をつくることです。

猛暑は、人を大切にする会社と、そうでない会社の違いをはっきりと映し出します。だから私は、これからの繁盛店は「人を大切にする店」が最後に勝つと考えています。

それが、世界麺ビジネス研究所がたどり着いた第十四理論です。

次回は、「猛暑に強い店舗戦略」をテーマに、断熱・遮熱・省エネルギー・店舗設計という視点から、未来の繁盛店づくりを考えます。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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