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世界麺未来戦略研究所

皆様、こんにちは。大和製作所創業者、ロッキー藤井です。

経営の世界では、「茹でガエル」という比喩がよく使われます。急激な変化にはすぐに危機を感じる一方、わずかな変化がゆっくり続くと、危険に気づかないまま、その状態に慣れてしまうという意味です。飲食店の売上にも、同じことが起こります。

売上が一度に20%落ちれば、ほとんどの経営者は慌てて原因を調べます。

一方、前年より1%だけ落ちた場合は、「今年は天候が悪かった」「近くで工事をしていた」「この程度なら、来年は戻るだろう」と考え、対策を先送りしがちです。

翌年も、また1%落ちる。しかし、前年から見れば小さな減少なので、今回も見過ごしてしまう。こうして毎年少しずつ売上が減り、気づいたときには大きな減少になっています。

これが、売上における「茹でガエル」の状態です。

売上減少に慣れてはいけない

売上が毎年1%ずつ減少すると、10年後には約90.4%、20年後には約81.8%まで減少します。

しかも、その間に原材料費、人件費、光熱費、修繕費は上がっていきます。

売上が1%減っただけでも、利益はそれ以上の速さで減少します。

  • 客数が少しずつ減る
  • 従業員を減らす
  • 清掃や教育が不十分になる
  • サービスや商品の品質が低下する
  • その結果、さらにお客様が減る

この悪循環に入ってから立て直すのは大変です。

前年の売上を割り始めた時点で、アラームを出し、緊急に原因を調べる必要があります。

月次売上だけでなく「年計」を見る

多くの店では、今月の売上を前年同月と比較しています。

しかし、月次売上は、天候、休日数、連休の位置、地域行事などの影響を受けます。

一か月だけを見ても、本当に売上が落ち始めているのか、一時的な変化なのか、判断しにくいことがあります。

そこで必要になるのが「年計」です。

年計とは、決算が終わった後に一年分の売上を見ることではありません。

毎月、直近12か月の売上を合計し、更新していく方法です。

例えば、2026年9月末であれば、2025年10月から2026年9月までの売上を合計します。

10月末になれば、2025年11月から2026年10月までに更新します。

この年計が下がり始めたら、店の中や周辺で何かが変わっているという警報です。

お客様が減った原因を、価格だと決めつけない

お客様が減ると、「値段が高いからではないか」と考え、値下げや割引を始める店があります。

しかし、売上減少の本当の原因は、価格とは限りません。

ある店では衛生状態に問題があり、入口やテーブル、調味料の容器、トイレの汚れが、お客様を遠ざけていました。

別の店では接客が原因でした。挨拶がなく、忙しくなると従業員の表情や言葉遣いが悪くなる。常連客とだけ親しく話し、初めてのお客様を大切にしていませんでした。

料理がおいしくても、居心地が悪ければ、お客様は戻ってきません。

このような店が値下げをしても、本当の問題は解決しません。

郊外型店舗は、駐車場が売上の上限を決める

特に郊外型店舗では、駐車場が足りないために売上が伸びない店が多くあります。

店内には空席があり、厨房にもまだ余裕がある。それでも駐車場が満車なら、お客様は入店できません。

駐車場へ入れなかったお客様は、そのまま別の店へ向かいます。店内に入っていないため、POSデータにも苦情にも残らず、経営者に見えないまま売上だけが失われます。

郊外型店舗では、客席数だけでなく、

  • 満車になる時間
  • 満車の状態が何分続くか
  • 入れずに帰る車の台数
  • 従業員の車がお客様用区画を使っていないか
  • 入口や駐車位置が分かりやすいか

を確認する必要があります。

うどん店のライバルは、うどん店とは限らない

近くに新しい強い店ができたことで、売上が落ちる場合もあります。

このとき、同じ業種の店だけを見てはいけません。

お客様が昼食に使う予算が千円前後であれば、

  • ラーメン店
  • そば店
  • 定食店
  • カレー店
  • ハンバーガー店
  • ファミリーレストラン
  • スーパーマーケットやコンビニの弁当

これらもすべて、お客様の選択肢になります。

お客様は、「今日は、どのうどん店へ行こうか」だけでなく、「今日の昼食にこの予算を使うなら、どこが最も満足できるか」と考えています。

したがって、価格帯が近く、同じ時間帯、同じ来店目的で利用される店は、業種が違っても競争相手になります。

反対に、価格差が非常に大きい店は、同じ料理を出していても、直接の競争相手にならない場合があります。

競争相手を決めるのは、業種名ではありません。お客様の予算と、利用する目的です。

売上減少の原因を八つに分ける

前年の売上を割り始めたら、次の八つを確認してください。

  • 商品:味、食感、温度、盛り付けが悪くなっていないか。
  • 衛生:入口、客席、テーブル、調味料、トイレ、駐車場は清潔か。
  • 接客:挨拶、表情、言葉遣い、気配りに問題はないか。
  • 提供時間:注文から提供まで、お客様を待たせすぎていないか。
  • 駐車場:満車によって、入店できないお客様はいないか。
  • 店の入りやすさ:看板、入口、営業時間、駐車位置が分かりやすいか。
  • 価格と価値:支払った価格以上の満足を、お客様が感じているか。
  • 新しい競争相手:近くに、同じ価格帯の強い選択肢が現れていないか。

一つだけが原因とは限りません。

複数の問題が重なり、少しずつ客数を減らしていることもあります。

今週、実践していただきたいこと

まず、直近12か月の売上年計を出してください。

前年の年計と比べ、少しでも下がっていれば、原因の調査を始めます。

次に、経営者自身が店の外に立ってください。

お客様と同じ駐車場を使い、同じ入口から入り、同じ客席に座り、同じトイレを使い、同じ価格を支払って食事をしてください。

さらに、近くにある同じ価格帯の店を三店利用してみてください。

自店より優れている点を、最低三つ見つけます。

大切なのは、すぐに値下げすることではありません。

お客様が減った本当の原因を、証拠によって突き止めることです。

本日の問い

あなたの店は、前年の売上を割り始めたとき、すぐにアラームが鳴る仕組みになっているでしょうか。

「まだ1%だから大丈夫」と、小さな売上減少に慣れていないでしょうか。

小さな変化は、店が発している最初の警報です。

早く気づけば、小さな力で修正できます。

見過ごし続ければ、数年後には大きな問題になります。

茹でガエルにならない経営とは、危機に強い経営ではありません。

小さな異常に、早く気づいて動ける経営です。

  • お客様が減った原因が分からない
  • 値下げや新メニューを試しても、客数が戻らない
  • 年計は下がっているが、どこに問題があるか分からない

大和麺学校では、商品・製麺・衛生・接客・提供時間・客席・駐車場・競争環境まで、お客様の来店を妨げている原因を一緒に整理します。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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