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世界麺文化研究所 第四理論

皆さま、こんにちは。
大和製作所創業者、ロッキー藤井です。

前回、私は「麺の本質は Evolution、つまり進化である」という仮説をお話ししました。

麺は、約4,000年もの長い歴史を持つ食べ物です。

では、その長い時間の中で、麺は何を変え、何を変えなかったのでしょうか。

私は、この問いの中に、これからの麺ビジネスを考えるうえで最も重要なヒントがあると思っています。

麺は、変わり続けてきた

世界を見渡すと、麺は実にさまざまな姿に進化しています。

中国では、拉麺。
日本では、うどん、そば、ラーメン。
イタリアでは、パスタ。
ベトナムでは、フォー。
タイでは、クイッティアオ。
韓国では、冷麺。

同じ「麺」でありながら、国や地域によって、形も、原料も、食べ方も、味も、食感も違います。

さらに現代では、麺の進化はますます広がっています。

全粒粉麺。
グルテンフリー麺。
高たんぱく麺。
植物由来の麺。
低糖質麺。
冷凍麺。
デリバリーに適した麺。

麺は、時代や地域の文化、健康志向、ライフスタイルに合わせて、姿を変え続けてきました。

これが Evolution です。

麺は、昔の形のまま残ったのではありません。
変わり続けたからこそ、世界中で食べ続けられてきたのです。

しかし、変わらなかったものがある

一方で、4,000年の間、変わらなかったものもあります。

それは、人が麺を食べたときに感じる「おいしい」という喜びです。

人は麺を食べて、満足したい。
幸せを感じたい。
また食べたいと思いたい。
心地よい食事の記憶を残したい。

この本質は、時代が変わっても、国が変わっても、大きく変わっていません。

そして、その喜びを支えている大きな要素が、食感です。

のど越し。
コシ。
もちもち感。
弾力。
歯切れ。
なめらかさ。
噛んだときの心地よさ。

国によって好みは違います。
地域によって、求められる麺の食感も違います。

しかし、「心地よい食感を求める」という本質は変わりません。

私は、ここに麺の Root、つまり根っ子があると考えています。

変わるものと、変わらないもの

麺は、常に変化してきました。

原料は変わりました。
製法も変わりました。
形も変わりました。
食べ方も変わりました。
提供方法も変わりました。

しかし、麺を食べた人に「おいしい」「また食べたい」と思っていただくこと。
そして、その中心にある食感への価値。

ここは変わっていません。

つまり、麺文化は、すべてを変えてきたわけではありません。

変えてよいものは変えてきた。
しかし、変えてはいけない本質は守ってきた。

だからこそ、4,000年もの間、世界中で生き残ってきたのだと思います。

成功している麺ブランドも同じ

世界で成功している麺ブランドを見ても、この原則がよく分かります。

丸亀製麺は、「打ち立て・茹で立て・でき立て」という価値を守り続けています。

一方で、国や地域の食文化に合わせて、メニューや商品構成を工夫しています。

変えてはいけないものは守る。
変えるべきものは変える。

このバランスが、世界展開を支えているのだと思います。

一風堂も同じです。

博多ラーメンの美学、店舗の空気感、ブランド体験という Root は変えていません。

しかし、海外では現地のお客様に合わせた商品づくりや店舗づくりを進めています。

つまり、Root は守る。
Evolution は続ける。

この両立こそが、世界で支持される理由ではないでしょうか。

世界麺文化研究所 第四理論

私は、麺文化の歴史から一つの法則が見えてきました。

4,000年生き残った麺は、Root を守りながら Evolution を続けてきた。

これは、麺文化だけの話ではありません。

これからの麺ビジネスにも、そのまま当てはまる原則だと思います。

変えるべきものがあります。
変えてはいけないものがあります。

その見極めこそが、経営者に最も求められる力ではないでしょうか。

流行に合わせて変えることは大切です。
しかし、流行に合わせすぎて根っ子を失えば、その店らしさは消えてしまいます。

逆に、何も変えなければ、時代から取り残されます。

だからこそ、根っ子は守る。
進化は続ける。

この両立が重要なのです。

さいごに

麺は、4,000年間変わり続けてきました。

しかし、ただ変わり続けたから生き残ったのではありません。

変えてはいけない本質を守りながら、変えるべきものを進化させてきたから、生き残ったのです。

私は、この原則は麺だけではなく、企業にも、人にも共通するものだと考えています。

根っ子を失えば、自分らしさは消えてしまいます。
進化を止めれば、時代から取り残されます。

これからの麺ビジネスに必要なのは、どちらか一方ではありません。

Root を守り、Evolution を続けること。

それが、4,000年続いてきた麺文化から学ぶべき、最も大切な経営の原則だと思います。

次回は、この考え方を企業経営に当てはめ、
「成功企業は何を変え、何を変えなかったのか」
を世界の事例から研究していきます。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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