売れないメニューをなぜ残し続けるのか?品数を減らして利益を増やす判断基準|世界麵未来研究所

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世界麺未来戦略研究所

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

売れないメニューがあっても、なかなかやめられない。

  1. 常連のお客さまが、たまに注文してくれる
  2. せっかく開発した商品だから、外すのはもったいない
  3. メニューが少ないと、お客さまに飽きられるのではないか

このような理由で、ほとんど注文されない商品を残していないでしょうか。

  1. 仕込みが必要になる
  2. 食材が必要になる
  3. 保管場所が必要になる
  4. スタッフへの教育が必要になる

メニューを一品増やすことは、単に選択肢を一つ増やすことではありません。

厨房の仕事と経営上の負担を増やすことです。

売れないメニューにも見えない原価がかかっている

売れない商品について、食材原価だけを見てはいけません。

例えば、月に10食しか売れない商品でも、専用食材が必要なら、発注、検品、保管、仕込み、在庫確認が発生します。

売れ残れば、廃棄になります。

冷蔵庫の場所も使います。

スタッフは、めったに注文されない商品のつくり方まで覚えなければいけません。

注文が入るたびに手順を確認するため調理に時間がかかり、他の商品まで提供が遅れます。

この負担は、一般的な原価計算には表れにくいものです。

私は、長年、多くの麺店の商品開発や店舗運営を見てきました。

そこで何度も感じたことがあります。

メニューが多い店ほど、お客さまの満足度が高いとは限りません。

むしろ、仕込みが分散し、商品の完成度が下がり、提供時間が長くなっている店が少なくないのです。

マクドナルドもメニューを絞って速くなった

2020年、米国のマクドナルドは、店舗運営を簡素化するため、一時的に限定メニューで営業しました。

同社は同年、主要市場のドライブスルー提供時間が、過去2年間で平均約30秒速くなったと説明しています。

メニューの限定だけが改善の理由ではありません。ただし同社は、メニューの複雑さを減らし、現場が実行しやすくしたことを、提供速度改善の要因の一つに挙げています。

世界最大級の外食企業でさえ、「品数が多いほど、お客さまに喜ばれる」とは考えていません。

  1. 速さ
  2. 分かりやすさ
  3. 安定した品質

これらを守るために、何を増やすかだけでなく、何をやめるかを決めています。

売上だけで判断すると間違える

メニューを残すか、やめるか。

これを売上高だけで判断してはいけません。

最低でも、次の4つの数字を確認する必要があります。

  1. 販売数

1週間、または1か月に何食売れているか。

  1. 一食当たりの粗利益

販売価格から、食材原価を引いて、いくら残るか。

  1. 仕込み時間

その商品のために、毎週何分、何時間を使っているか。

  1. 廃棄金額

専用食材を、毎月いくら廃棄しているか。

例えば、販売価格1,000円、食材原価350円の商品が、月に20食売れたとします。

一食当たりの粗利益は650円です。

月間の粗利益は、650円×20食=13,000円です。

しかし、その商品のために月5時間の仕込みが必要で、時給を1,200円と考えれば、人件費は6,000円です。

さらに、専用食材を月3,000円廃棄していれば、残るのは4,000円です。

冷蔵庫の場所、発注、教育、調理の複雑さまで考えると、本当に残す価値があるでしょうか。

メニューを4つに分類する

すべての商品を、次の4つに分けてください。

  1. よく売れて、粗利益も高い商品

これは、店の主力商品です。

目立つ場所に掲載し、さらに磨きます。

  1. よく売れるが、粗利益が低い商品

価格、量、原価、セット販売を見直します。

人気があるからといって、そのままでよいとは限りません。

  1. あまり売れないが、粗利益が高い商品

商品名、写真、説明、メニュー上の位置を変えて、もう一度だけ販売を試します。

期間は2週間程度に区切ります。

  1. 売れず、粗利益も低い商品

原則として、やめる候補です。

特別な役割がない限り、残し続ける理由はありません。

売上構成比と粗利益構成比を見る

各商品の販売数だけでなく、売上構成比と粗利益構成比を確認します。

売上構成比は、「その商品の売上÷店全体の売上×100」で計算できます。

粗利益構成比は、「その商品の粗利益÷店全体の粗利益×100」です。

例えば、全売上の2%、粗利益の1%しか生んでいない商品が、仕込み時間の10%を使っていれば、経営効率を下げている可能性が高いと判断できます。

反対に、販売数は少なくても、その店の評判をつくる商品や、高額商品の注文につながる商品もあります。

その場合は、単品の売上だけでは判断できません。

数字を見る目的は、機械的に商品を削ることではありません。

その商品が店の中で、どのような役割を果たしているのかを明らかにすることです。

やってはいけない3つのこと

メニューを見直すとき、次の3つは避けてください。

  1. 一人のお客さまの要望だけで商品を増やさない

一度の要望と、市場全体の需要は違います。

追加する前に、同じ要望が何件あるかを確認します。

  1. 売れない商品をすぐに値下げしない

売れない原因が、価格とは限りません。

商品名、写真、説明、提供方法、メニュー上の位置に問題がある可能性があります。

  1. 店主の思い入れだけで残さない

苦労して開発した商品ほど、やめにくいものです。

しかし、お客さまが選ばない商品を残すことで、主力商品の品質が落ちれば、本末転倒です。

明日からできる5つの手順

  1. 直近4週間の販売データを商品別に出す
  2. 各商品の販売数、売上、食材原価、粗利益を並べる
  3. 専用食材、仕込み時間、廃棄額を確認する
  4. 商品を4分類する
  5. やめる候補を一度に全部削らず、まず一品だけ2週間休止する

休止前後で、次の数字を比べてください。

  1. 全体の売上
  2. 全体の粗利益
  3. 仕込み時間
  4. 食材廃棄額
  5. 平均提供時間
  6. お客さまからの要望件数

その商品を休止しても売上がほとんど変わらず、仕込み時間と廃棄が減ったなら、その商品は店に利益をもたらしていなかった可能性があります。

経営者への問い

「メニューの価値は、品数ではなく、店全体に生む利益で決まる」

メニューを一品増やせば、その商品の仕込みだけが増えるのではありません。

  1. 発注
  2. 在庫
  3. 教育
  4. 調理
  5. 提供時間
  6. 廃棄

厨房全体に、複雑さが広がります。

売れない商品をやめることは、単なる縮小ではありません。主力商品へ人、時間、食材、技術を集中する戦略です。

繁盛店は、何でも提供できる店ではありません。

繁盛店は、「この店へ来たら、これを食べたい」と、お客さまの頭に明確に浮かぶ商品を持つ店です。

何を増やすかを考える前に、何をやめるかを決める。

その選択が、店の強さをつくります。

あなたのお店で、売上への貢献が小さいにもかかわらず、最も多くの仕込み時間を使っている商品は何でしょうか。

大和製作所では、麺の商品開発だけでなく、メニュー構成、食材原価、提供時間、厨房の生産性まで含めた店づくりを支援しています。

商品数を整理し、主力商品へ経営資源を集中したい方は、ぜひご相談ください。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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