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高AUVは、偶然には生まれない

世界の成功店舗は AUVが非常に高い という話をしてきました。

AUVとは、Average Unit Volume
つまり、1店舗あたり年間売上 のことです。

しかし、今日考えたいのは、
「なぜAUVが重要なのか」
ではありません。

今日のテーマは、
「どうすればAUVを高められるのか」
です。

高AUV店舗は、偶然には生まれません。

設計され、
管理され、
毎日改善されて、
初めて生まれます。

世界の成功店は、1店舗売上が非常に高い

世界で成長している外食企業を見ると、1店舗あたりの売上が非常に高いことが分かります。

たとえば、

  • Chipotle:約6億円/店
  • CAVA:約4.3億円/店
  • Shake Shack:約3億円台後半

そして、特に驚くべきなのが 鼎泰豊 です。
米国では、AUV 約42億円/店 とも言われています。

これは、日本の外食オーナーにとって、まさに「想定外の想定外」の数字だと思います。

もちろん、

  • 国が違う
  • 立地が違う
  • 店舗面積が違う
  • 客単価が違う

そのまま比較することはできません。

しかし、ここから学ぶべきことがあります。

世界の成功店は、単に美味しいだけではありません。
1店舗から生み出す価値が、極めて大きい のです。

AUVが高い店ほど、生産性が高い

ここで重要なのは、
AUVが高いほど、生産性は高まる
ということです。

同じ厨房。
同じ客席。
同じ家賃。
同じ設備。

それでも、1店舗で1億円売る店と、10億円売る店では、ビジネスの強さがまったく違います。

つまりAUVとは、
空間・人・時間を、どれだけ高密度に使えているか
を示す指標なのです。

外食経営において、AUVは単なる売上数字ではありません。
その店の設計力、運営力、商品力、ブランド力を映す、非常に重要な経営指標です。

高AUVを実現する7つの管理項目

私は、高AUVを実現するためには、次の7つを管理する必要があると思っています。

  1. 客単価
  2. 回転率
  3. 席数と空間効率
  4. 提供スピード
  5. 再来店率
  6. デジタル売上比率
  7. 再現性

この7つです。
どれか一つだけを改善しても、高AUV店舗にはなりません。
大切なのは、この7つをバラバラに見るのではなく、一体で管理すること です。

客単価を上げる

まず、客単価です。

ただし、単に値上げすればよいわけではありません。
重要なのは、価格に見合う価値をつくること です。

  • 麺の食感
  • 盛り付け
  • トッピング
  • スープ
  • 空間
  • 接客
  • ストーリー

これらが整えば、お客さまは高い価格にも納得します。

つまり、客単価とは、単なる値段ではありません。
価値設計の結果 なのです。

価格を上げる前に、価値を上げる。
これが、客単価管理の基本です。

回転率を上げる

次に、回転率です。

高AUV店舗は、お客さまを長く待たせません。

  • 注文が早い
  • 提供が早い
  • 食べやすい
  • 会計が早い

この流れが整っています。
特に麺ビジネスでは、

  • 茹で時間
  • 盛り付け時間
  • 提供動線
  • 片付け動線
  • 会計動線

が非常に重要です。

つまり、回転率は偶然ではありません。
厨房設計とオペレーション設計で決まります。

美味しいだけでは、回転率は上がりません。
美味しさを、速く、安定して、無理なく出せる仕組みが必要です。

席数と空間効率を上げる

同じ家賃を払っているなら、その空間からどれだけ売上を生むかが重要です。
ただし、席数を増やせばよい、という単純な話ではありません。

  • 入りやすいか
  • 座りやすいか
  • 動きやすいか
  • 提供しやすいか
  • 片付けやすいか
  • 待ちやすいか
  • 注文しやすいか

これらを考えた空間設計が必要です。

空間は、単なる内装ではありません。
売上を生む装置 です。

見た目だけを良くするのではなく、売上、回転率、提供効率、顧客体験を同時に高める空間でなければなりません。

提供スピードを上げる

提供スピードは、AUVに直結します。
1杯を作る時間が短くなれば、同じ時間でより多くのお客さまに提供できます。
つまり、同じ店舗、同じ席数でも、売上を伸ばせる可能性が高まります。

しかし、ここで重要なのは、早くしても品質を落とさないこと です。

そのためには、

  • 麺の設計
  • 茹で時間の設計
  • 盛り付けの設計
  • 器の設計
  • スープ提供の設計
  • 厨房動線の設計
  • オペレーションの設計

すべてが必要になります。

提供スピードは、根性論では上がりません。
商品設計と現場設計の結果 として上がるものです。

再来店率を上げる

AUVを上げるには、新規客だけに頼ってはいけません。
重要なのは、再来店率 です。

また来たい。
また食べたい。
誰かを連れて来たい。

そう思ってもらえるかどうか。

ここで効くのが、食感 です。

味は忘れても、食感の記憶は残ります。

あのコシ。
あののど越し。
あのもちもち感。
あの噛みごたえ。
あのなめらかさ。

食感は、再来店をつくる経営資源です。

麺ビジネスにおいて、食感は単なる品質要素ではありません。
お客さまの記憶に残り、再来店を生む武器 なのです。

デジタル売上比率を上げる

これからは、デジタル売上比率も重要です。

世界のFast Casualでは、デジタル売上が店舗売上の3分の1以上を占め始めています。

ChipotleやCAVAでは、デジタル売上比率が約37%。
Sweetgreenでは、さらに高い比率になっています。

また、スターバックスではテークアウト比率が6割とも言われています。

つまり、これからの外食は、店内売上だけでは弱い のです。

これから重要になるのは、

  • 店内売上
  • テークアウト
  • デリバリー
  • モバイル注文
  • 事前注文
  • 再注文

これらを含めて、1店舗の売上を最大化することです。

店内で食べてもらうだけではなく、店外でも売れる構造を持てるかどうか。
ここが、高AUV化の大きな分かれ目になります。

麺ビジネスの弱点は、店外売上である

しかし、麺ビジネスは、このテークアウトへの適応力が弱いのです。
なぜなら、テークアウト商品として価値を出すには、様々な課題をクリアする必要があるからです。

  • 麺が伸びる
  • スープがこぼれる
  • 温度が落ちる
  • 食感が変わる
  • 香りが弱くなる

麺料理は長い間、「店内で食べること」を前提に進化してきた食品なのです。
しかし、これからの時代、このままでは高AUV化に限界があります。
これからの麺ビジネスは、

  • テークアウト
  • デリバリー
  • モバイル注文
  • 事前注文
  • 再注文

まで含めて、設計し直す必要があります。
そのためには、製麺そのものも変わります。

  • 時間が経っても伸びにくい麺
  • スープと分けても品質
  • 落ちにくい麺
  • 再加熱しても食感が戻る麺
  • 汁なしでも成立する麺
  • 持ち運んでも崩れにくいメニュー
  • 写真で選ばれやすい盛り付け

これらは、単なる販売方法の問題ではありません。

製法、食感、容器、メニュー、オペレーション。
すべての問題です。

つまり、テークアウトやデリバリーを伸ばすには、麺ビジネス全体を再設計しなければならない ということです。

ここに、これからの大きな研究テーマがあります。

再現性を上げる

最後に、最も重要なのが 再現性 です。
高AUV店舗は、たまたま良い商品を出しているのではありません。

いつ行っても、同じ品質が出る。
誰が作っても、同じ品質になる。
ピーク時でも、品質が崩れない。
新人が入っても、味と食感が大きくブレない。

これが必要です。

麺で言えば、

  • 加水率
  • 熟成
  • 圧延
  • 切刃
  • 茹で時間
  • 水締め
  • 食感
  • スープとの相性

これらを管理する必要があります。
職人の勘だけでは、高AUV店舗は作れません。

職人技を分解し、数値化し、再現できる形にする。
ここが、これからの経営です。

職人技を否定するのではありません。
むしろ、優れた職人技をより多くの人が再現できるようにする。
それが、これからの麺ビジネスに必要な管理です。

高AUV経営とは、全体管理である

ここまで見ると分かります。

高AUVは、一つの改善では生まれません。

客単価だけでもない。
回転率だけでもない。
デジタルだけでもない。
食感だけでもない。
再現性だけでもない。

すべてを、つなげる必要があります。

つまり、高AUV経営とは、全体管理 です。

商品、厨房、空間、オペレーション、デジタル、食感、再来店。
これらを一体で管理して初めて、1店舗の売上は大きく伸びます。

大和製作所の役割

これから必要なのは、単なる製麺機ではありません。
必要なのは、

  • 麺設計
  • 食感設計
  • 味設計
  • メニュー設計
  • オペレーション設計
  • デジタル対応設計
  • 高AUV化設計

これらを、一体で考えることです。
大和製作所は、お客さまの麺ビジネスを 高AUV化するための設計会社 でなければなりません。

だから私は、大和製作所を、世界の食感研究所 と定義しています。

さいごに

ここで考えてください。

あなたの店は、客単価を管理していますか。
回転率を管理していますか。
提供スピードを管理していますか。
再来店率を管理していますか。
デジタル売上比率を管理していますか。
そして、食感の再現性を管理していますか。

ただ売上を見るだけでは足りません。
ただ原価を見るだけでも足りません。

これからは、1店舗の価値を最大化するために、何を管理するのか が問われます。
高AUV店舗は、偶然には生まれません。

高AUV店舗は、設計され、管理され、毎日改善が行われることで初めて生まれます。

これからの麺ビジネスは、「美味しい麺を作る競争」だけでなく、「高AUVを管理する経営」へ進まなければなりません。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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