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世界麺未来戦略研究所 第十七理論

優れた経営者とは、変えるべきものと、変えてはいけないものを見極められる人です。

商品を支える「経営」を考える

皆様、こんにちは。大和製作所創業者のロッキー藤井です。

前回は、「異常事態が常態化する時代、最後に残るのは商品力である」というテーマでお話ししました。今回は、その商品を支える「経営」について考えます。

私は50年以上、世界各国の製麺業や外食産業の経営者と接してきました。その中で確信していることがあります。優れた経営者とは、変えるべきものと、変えてはいけないものを見極められる人です。

「異常」が「日常」になった時代

かつて経営者は、景気の波を読めばよい時代でした。しかし今は違います。新型コロナウイルス、ウクライナ戦争、中東情勢の緊張、原材料価格やエネルギー価格の高騰、円安、人手不足、AI・ITの急速な進化。

世界の出来事が、翌日には一杯の麺の原価や店舗経営に影響を与える時代です。もはや、「元に戻る」のを待つ経営では生き残れません。変化を前提に経営することが、新しい常識になっています。

経営者が変えるべきもの

環境が変われば、経営も変わらなければなりません。商品、価格、販売方法、店舗運営、オペレーション、AI・ITの活用、人材配置、情報発信、海外戦略。これらは、お客様や社会の変化に合わせて、柔軟に進化させる必要があります。

昨日までの成功体験に固執した瞬間、企業の成長は止まります。

暑さに強い厨房をつくる

猛暑時代の店舗経営では、厨房環境が生産性と品質を左右します。茹で釜、フライヤー、ゆで麺機などが発する熱は、スタッフの疲労を増やし、集中力や作業精度にも影響します。

設備更新の際には、IH機器や高効率設備だけでなく、排熱の流れ、換気、空調、機器配置まで含めて検討することが重要です。

厨房の温度が下がれば、身体への負担が軽くなり、品質が安定し、職場の雰囲気も変わります。設備投資とは、機械を増やすことではありません。人が長く元気に働ける環境をつくる投資です。

経営者が守るべきもの

一方で、どれほど時代が変わっても、変えてはいけないものがあります。

理念、お客様との約束、品質へのこだわり、誠実さ、社員への信頼、そして、経営者自身の「根っ子」です。

根っ子がぶれれば、判断もぶれます。短期的な利益に振り回され、企業は本来の使命を見失います。逆に、根っ子がしっかりしていれば、方法はいくらでも変えることができます。

AIは経営者の敵ではない

最近、「AIに仕事を奪われる」という話をよく耳にします。私はそうは思いません。AIは経営者の代わりになるものではなく、経営者の判断を支える強力な道具です。

市場の分析、情報収集、資料作成、データ整理。こうした仕事はAIが担う時代になります。

だからこそ、人間には、人間にしかできない役割が残ります。理念を語ること、人を育てること、未来を描くこと、困難な決断を下すこと、そして、人の心を動かすことです。

AIが進化するほど、経営者の人間性が問われる時代になると、私は考えています。

根っ子学が見る経営

根っ子学では、人の行動や判断は、その人の「根っ子」から生まれると考えます。経営も同じです。会社は、経営者の価値観を映す鏡です。

社員の姿勢、商品の品質、お客様との関係、企業文化。そのすべてに、経営者の根っ子が表れます。

だから私は、経営改善とは数字だけを改善することではなく、経営者自身が自らの根っ子と向き合うことから始まると考えています。

世界麺未来戦略研究所 第十七理論

私は、これからの経営に必要なのは、「変化への対応力」と「ぶれない根っ子」の二つを同時に持つことだと考えています。

環境は変わります。市場も、技術も変わります。だからこそ、経営の方法は変え続けなければなりません。しかし、理念や使命、そして経営者自身の根っ子だけは、変えてはなりません。

最後に、経営者の皆様へ

お客様は何を求めているのでしょうか。自分たちにしか提供できない価値は何でしょうか。そして、もう一つ、ご自身に問いかけてみてください。

あなたが人生で本当に欲しいものは何ですか。売上でしょうか。利益でしょうか。会社の規模でしょうか。それとも、お客様からの「ありがとう」、社員の成長、家族の笑顔でしょうか。

この問いに対する答えが明確になったとき、経営の軸はぶれなくなります。

世界麺未来戦略研究所は、経営技術だけを研究する場ではありません。経営者の根っ子を探究し、その根っ子から未来の外食産業を創造する研究所でありたいと考えています。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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