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世界麺未来戦略研究所 第十六理論

異常事態が常態化する時代、外食企業が最優先に磨くべきものは何か。その答えは、最後までお客様に選ばれ続ける「商品力」です。

異常事態が常態化する時代

皆様、こんにちは。大和製作所創業者のロッキー藤井です。

私は50年以上にわたり、日本だけでなく世界の麺文化と外食産業に携わってきました。この間、景気の波や流行の変化を何度も経験してきましたが、現在ほど経営環境が大きく変化した時代はありません。

2020年、新型コロナウイルスは世界中の外食産業を止めました。その後も、ウクライナ戦争の長期化、中東情勢の緊張、原材料価格やエネルギー価格の高騰、円安、人手不足、そしてAI・ITの急速な進化など、経営を取り巻く環境は次々と変化しています。

私は、これを「異常事態が常態化する時代」だと考えています。このような時代に、外食企業は何を最優先に磨くべきでしょうか。私は、その答えは商品力であると考えています。

しかし、これからの商品力は、単に「おいしい料理」を提供することではありません。商品力は、次の六つの力によって成り立ちます。

第一の力|おいしさと食感

外食の原点は、もちろんおいしさです。しかし、麺料理においては、おいしさだけでは十分ではありません。本当にお客様を感動させるのは「食感」です。

コシ、もちもち感、歯切れ、のど越し、しなやかさ、弾力、香り。これらが一体となって、お客様は「また食べたい」と感じます。

私は50年以上、世界中の麺を研究してきました。その経験から確信していることがあります。食感こそ、世界の麺文化における最大の差別化要因です。これからは単に「おいしい麺を作る時代」ではありません。感動する食感を創造する時代です。

第二の力|健康

これからの商品は、空腹を満たすだけでは選ばれません。身体にやさしいこと、栄養バランスがよいこと、食べた後に元気になれること。健康寿命が重視される時代において、外食は健康を支える存在にならなければなりません。

第三の力|独自性

これからの商品力とは、おいしさと食感、健康、独自性、体験価値、変化対応力、生産性、そしてそれらを束ねる商品の根っ子です。

異常事態が常態化する時代だからこそ、商品の本質に立ち返る。そのうえで、お客様に新しい感動を届けるために進化を続ける。その姿勢を持つ企業が、最後まで選ばれ続けると私は考えています。

 

第四の力|エンターテインメント性

家庭でもおいしい料理が食べられる時代です。だからこそ、お客様は外食に「体験」を求めます。

調理のライブ感、湯気や香り、器の美しさ、スタッフとの会話、驚きや感動、写真を撮りたくなる一皿。料理だけでなく、心に残る時間を提供することが、これからの外食の価値になります。

第五の力|変化対応力

商品は、一度完成すれば終わりではありません。気候が変わり、原材料価格が変わり、お客様の価値観や提供方法も変わります。

その変化に合わせて進化し続ける商品だけが、長く選ばれます。変わらない理念を持ちながら、商品は変わり続ける。それが、これからの商品開発です。

第六の力|生産性

人手不足は今後さらに深刻になります。だからこそ、商品そのものが高い生産性を持つ必要があります。

安定性:誰でも安定して作ることができ、品質がぶれない。

提供力:短時間で提供でき、食材や作業のロスが少ない。

収益性:適正な利益が残り、商品を持続的に提供できる。

AI、IT、機械化を積極的に活用し、人はより創造的な仕事に集中する。生産性とは、単なる省力化ではありません。おいしさを持続的に届けるための仕組みなのです。

根っ子学が見る商品力

私は、これら六つの力を支えているものが「商品の根っ子」だと考えています。

問い1:誰を幸せにしたいのか。

問い2:どのような価値を届けたいのか。

問い3:なぜ、この商品を作るのか。

この根っ子が明確であれば、時代が変わっても商品はぶれません。逆に、流行だけを追い続ける商品は、一時的に売れても長続きしません。

さいごに|未来に残るのは、人を中心に設計した店

これからの商品力とは、おいしさと食感、健康、独自性、エンターテインメント性、変化対応力、生産性、そして、そのすべてを支える「商品の根っ子」です。

異常事態が常態化する時代だからこそ、企業は商品の本質に立ち返らなければなりません。お客様は何を求めているのか。自分たちにしか提供できない価値は何か。

そして、もう一つ、経営者であるあなた自身に問いかけていただきたいことがあります。あなたが人生で本当に欲しいものは何ですか。

売上でしょうか。利益でしょうか。店舗数でしょうか。会社を大きくすることでしょうか。それとも、お客様から「ありがとう」と言われること、社員の幸せ、家族の笑顔でしょうか。

その答えが明確になれば、商品の方向性も、経営の方向性も、ぶれることはありません。なぜなら、企業が生み出す商品は、経営者自身の「根っ子」を映し出す鏡だからです。

世界麺未来戦略研究所は、商品を研究するだけではありません。商品を生み出す経営者の根っ子を研究し、その根っ子から未来の外食産業を創造していきたいと考えています。

次回は、「人手不足時代における人材力とAIの活用」をテーマに、外食企業がどのような組織をつくるべきかを考えていきます。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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