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味は忘れる。しかし、食感は覚えている

皆さまにも、きっと経験があると思います。

旅行先で食べたうどん。
出張先で食べたラーメン。
昔食べた蕎麦。

味を正確に思い出すことは難しくても、

「あの強いコシ」
「あのもちもち感」
「あののど越し」
「あのパツパツした歯切れ」

は、なぜか覚えている。

これは非常に重要です。

人間は、味だけでなく、食感を記憶している のです。

私は、これからの麺ビジネスは、
味の競争から、食感設計の競争へ進む
と考えています。

世界の食品業界は「食感競争」に入った

この流れは、麺業界だけで起きているものではありません。
世界の食品業界全体で起きています。

たとえば、世界中で大ヒットした Bubble Tea(タピオカティー)。

成功の理由は、紅茶だけではありません。
タピオカだけでもありません。

本質は、

噛む
弾む
吸う

という、新しい食感体験にありました。

また、Mochi Donut
ドーナツなのに、もちもちしている。
その意外性と食感が、多くの人に支持されています。

さらに、Taco Bellの Crunchwrap
柔らかい。
カリカリしている。
とろける。

一口の中で、複数の食感を楽しめるように設計されています。

中国では、Stretchy Yogurt(伸びるヨーグルト) が話題になりました。
味だけではなく、伸びる、引っ張れるという食感がSNSで広がったのです。

韓国のもち米ドーナツも同じです。
外はカリッ。
中はもちもち。

この二重食感が、多くの人を惹きつけています。

世界で成功している食品を見ると、ある共通点があります。

それは、
味だけではなく、食感を売っている
ということです。

実は、麺文化は昔から食感文化だった

ここで重要なことがあります。

私は、世界が最近になって気づき始めたことを、
日本の麺文化は昔から実践していた
と思っています。

たとえば、ラーメン。

一杯の中には、


メンマ
きくらげ
ナルト
チャーシュー
ネギ
海苔

があります。

それぞれが、まったく異なる食感を持っています。

パツパツ。
コリコリ。
シャキシャキ。
プリプリ。
ホロホロ。
フワッ。

一杯の中で、さまざまな食感が次々と現れる。
だから飽きない。
だから記憶に残る。

うどんも同じです。

麺のコシ。
天ぷらのサクサク感。
わかめの柔らかさ。
ネギのシャキシャキ感。
かまぼこの弾力。

蕎麦も同じです。

蕎麦の切れ。
天ぷらのサクサク感。
大根おろしのザラザラ感。
海苔の軽さ。

つまり、日本の麺文化は、もともと
複数食感文化
だったのです。

麺は、世界最高レベルの食感食品である

私は、麺には大きな可能性があると思っています。

なぜなら、麺ほど食感を自由に設計できる食品は少ないからです。

たとえば、少加水麺。
パツパツした歯切れ。
小麦の密度感。
博多ラーメンに代表される食感です。

一方、多加水麺。
もちもち感。
弾力感。
なめらかさ。
近年人気のつけ麺や手打ち風ラーメンに多く使われています。

さらに、うどん、蕎麦、パスタ。
それぞれ、まったく異なる食感を持っています。

麺は、加水率、熟成、圧延、切刃、茹で時間、温度、時間経過によって、食感を大きく変えることができます。

つまり、麺は、
世界でも最も食感設計の自由度が高い食品の一つ
なのです。

次のテーマは「複数食感設計」

私は、次の麺ビジネスのテーマは、
複数食感設計
だと思っています。

今までの麺は、
一杯の中に一つの食感
という考え方が一般的でした。

しかし、これからは違います。

  • 少加水麺と多加水麺を組み合わせる
  • 平打ち麺と角麺を組み合わせる
  • 細麺と太麺を組み合わせる
  • 温麺と冷麺を組み合わせる
  • 柔らかさと歯切れを共存させる
  • つるみと噛みごたえを一杯の中に設計する

一杯の中で、二つ、三つ、四つの食感を楽しむ。

これは、まだ世界でも十分に開拓されていない分野です。
しかし、非常に大きな可能性があります。

人は、単調なものには飽きます。
しかし、食感に変化があると、最後の一口まで楽しめます。

これからの麺づくりでは、味だけではなく、
食感の展開
まで設計する必要があります。

食感は、再来店理由になる

もう一つ重要なことがあります。

それは、
食感は再来店理由になる
ということです。

味は真似できます。
レシピも真似できます。

しかし、食感は簡単には真似できません。

なぜなら、食感は、

  • 加水率
  • 熟成
  • 圧延
  • 切刃
  • 茹で時間
  • 温度
  • 時間変化
  • スープやつゆとの相性

これらが複雑に絡み合って生まれるからです。

だから、独自の食感を持つ店は強い。

お客さまは、
「あの味」
だけではなく、
「あの食感」
を求めて戻ってくるのです。

あのコシ。
あののど越し。
あのもちもち感。
あの歯切れ。
あの噛みごたえ。

これらは、お客さまの記憶に残ります。

つまり、食感は単なる品質要素ではありません。
再来店を生む経営資源
なのです。

大和製作所の役割

私は、大和製作所は単なる製麺機メーカーではないと思っています。

私たちの役割は、
食感を設計すること
です。

温度。
時間。
加水。
熟成。
圧延。
切刃。
茹で時間。
スープやつゆとの相性。

これらを組み合わせながら、世界で最も面白い食感体験を生み出していく。

これからの麺ビジネスに必要なのは、単に美味しい麺ではありません。

記憶に残る麺。
再来店したくなる麺。
他店では真似できない食感を持つ麺。
一杯の中で、いくつもの食感が楽しめる麺。

そうした麺を設計することです。

だから私は、大和製作所を
世界の食感研究所
と呼んでいます。

さいごに

皆さまのお店で、お客さまが最も評価している食感は何でしょうか。

コシでしょうか。
のど越しでしょうか。
歯切れでしょうか。
もちもち感でしょうか。
つるみでしょうか。
噛みごたえでしょうか。

ぜひ、皆さまの現場の声やご意見をお聞かせください。

大和メルマガは、単なる情報発信ではありません。
読者の皆さまと共に、
世界の麺ビジネスの未来を研究する場
です。

世界の食品業界は、味の競争から、食感の競争へ進んでいます。

Bubble Tea。
Mochi Donut。
Crunchwrap。
Stretchy Yogurt。
韓国のもち米ドーナツ。

世界のヒット商品の共通点は、
「食感を売っている」
ことです。

しかし、日本の麺文化は、その何十年も、何百年も前から、食感を楽しみ、食感を設計し、食感を文化にしてきました。

ラーメン。
うどん。
蕎麦。

これらは、単なる麺料理ではありません。

麺。
具材。
温度。
時間変化。
つゆやスープとの一体感。

そのすべてが織りなす、
複数食感の芸術
です。

だから、これからの麺ビジネスは、
「味の競争」から「食感設計競争」へ進む。

さらに、
「単一食感」から「複数食感設計」へ進む。

私は、そう考えています。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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