食べ残しを記録しても改善できない店。店主不在でも続く5分間の仕組み|世界麵未来研究所

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世界麺未来戦略研究所

おはようございます。大和製作所の創業者、ロッキー藤井です。

前回の「なぜ、お客さまは食べ残したのか?|食べ終わった器が教える商品改善」では、お客さまが残した器の中に、商品改善につながる重要な答えがあるとお伝えしました。

しかし、食べ残しに気づいただけでは、商品は改善されません。

スタッフが「今日のお客さまは、麺をたくさん残していた」と思っても、忙しい営業が終わる頃には忘れてしまいます。

店主に伝えても、「たまたまだろう」の一言で終わることもあります。

これでは、せっかくお客さまが残してくれた無言の回答が、何も生かされません。

食べ残しを商品改善につなげるには、誰でも記録でき、数字で比較でき、改善までつながる仕組みが必要です。

店主だけが気づく店は改善が止まる

店主が毎日、すべての器を確認できる店であれば、問題はありません。

しかし、店が忙しくなり、スタッフが増え、店主が厨房を離れるようになると、状況は変わります。

あるスタッフは「今日は麺がよく残っていた」と感じ、別のスタッフは「スープがほとんど飲まれていなかった」と気づきます。

しかし、その気づきが口頭だけで終われば、店の中に残りません。

翌日には、また同じ商品を、同じ状態で提供してしまいます。

  1. スタッフが気づいても記録されない
  2. 記録されても比較されない
  3. 比較されても改善する人が決まっていない

この状態では、食べ残しの記録を始めても長続きしません。

問題は、スタッフの意識ではありません。

記録から改善までの流れが設計されていないことです。

IKEAが食品廃棄を半減できた理由

世界470店以上のレストランを運営するIKEAは、2017年に調理時の食品廃棄を50%削減する目標を掲げ、調理場で廃棄される食品を重量、種類、理由に分けて記録する仕組みを導入しました。

2022年末までに、2017年度と比べて調理時の食品廃棄を平均50%削減しました。これは2,000万食以上に相当します。

なぜ、これほどの削減ができたのでしょうか。

「食品を大切にしよう」と呼びかけただけではありません。

  1. 何を捨てたのか
  2. どれだけ捨てたのか
  3. なぜ捨てたのか

これらを毎日測り、記録し、原因を分析したからです。

現在は、お客さまが皿に何を、どれだけ残したかについても情報を集め、提供量や作業方法の改善に役立てています。

大切なのは、従業員の注意力だけに頼らなかったことです。

誰でも同じように記録できる仕組みにしたことが、大きな成果につながったのです。

食べ残し記録を続ける5つの仕組み

食べ残しの記録を、忙しい店でも継続するためには、次の5つが必要です。

  1. 記録項目を絞る

まずは、次の7項目に絞ります。

  1. 商品名
  2. 提供時刻
  3. 下膳時刻
  4. 麺の残量
  5. スープの残量
  6. 残された具材
  7. スタッフが気づいたこと

記録にかかる時間は、1件30秒以内を目標にします。

  1. 残量の判断基準を統一する

残量を、次の4段階に統一します。

  1. A:完食
  2. B:4分の1程度残った
  3. C:半分程度残った
  4. D:4分の3以上残った

誰が見ても、ほぼ同じ判断になる基準をつくります。

  1. 異常だけを詳しく記録する

Cの半分以上、またはDの4分の3以上残った場合だけ、詳しい状況を記録します。

忙しい現場では、「全部を細かく記録する」より、「異常を見逃さない」仕組みの方が長続きします。

  1. 営業終了後に5分間だけ確認する
  2. その日の件数
  3. 特定の商品への集中
  4. 同じ時間帯での発生
  5. 麺、スープ、具材のどれが残っているか

これだけを確認します。

毎日長い会議を開く必要はありません。

  1. 週に一つだけ改善する

一度に多くの問題を直そうとすると、何が効果を生んだのか分からなくなります。

  1. 今週は麺量を200グラムから180グラムにする
  2. 次の週は茹で時間を10秒変える
  3. その次は提供時のスープ温度を変える

改善項目は、原則として一度に一つです。

変更前と変更後の残食率を比べることで、その改善が正しかったかを判断できます。

食べ残し記録表の見方

例えば、ある商品を1週間に100食提供したとします。

そのうち、半分以上の食べ残しが10食あれば、発生率は10%です。

10食のうち、8食が提供から15分以上経過していたとします。

この場合、単に量が多いのではなく、時間の経過によって麺の食感が落ちている可能性があります。

反対に、提供から5分以内でも多く残されていれば、麺量、味、温度、盛り付け、メニュー説明など、別の原因を考える必要があります。

数字を取ると、同じ食べ残しでも、考えるべき原因が違うことが分かります。

重要なのは、食べ残したお客さまを問題にしないことです。

スタッフの責任にもしてはいけません。

見るべきものは、人ではなく、商品と仕組みです。

記録表をつくるだけでは続かない

多くの店では、問題が起きると新しい記録表をつくります。

最初の数日は、全員が記入します。

しかし、1週間、2週間と経過するうちに、記入する人が減っていきます。

これは、スタッフのやる気がないからではありません。

記録した後に、何が変わったのかが見えないからです。

記録を続けても、店主が確認しない。

改善策が実行されない。

結果がスタッフへ伝えられない。

これでは、記録する意味が分からなくなります。

記録を続けるには、次の流れが必要です。

  1. 記録する
  2. 確認する
  3. 一つ改善する
  4. 結果を共有する

この流れを、必ず一つにつなげる必要があります。

「皆さんが記録した結果、麺の量を20グラム減らしたところ、半分以上の食べ残しが10件から4件に減りました」

このように結果を伝えると、スタッフは自分たちの記録が店を変えたことを実感できます。

すると、記録は単なる作業ではなく、商品改善の仕事に変わります。

世界麺未来戦略研究所 第2理論

「気づきは、記録されて初めて経営資産になる」

一人の経験や感覚だけに頼る店では、その人がいないと改善が止まります。

  1. 気づきを共通の基準で記録する
  2. 数字で比較する
  3. 改善策を一つ実行する
  4. 結果を全員で共有する

ここまでつながって、初めて個人の気づきが、店全体の知恵になります。

店主が不在でも品質が上がり続ける店は、優秀な人だけに頼っていません。普通の人が同じように気づき、記録し、改善できる仕組みを持っています。

人の能力に頼るのではなく、人の能力を生かせる仕組みをつくる。

これが、再現性のある店舗運営の基本です。

経営者への問い

あなたのお店では、スタッフが気づいた商品の問題が、翌週の改善までつながる仕組みがありますか。

それとも、気づいた人の頭の中だけで消えているでしょうか。

大和麺学校では、麺の状態、食感、茹で時間、提供後の変化まで含めた商品づくりと、再現性の高い店舗運営を支援しています。

店主が不在でも、安定した商品を提供できる仕組みをつくりたい方は、ぜひご相談ください。

世界麺未来戦略研究所からのご提案

世界麺未来戦略研究所は、世界の成功事例、AI、商品開発、食感創造、生産性、健康、ブルーゾーン、スーパーアクティブ高齢者、海外展開、人口減少、人手不足、経営戦略を研究し、世界の麺文化を進化させることを目指しています。

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藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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