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世界麺文化研究所 第七理論

皆さま、こんにちは。
大和製作所創業者、ロッキー藤井です。

先日、長年お付き合いのあるお客様から、一本の電話をいただきました。

「先生、近くにライバル店ができてから、売上が下がっています」

その言葉を聞いたとき、私は一つ気になったことがありました。

本当に問題なのは、ライバル店ができたことでしょうか。

私は、少し違うと思っています。

ライバル店ができて売上が下がるということは、お客様から見て、その店と自店が比較されているということです。

もっと厳しく言えば、同じ土俵で競争しているということです。

私は、ライバルとは競争しない

私は50年間、世界の麺ビジネスを見続けてきました。

その中で、強く確信していることがあります。

成功している企業ほど、ライバルと同じ土俵では競争していません。

では、同じ土俵で競争するとはどういうことでしょうか。

同じ価格帯で勝負する。
同じような商品で勝負する。
同じようなサービスで勝負する。
同じような売り方で勝負する。

つまり、お客様から見て、
「どちらでも大きく変わらない」
と思われている状態です。

この状態になると、最後は価格競争になります。

少し安い方へ流れる。
少し近い方へ流れる。
少し新しい方へ流れる。

そうなると、利益は減ります。
現場は疲れます。
体力のある企業だけが残ります。

私は、このような競争をしてはいけないと考えています。

大切なのは、ライバルに勝つことではありません。

お客様から見て、
「この店でなければならない」
と思っていただける理由をつくることです。

世界の成功企業は、自分だけの土俵をつくっている

世界の成功企業を見ると、どこもライバルをそのまま真似していません。

Apple は、単なるパソコンメーカーやスマートフォンメーカーとして競争したのではありません。

技術とデザインを融合し、使う人の体験そのものを変えました。

スターバックスは、コーヒーの価格競争を選びませんでした。

コーヒーを飲む場所ではなく、家でも職場でもない「第三の場所」という価値をつくりました。

Shake Shack は、ハンバーガーの安売り競争を選びませんでした。

品質、ブランド体験、店舗の空気感によって、ファストフードとは違う土俵を築きました。

どの企業も、ライバルと同じ方向へ走ったのではありません。

自分たちにしかつくれない価値を磨き、自分だけの土俵をつくったのです。

日本の麺ビジネスも同じ

日本の麺ビジネスにも、同じことが言えます。

丸亀製麺は、うどん店との単純な価格競争を選びませんでした。

「打ち立て・茹で立て・でき立て」という価値を徹底して磨き、お客様の目の前で体験できる形にしました。

一風堂は、ラーメンを売っているだけではありません。

河原成美氏の美学、店舗空間、接客、清潔感、ブランド体験まで含めて、一風堂らしい価値を提供しています。

つるとんたんは、うどんを単なる日常食で終わらせませんでした。

器、空間、演出、食事の時間まで含めて、うどんを体験へと進化させました。

一鶴は、骨付鶏だけを売っているのではありません。

仲間と集い、語り合い、豪快に食べ、元気になって帰る時間を提供しています。

これらの企業は、ライバルを見て商品をつくったのではありません。

自分たちの根っ子を磨き、自分だけの土俵を築いてきたのです。

ライバル店は、本当に脅威なのか

私は、ライバル店そのものは脅威ではないと考えています。

本当に強い店は、ライバル店ができるほど、自店の魅力が際立ちます。

なぜなら、お客様は比較できるようになるからです。

比較した結果、
「やっぱり、あの店がいい」
「やっぱり、あの店の麺が好きだ」
「やっぱり、あの店の接客が心地よい」
と思っていただける店は、ライバルが増えるほど存在感が高まります。

私は、これが本当のブランドだと思っています。

ライバルがいないから売れる店ではありません。

ライバルがいても選ばれる店。
さらに言えば、ライバルができるほど、自店との違いが際立つ店。

これが、これから目指すべき麺ビジネスではないでしょうか。

世界麺文化研究所 第七理論

世界の成功企業を研究していると、一つの法則が見えてきます。

ライバルと競争してはいけない。
競争するのではなく、自分だけの土俵をつくること。
それが経営である。

ライバルを見ると、価格を下げたくなります。
商品を真似したくなります。
広告を増やしたくなります。
短期的な対策に走りたくなります。

しかし、お客様を見ると違います。

お客様が本当に求めているものが見えてきます。
自店が磨くべき価値が見えてきます。
新しい市場が見えてきます。

経営者が見るべきなのは、ライバルの動きだけではありません。

お客様がなぜ自店を選ぶのか。
これから何を求めるのか。
どんな体験に価値を感じるのか。

そこを見ることが重要です。

あなたのお店だけの土俵は何ですか

ここで、皆さまに一つ質問があります。

もし明日、すぐ隣に新しいライバル店がオープンしたとします。

それでも、お客様があなたのお店を選ぶ理由を、一言で説明できるでしょうか。

その答えが明確なら、ライバルは大きな脅威ではありません。

しかし、答えが曖昧なら、今こそ自店だけの土俵をつくる時です。

価格でしょうか。
味でしょうか。
食感でしょうか。
接客でしょうか。
空間でしょうか。
地域との関係でしょうか。
店主の思想でしょうか。
他店にはない体験でしょうか。

何でも構いません。

大切なのは、お客様から見て、
「この店を選ぶ理由」
が明確になっていることです。

さいごに

私は50年間、ライバルと競争しようと思ったことは一度もありません。

私が目指してきたのは、競争しなくても選ばれる会社になることです。

もちろん、競争そのものがなくなるわけではありません。

大切なのは、競争の次元を変えることです。

本当に強い企業は、ライバルが増えるほど、自社の価値が際立ちます。

比較されればされるほど、お客様から選ばれる理由が明確になるからです。

だから私は、ライバルの出現を恐れません。

むしろ、ライバルができるほど売上が伸びる会社を目指します。

これが、世界麺文化研究所がたどり着いた第七理論です。

次回の Management Wednesday では、ライバル店ができた時、経営者は組織とマネジメントをどう進化させるべきかを、世界の成功企業の事例から考えていきます。

皆さまと共に。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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