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つけ麺について初めて聞く方へ簡単に説明すると、ラーメンの中でも独特なスタイルを持つ麺料理です。

つけ麺は豚骨ラーメンに並ぶほどの人気を誇り、日本のラーメン文化に深く根付いています。従来の食べ方に革命を起こし、新しいジャンルを築いた料理と言えるでしょう。なお、「つけめん」という言葉は「つけ麺」の別表記で、どちらも同じものを指します。

つけ麺は、麺とスープが別々に提供され、食べるときに麺をスープに浸して食べるスタイルです。ざるそばに近い食べ方ですが、使う麺やスープの種類、濃度などが大きく異なります。

つけ麺が生まれるまで

つけ麺ラーメンの食べ方は、ざる蕎麦の食べ方と似ている

つけ麺は1955年、大勝軒(山岸一雄氏が経営するラーメン店)が提供したのが始まりと言われています。当初は店員の賄い料理として作られ、残っていた麺とスープに醤油を加えたものでした。当時はざるそばのように、茹でた麺を洗い(※麺についたデンプンを落とすことで、スープと絡みやすくする工程)、味の濃いタレに浸して食べていたそうです。
ラーメンの正しい茹で方はこちらの記事で解説しています
(参考:麺をおいしく茹でるための基礎知識

店によっては「あつ盛り」と呼ばれる、麺を洗わずに熱々のまま提供するスタイルもあります。

1990年代半ばから、山岸さんは弟子を持ち、店名を使ってつけ麺を提供することを許可するようになりました。これをきっかけにつけ麺の人気が高まり、専門店の数も種類も一気に増えていきました。

無限に広がるつけ麺のバリエーション

ラーメンの競争が特に激しい東京を含む関東近辺では、個性がなければ生き残れません。現在は、具材・スープ・麺・トッピングの組み合わせを変えた個性的なつけ麺を提供する専門店が増えています。

麺の太さや食感、スープの風味・濃度、トッピングの違いなど、要素の組み合わせは無限です。それだけに、自分のお店の「軸」をどこに置くかが、最初の重要な判断になります。

つけ麺の主役は、スープよりも麺。

つけ麺はスープよりも麺の量が多いため、主役は麺です。

1人前の麺の量はお店の判断で160g(調理前)から400g、多いところでは600gまであります。(※麺は茹でると水分を吸って1.6〜1.8倍の重さになります)

麺が太いということは、麺の食感が重要だということ

つけ麺は一般的なラーメンよりも麺のサイズ(太さ×幅)が大きくなる傾向があるため、食感がより重要になります。

熱いスープのラーメンを食べるときは、どちらかというとスープの味を楽しむため、麺の食感はそれほど意識されません。しかしつけ麺は、麺を何度も噛みながら食べるスタイルのため、食感の良さと個性が美味しさを左右します。柔らかさの中に噛み応えがあること、その両立がつけ麺の麺に求められる条件です。

では、その食感を生み出すのは何でしょうか?

食感を作る主役は「小麦粉」

良い食感・個性的な食感を作るうえで、最も重要な材料が小麦粉です。
麺用の小麦粉については、こちら記事も参考にしてみてください。

麺のサイズが大きいと、硬すぎると食べづらさを感じてしまいます。かといって、ただ柔らかいだけでは噛む楽しみがありません。柔らかさと噛み応えを同時に実現するためには、小麦粉の「粘度(※生地の粘り強さを示す指標)」が重要な役割を果たします。

私たちがお勧めしているのは、2種類以上の小麦粉をブレンドする方法です。具体的には、高タンパクで粘度の低いラーメン粉と、低タンパクで粘度の高いうどん粉を組み合わせると、モチモチとした弾力のある独特の食感が生まれます。

水分補給(加水率とタンパク質の関係図)

加水率と食感の関係(加水率とタンパク質の関係図)

食感相関図(※小麦粉のタンパク質量と加水率の関係を示した図)を参照すると、つけ麺の麺は水分量が多いことが望ましいとされています。

水分量が多いほど麺の食感は柔らかくなり、つけ麺のような大きな麺の場合、加水率(※小麦粉に対する水の割合)は少なくとも38%以上が目安です。この多加水(水分が多い)状態と、ミキシング後の1回目の熟成(休息)の組み合わせが、つけ麺の生地づくりには適しています。

麺の大きさ(太さ×幅)

麺の大きさは、食感に大きな影響を与えます。
麺の大きさや食感は、どのようなスープに浸すかによって異なります。

密度、食感、コク、風味、などなど。一般的な麺のサイズは、1.6mmから3.0mmまで様々です。

平打ち麺の場合、幅が大きくなることもあります。つけ麺の麺は、噛み応えがあり、大きめが多いようです。(つけ麺の理想的な麺の食感についてはこちらをご参照ください。)

製麺方法

ラーメンの生地をローラーのセットに送り込む様子

麺の作り方も、出来上がった麺の食感に影響します。例えば、つけ麺の麺は水分が中~高程度。ミキシング時間は短くする必要があります。(ミキシングについては、こちらの記事で詳しく解説しています)


次に、生地を常温でしばらく休ませます。(1回目の休息についてはこちらの記事で詳しく解説しています)


生地をシート状に加工し、製麺機のローラーに通して複合化(2枚の生地を1枚にする)します。その後、シート状の生地を段階的に薄くしていきます。(生地のシート化について詳しくはこちら

スリッターカッターを使い、生地をカットして一人前の麺に仕上げています。

つけ麺の麺は太いです。普通の麺と同じ長さにすると、1人前がとても大きくなってしまいます。そして、濃厚なスープを一生懸命すすることになります。すると、長い麺をすすることによって、思いがけず濃厚なスープがシャツにかかることもあります。

麺が長ければ長いほど、その可能性は高くなるので、長さと盛り付けを考慮する必要があります。

一般的なつけ麺は、濃厚なスープ(豚骨や魚介出汁の効いた鶏ガラなど)と一緒に食べることが多いため、このタイプの麺の場合、一般的なサイズは厚さ2.2mm×幅3.0mmが最適です。

このサイズから、好みに応じて大きくしたり小さくしたりすることができます。

麺の大きさについては、こちらの記事で詳しく解説しています。水分が多いとはいえ、きちんとしたラーメン製麺機がなければ、美味しいつけ麺を作ることは難しいです

大切なのは、そのバランス

美味しいつけ麺の特徴を一言で表すなら「バランス」です。

麺のサイズが大きくなるほど柔らかさが必要になりますが、柔らかさだけでは食べる楽しみが半減します。ハリと弾力を同時に持たせるためには、小麦粉の種類と配合比率の調整が欠かせません。たんぱく質による硬さと、粘性による弾力性。この二つのバランスが、美味しいつけ麺の麺を作る核心です。

良い小麦粉が見つかったら、さまざまな配合比率を試しながら、自分のお店のつけ麺に合った食感を探してみてください。

つけ麺は今や、ラーメンの一ジャンルとして確固たる地位を築いています。日本国内にはつけ麺専門店も数多く存在し、海外からの注目も高まっています。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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