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外食産業は大きく進化してきた

世界の外食産業は、大きく見ると、次の流れで進化してきました。 まず、マクドナルドが切り開いた QSC(Quality・Service・Cleanliness) の時代です。 品質、サービス、清潔さを標準化することで、外食産業は大きく成長しました。 次に来たのが、Entertainment の時代です。 単に食べるだけではなく、
  • 空間
  • 演出
  • ブランド
  • 体験
が重要になりました。 そして今、世界の外食産業は Efficiency(生産性) の時代に入っています。
  • 人件費が上がる
  • 原材料費が上がる
  • 家賃が上がる
  • 人手が足りない
  • とくに熟練者が足りない
この流れの中で、外食産業は「いかに少ない人で、安定した品質を出し続けるか」を問われています。

Fast Casualが伸びている理由

今、世界で最も伸びている業態の一つが、Fast Casual です。

Fast Casualとは、Fast Foodの

  • 速さ
  • 分かりやすさ
  • 生産性

と、Fine Diningの

  • 品質感
  • 体験感
  • ブランド感

を融合した業態です。

つまり、

「速いのに、安っぽくない」
「高品質なのに、重すぎない」

ここが、Fast Casualの本質です。

世界で伸びているFast Casual

Chipotle

メキシカンFast Casualの代表企業です。ブリトーやボウルを自分好みに組み合わせることができ、健康感があり、提供が速く、デジタル注文にも強いのが特徴です。

  • 2025年売上:約1.7兆円(119億ドル)
  • 店舗数:4,056店
  • デジタル売上比率:約37%
  • AUV(1店舗あたり年間売上):約6億円/店

つまり、売上の3分の1以上がアプリやデジタル注文によるものです。

CAVA

地中海料理のFast Casualです。
高タンパク、野菜、健康感を武器に急成長しています。

  • 2025年売上:約1,800億円(11.7億ドル)
  • 店舗数:439店
  • デジタル売上比率:約37%
  • AUV:約4.3億円/店

Sweetgreen

健康サラダのFast Casualです。サラダを単なる健康食ではなく、ライフスタイルへと変えました。
都市型、若年層、デジタル注文に強い業態です。

  • 売上:約1,050億円(6.8億ドル)
  • 店舗数:250店超
  • デジタル売上比率:約60%前後

Shake Shack

プレミアムバーガー業態です。
Fast Foodを、「少し良い体験」 へ進化させました。

  • 売上:約2,200億円(14.4億ドル)
  • 店舗数:約590店
  • AUV:約3億円台後半

デジタル売上比率が重要になる

ここで重要なのが、デジタル売上比率 です。

世界のFast Casualでは、デジタル売上が店舗売上の3分の1以上を占め始めています。
これは非常に重要です。

デジタル売上が増えると、

  • 注文時間の短縮
  • レジ人員の削減
  • 待ち時間の削減
  • オーダーミスの削減
  • リピート増加
  • 顧客データの取得

につながります。

つまり、「デジタル売上比率を高め続けることが、生産性向上につながる」ということです。

世界の成功店はAUVが高い

もう一つ重要なのが、AUV です。AUVとは Average Unit Volume。1店舗あたり年間売上のことです。

世界の成功店を見ると、このAUVが非常に高いことが分かります。

  • Chipotle:約6億円/店
  • CAVA:約4.3億円/店
  • Shake Shack:約3億円台後半

そして、特に驚くべきなのが、鼎泰豊(Din Tai Fung) です。米国では、AUV 約42億円/店 とも言われています。

これは、日本の外食オーナーにとって、まさに「想定外の想定外」の数字です。

もちろん、

  • 立地
  • 店舗面積
  • 客単価

が違うため、そのまま比較はできません。しかし、ここから学ぶべきことがあります。

世界の成功店は、単に美味しいだけではない。1店舗から生み出す価値が、非常に大きい のです。

AUVを上げるには、作り方を変えなければならない

ここで本題に入ります。

AUVを上げるには、経営だけを変えても不十分です。作り方そのものを変えなければなりません。なぜなら、

  • 作り方が遅ければ、回転率は上がらない
  • 食感が安定しなければ、リピートは増えない
  • 提供に時間がかかれば、デジタル注文にも対応できない
  • 持ち帰りで品質が落ちれば、Deliveryには向かない

からです。

つまり、AUVは、厨房の中で既に決まっているのです。

Fast Casual時代の麺づくり

Fast Casual時代の麺づくりには、次の条件が必要になります。

  • 短時間で提供できること
  • 誰が作っても同じ食感になること
  • デジタル注文でも品質が崩れないこと
  • 持ち帰りやDeliveryでも、伸びにくいこと
  • 見た目が分かりやすく、選びやすいこと
  • 健康感や高品質感が伝わること

これらは、すべて 製造と製法の問題 です。

  • 加水率
  • 熟成
  • 圧延
  • 切刃
  • 茹で時間
  • 麺の太さ
  • 食感
  • スープとの相性
  • 時間経過への耐性

これらを 感覚ではなく、設計で管理 する必要があります。

世界で伸びている麺に近い業態

鼎泰豊は、職人が作っているように見える小籠包や麺を、極めて高い再現性で世界展開しています。

一風堂は、ラーメンを味だけでなく、空間、清潔感、サービスまで含めて再設計しました。

丸亀製麺は、うどんをQSC化しました。

  • セルフ方式
  • 見える製麺
  • 高速提供
  • 高回転

職人のうどんを、高生産性業態へ翻訳したのです。

一鶴や、つるとんたんも、広い意味ではFast Casualの進化形だと私は見ています。

大和製作所の役割

この時代に必要なのは、単なる製麺機ではありません。必要なのは、

  • 麺の設計
  • 食感の設計
  • 味の設計
  • メニュー設計
  • オペレーション設計
  • デジタル対応への設計

これらを、一体で考えることです。

大和製作所は、製麺機メーカーであるだけではいけません。
これからは、麺ビジネス全体を設計する存在 でなければならない。

だから私は、大和製作所を「世界の食感研究所」と定義しています。

さいごに

これからの製麺技術は、美味しさだけの競争ではありません。

高AUVを実現するための、製法、食感、再現性の競争 です。

これからの麺ビジネスは、職人技を探す時代ではなく、職人技を再現し、Fast Casual時代に対応する麺を設計する時代なのです。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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