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世界一に選ばれたレストラン
2025年6月、イギリスの権威ある食の評価機関「The World’s 50 Best Restaurants」が、世界トップレストランランキングを発表しました。
その第1位に選ばれたのが、ペルー・リマのレストラン「Maido(マイド)」です。
南米初、そして日系レストランとしては初の快挙となりました。
店名の「マイド」という名前は、日本語の「毎度ありがとうございます」に由来しています。
日本の出汁文化と、ペルーの大地が持つ生命力あふれる食材と感性。
この2つが出会ったとき、料理の世界に何が起きたのでしょうか。
料理哲学を超えた経営哲学
マイドのシェフ、ミツハル・ツムラ氏
日系ペルー人である彼は、次のようにこう語っています。
私たちの味のDNAは日本にあり、魂はペルーにある。
この言葉は、文化を
・どう継承し
・どう融合させ
・どう未来に残すか
・どう価値を創造するか&変えるか
という、経営哲学そのものです。
マイドを代表する料理の一つ、イカ出汁のラーメン風スープは、その象徴です。
・昆布・鰹・醤油(日本の旨味)
・アヒ(唐辛子)・レモン・海塩(南米の刺激)
これらを低温で12〜24時間かけて抽出し、一つの出汁に融合させます。
日本料理・マイド
マイドの料理工程を、日本料理と比較すると、その独自性がより明確になります。
マイドの革新性は、日本料理の工程そのものを再解釈しています。
| 工程 | 従来の日本料理 | マイドの解釈 |
|---|---|---|
| 出汁 | 昆布と鰹の抽出 | イカ・貝・唐辛子を低温で24時間抽出 |
| 熟成 | 食材を休ませる | 酸味・辛味で酵素反応を促進 |
| 発酵 | 味噌・醤油・麹 | 果実・唐辛子で自然発酵を誘導 |
| 完成 | 静の美 | 香りと温度の「動」を設計 |
ここで気づくべき最大の重要なポイントは、「時間は活かすべき味方である」という考え方です。
共通する「時間の使い方」
世界的に評価された世界最高峰のレストランには、例外なく共通点があります。
Noma(デンマーク・北欧)
・テーマ:発酵による文化の再構築
・技術軸:酵母・菌・ローカル素材の融合
・成果:世界No.1を5回受賞、Legacy Award受賞
マイド(ペルー・南米)
・テーマ:出汁による文化の共鳴
・技術軸:酸味・辛味・旨味の科学的融合
・成果:世界No.1(2025年、南米・日系初)
両者に共通するのは、「時間を、科学と哲学で統合し、文化資本へと変換した」という、新しい経営モデルを提示している点です。
まとめ
マイドが世界一になった理由は、「時間を大切にする料理」を突き詰めたこと。
ペルーの若き起業家が、日本の出汁哲学を深く学び、そこに南米の技術・素材・感性を融合させ、「急がず、積み重ねる」という選択をしたことです。
それが結果として、世界最高の評価に繋がりました。
時間をかけることは、遠回りではありません。
時間をどう扱うかが、料理も、経営も、未来を決める。
マイドの成功は、そのことを力強く示し、世界に証明したレストランなのです。
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