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強い組織に育てる

人の行動を決めているのは、潜在意識の奥底にある「価値観」です

だからこそ、この潜在意識の奥底にある価値観が近い人材を採用し、そこに体系的な育成を行うことができれば、組織の未来は大きく変わります。

外食産業のリーディング企業は、例外なく、この“価値観の教育”に投資しています。

・採用=入口
・育成=推進力

この2つの歯車が噛み合ったとき、

・離職率は下がる
・人材育成の再現性は高まる
・ブランドは自然と強くなる

という好循環が生まれます。

教育は「再現性への投資」

教育をコストではなく「再現性をつくる投資」として捉えた企業では、次のような好循環が起こります。

・新人の立ち上がりが早くなる
・品質のばらつきが減る
・店長が育成に時間を使える余裕が生まれる

これらはすべて、教育の仕組みが整っているからこそ実現する成果です。

三層モデル

世界中で店舗展開するマクドナルドの教育は、どの国でも同じ品質を実現するため、明確な三層モデルを持っています。

技能の教育:(すべてを数値・言語で標準化)

工程・時間・温度・衛生など、すべてが誰でも同じ結果を「科学的に再現できる」ようにされています。

例:

・ポテトは3分10秒
・ハンバーガーは60秒以内に提供

行動を“科学”として標準化しているのが最大の特徴。
技能教育の目的は、誰がやっても同じ結果が出せる状態を作ることです。

言語化の教育:(共通の教え方・褒め方・言葉の統一)

技能教育とほぼ同時に、教育・報告の仕方・褒め方の“言語”も統一します。

例:

・「グッドジョブ!」=結果への賞賛
・「ナイスリカバリー!」=失敗からの対応への賞賛

この共通言語が、店舗間の一体感と心理的安全性を作り出しています。

価値観の教育:(理念・QSC&Vを最終判断基準に)

すべてを包み込む価値観が QSC&VQuality, Service, Cleanliness & Value)。

判断に迷った時の「最終基準」となり、入社初日から退職まで貫かれています。

教育構造は“同心円構造”で機能している

・技能(数値化・標準化)=見える再現性
・言語(称賛文化・共通言語)=伝わる再現性
・価値観(理念・QSC&V)=ぶれない軸

技能(数値化・標準化)と言語(称賛文化・共通言語)その外側を価値観(理念・QSC&V)が包み込む構造です。

この三層設計があるからこそ、揃うことで、マクドナルドは世界中で「誰がやっても同じ品質」が生まれています。

感情の再現性

一方、スターバックスはマクドナルドとはまったく異なるアプローチで、世界ブランドを築き、守っています。

彼らが重視しているのは、感情の再現性です。

パートナー

従業員を「パートナー」と呼ぶのは、「働く人の幸福が、顧客の幸福を作る。」という信念の表れ。

新人研修では、まず「“自分がどんな人間か” 」を語り合うことから始まります。

これが人間理解を教育の起点にしているのです。

心でつながる接客

スターバックスには、接客マニュアルはほぼ存在しません。

その代わりにあるのが、人と心を通わせるための原則「LATTEモデル」があります。

LATTEモデル

・Listen(傾聴)
・Acknowledge(共感)
・Take action(対応)
・Thank(感謝)
・Explain(説明)

すべての顧客対応(クレーム対応も接客も)は、「人間の尊重」から始まります。

理念を“感情”で伝える

創業者であるハワード・シュルツのミラノのバールで感じた人の“温かさ”

この原体験を、教育の場で何度も語り直し継ぐことで、理念を感情として伝えます。

それにより、ブランドを保っています。

マクドナルドが科学なら、スターバックスは共感で再現しています。

二社の比較:見える本質

項目マクドナルドスターバックス
教育の核技能の再現性感情の再現性
手段数値・言語の標準化共感の原則(LATTEモデル)
価値観の伝達QSC&V(理念を行動へ翻訳)物語と原体験の共有
目的世界中どこでも同じ品質世界中どこでも同じ温かさ
科学的感性的

共通しているのは、すべてが「教育」を始まっていること。

異なるのは、「”何を再現しようとしているか」です。

まとめ

まとめ

現代の組織に必要なのは、次の2つを同時に満たすことです。

・マクドナルドのように、数値化・言語化で技能を再現するすること(科学)
・スターバックスのように、物語と共感で心を再現するすること(感性)

技能・言語・価値観を三位一体で設計し、「見える技術」と「見えない価値観」を同時に育てることが、強いブランドを生むための大切な要素です。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

株式会社大和製作所、株式会社讃匠を創業。
令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

1948年5月、香川県坂出市生まれ。国立高松工業高等専門学校機械工学科卒業。川崎重工株式会社に入社し、航空機事業部機体設計課に配属。その後、独立し、1975年に大和製作所を創業。

過去48年以上にわたり、麺ビジネスを一筋に研究し麺ビジネスの最前線で繁盛店を指導。麺専門店の繁盛法則について全国各地で公演を行う。小型製麺機はベストセラーとなり、業界トップシェアを誇る。
「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として「カンブリア宮殿」「ありえへん∞世界」「スーパーJチャンネル」等、人気TV番組に出演するほか、メディアにも多数取り上げられる。
また、2000年4月にうどん学校、2004年1月にラーメン学校とそば学校を開校し、校長に就任。

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